ロボティクス・サービス・プロバイダーである株式会社QBIT Roboticsは、協働型ロボット「Sawyer」などを手掛ける米国Rethink Robotics社と同社の日本総販売代理店である住友重機械工業株式会社の2社と連携し、サービス業界向けロボット市場開拓を行うことになったと発表した。
QBIT Roboticsは、ハウステンボスの「変なホテル」やエイチ・アイ・エスの「変なカフェ」事業を展開してきたエンジニアやICT業界で長年経験を積んできたメンバーが中心になって創業した企業。今回のRethink Roboticsおよび住友重機械工業との連携により、協働型ロボットを活用したサービス業界向け市場開拓を強力に推進できる体制を整備していく。ロボット導入におけるコンサルティングをはじめ、ロボットのシステム・インテグレーション、保守サービス、販売促進の支援まで一貫した事業を展開するという。
当面は、Rethink Robotics製の協働型ロボット「Sawyer」を活用し、エンターテインメント性を持たせた飲料・食品サービス・ロボットおよび周辺装置などの企画開発を展開する。
同社の代表取締役社長を務める中野浩也氏は、数ある協働ロボットの中から「Sawyer」に決めた理由を「表情があること」だと話した。「Sawyerにはディスプレイがついており、そこに顔を表示することができます。これにより自販機感をなくすと同時に、親しみやすさを与えることができます。特に女性客からの反応がとても良いです」と中野氏。
そして、Sawyerの変なカフェでの活用を始めたところ、多数のメディアに取り上げられたことで、Rethink Roboticsを創業したRodney Brooks(ロドニー・ブルックス)の目に止まった。ロドニー・ブルックスはルンバを開発するiRobot社の創業者であり、そのルンバの生みの親でもある。ロドニー・ブルックスは、それまでSawyerの利用シーンとして工場などを想定していたが、人前で楽しませるサービスロボットとしての活用方法があることに驚いたのだという。そこから、QBIT Roboticsとの提携まではとんとん拍子で話が進んだようだ。
QBIT Roboticsが目指すのは、サービスロボットが活躍する社会。同社はそこで必要な要素を「おもてなしのエッセンス」だと話す。「会話だけではない、いまのサービス業の方々のスキルを、サービスロボットに反映していく必要があります」と同社取締役の広屋修一氏は語る。
例えば、旅行代理店の窓口では、お客さんがタバコを胸ポケットに入れていたら「こちらのお部屋は禁煙室ですがよろしいでしょうか?」といった気遣いを行なっている。「こうした気遣い、おもてなしのエッセンスをサービスロボットに今の内に取り入れていかないと、今最前線で働いているサービス業の匠の方々が引退してしまった時に、引き継げずに終わってしまうかもしれない。そのエッセンスを抽出して、サービスロボットに付与していく必要があるのです」。
QBIT Roboticsでは、この先5年間で、外食およびテーマパークなどのサービス業向けに1,000カ所以上のロボットシステムの納入と運用支援サービスを提供していくことを計画している。