移動するPepperを公開!巡回警備や万引き防止、介護施設での徘徊発見などに活用

SoftBank World 2018の会場には、自律的に移動して巡回しているPepperがいる。
床に貼られたマーカーの範囲内を巡回し、人を見つけると近づいて声がけをする。警備巡回や万引き防止、介護施設などでの徘徊の発見に役立つと見られる。Pepperはオムニホイールという移動機構を備えているが、今までほとんど移動しての活用がされてこなかった。発売からほぼ3年経過して、ようやく移動するシステムが本格的に商用化される。

警備用と介護施設用は別の会社が開発した異なるサービスだ。警備用に開発したのがユニボットの「UNIBOT by Pepper」、介護施設用に開発したのがX-mov Japanの「介護夜間巡回ソリューション for Pepper」だ。

予め決められた範囲やコースをPepperが巡回

巡回中に人をみつけて声掛けを行う

スタッフに画像で通知

■移動するPepper 



巡回するシステムの概要

X-mov Japanのシステムの場合(夜間の介護施設を想定)、まずPepperが廊下やフロアを巡回する。SLAMと呼ばれるリアルタイムでマッピングする機能で障害物などは避けて移動できる。巡回コースはあらかじめ設定できる。
無人のはずが人を見つけると近づいて写真を撮り、発見通知をスタッフ宛に送信するしくみだ。顔認識機能もあるので、誰を見つけたかを報告することもできる。

また、リアルタイム映像配信機能も備えているため、巡回しているPepperのカメラが捉えた映像をスタッフのパソコンやタブレットで常時チェックすることもできる。移動するセキュリティカメラのように活用できる。
「介護施設としては徘徊の記録を映像やログとして残すことが大事という声を聞きます。ご家族への報告や万が一のトラブルに備えてです」(X-mov Japan株式会社 代表取締役社長 兼 CEO 長安成暉 氏)

実証実験は横浜の介護施設で数回に渡って行われ、今年の9月より販売がスタートする。料金は月額29,800円(Pepper for Bizのレンタル料金は別途)。

■X-mov Japan 実証実験のムービー

「現在、レクの時間にPepperを既に導入している介護施設も多いですが、Pepperの夜間の仕事として活用できるので、効率的な運用が可能になると思います」(長安氏)

ロボットに移動する機能はとても重要で、できる仕事が拡張できる。
Pepperの移動については今後も注目していきたい。


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神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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