オリィ研究所は分身ロボット「OriHime」(オリヒメ)の新しいモデル「OriHime-D」を発表した。
オリィ研究所は育児や介護、身体障害などにより、会社に出社することが困難な人の社会参加を目的に、分身ロボットを用いたテレワークを研究・推進している。従来の分身ロボット「従来の分身ロボット「OriHime」の全長は約20cmだが、新モデルの「OriHime-D」の身長は約120cmと大きい。
このモデルを発表すると共に、このロボットを使った事業開発・研究・実証試験のパートナーの募集も行う。
14の関節用モータを内蔵し、前進後退、旋回の移動能力をもつ。500gのペットボトルを片手をまっすぐ伸ばした状態で保持する事も可能で、簡単なものをつかみ、運ぶ事ができるほか、自由なモーションを作成し、記録してボタンにより再生する事ができる。スピーカーも大型のものを内蔵し、周囲に人の多い空間でも操作者の声を伝え、会話が可能となっている。
開発の経緯
同社が開発し、提供している「OriHime」は、カメラとマイクとスピーカーを内蔵し、インターネットを使ってスマホやPCから遠隔操作ができる全長約20cmの分身ロボットだ。
約60台を導入している東日本電信電話株式会社をはじめ、現在70社ほどの企業がOriHimeを導入し、とても簡単かつ”本当に出社しているように勤務できるテレワークツール”として利用が広まっている。
しかし、OriHimeは会議やオフィスの参加といった利用シーンを得意とする一方で、移動ができないことやサイズの小ささなどより、テレワークで従事できる業務内容に制限があった。この制限を改善すべく、同研究所は新たな研究用モデルとして、移動が可能な全長約120cmの新型の分身ロボット「OriHime-D」を開発した。
「OriHime-D」の動画も公開された。動画では、同社で研究、製品化されている意思伝達用の視線入力装置「OriHime eye」の技術を応用した、世界初となるALS患者が眼だけでOriHime-Dを遠隔操作し周囲に居る人に飲み物を配る実験中の様子が写っている。眼しか動かせないALS患者である岡部さんがロボットを操り、訪問者にコーヒーを振る舞うテストだ。
■【動画】ALS患者が訪問者にコーヒーを振る舞う
オリィ研究所所長 吉藤健太朗 氏
病気、育児や介護などの様々な理由で職場に行けずこれまで労働力とみなされなかった人達の円滑な社会参加が可能になる。将来は自分で自分の介護をできるようになるかもしれない。
パートナー企業・研究機関を募集
現在、「OriHime -D」は研究用モデルとして2台が完成、年度内に5台の製造を予定しており、この研究用モデルを用いて、オリィ研究所は従来のテレワークでは実現できなかった「テレワークでの肉体労働の可能性」を探るため、共同での事業開発・研究等が可能な企業・研究機関を広く募集する。
同研究所は、「OriHime -D」の用途例として、在宅者がチームと一緒に展示会で説明員をしてパンフレットを手渡したり、店頭販売を行ったり、オフィスや飲食店などで配膳を行ったり、演劇や舞台などへの参加などを想定しているが、広くアイディアを募集し多様な可能性を模索したいと述べている。
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