フランスのスタートアップSnips社、プライバシーを守る音声プラットフォーム「Snips AIR」を2019年末に提供へ

コネクテッドデバイスに搭載する音声プラットフォームを開発するフランスのスタートアップ、Snips（スニップス）社は、コネクテッドホームデバイスにおけるプライバシーを守る音声プラットフォーム「Snips AIR」を発表した。

2019年末に提供開始予定の「Snips AIR」は、プロセス全体を通してプライバシーを考慮する「Private-by-Design」に準拠した分散型プラットフォーム。同社のCEOであるランド・ヒンディ氏は「これまでの音声アシスタントに取って代わるソリューションだ」と自信を見せる。

「Snips AIR」の概要

ユーザーのデータをクラウドに保存することなく、デバイス上ですべてのデータを処理するため、家族の個人データをスマートホーム内にとどめることができる。また、あらゆるデバイスにAIアシスタントを搭載することで、テクノロジーを意識させない直感的な操作を可能にする。

現在普及している音声アシスタントは、機械学習モデルの質を改善する目的でユーザーのデータをクラウドに送信しているが、それによって家族のプライバシーが侵害され、個人データが乱用される恐れもあり、アマゾンは、ユーザーに対しリスニングデバイスを家庭の各部屋に設置するよう推奨しているものの、ユーザーは依然として個人情報が漏洩し不特定の人に送信されてしまうという問題に直面している。

同社は、エッジコンピューティングとAIRネットワークブロックチェーンを利用し、ユーザーが自分のデータを管理できる分散型プラットフォームを構築することで、この問題を解決。データはすべてローカルデバイスで処理され、クラウドのバックエンドに送信されることがないため、「Snips AIR」は、ユーザーについての情報を入手しなくても、大量監視やハッキングからユーザーを守ることができる。



2017年6月から提供が開始されているSnipsのプラットフォーム上では、1万4,000以上のデベロッパーが登録されており、すでに2万4,000以上の音声アシスタントを開発。現時点で、日本語版、英語版、フランス語版、ドイツ語版が利用でき、2020年までに中国語版と韓国語版が追加される予定だ。

「Snips AIR」の仕組み

「Snips AIR」は、日常のあらゆるシーンで、ホームオートメーション（照明の管理、温度調節、窓の開閉）、天気、マルチメディア、料理、日付・時刻、カレンダー、リマインダーなど、多くのビルトインアプリに搭載可能。デベロッパーは、「Snips AIR」向けに追加アプリを開発し、Snipsの分散型アプリストアでリリースできる。

また、OEM企業などは自社製品にSnipsアシスタントを搭載することで、ユーザーのプライバシーを守りながら、アプリストアやデベロッパーコミュニティ、AIRブロックチェーンといったSnipsの音声エコシステムの活用が可能だ。

ユーザーは、AIRブロックチェーンを利用し、分散型台帳のネットワークを通じて学ぶ機械学習モデルに暗号化したデータを送信することで、そのメリットを受けられ、アプリケーションデベロッパーは、処理されたデータを収集し、暗号化されたユーザーのデータを含んだ新しい機械学習モデルを得られる。


AIは、関連性のある暗号化された学習を利用してブロックチェーン上で学習するため、ユーザー自身は自分の個人データをさらしてプライバシーを漏らすことはなく、デベロッパーはユーザーのデータを活用して新しいアプリケーションをSnip AIRプラットフォームに追加可能。

また、Snipsアプリストアは、トークンキュレーション型のマーケットプレイスであるため、デベロッパーのコミュニティは検閲を受ける心配なくプラットフォームを活用できる。

その他、詳しい「Snips AIR」の情報は同社公式サイト内（英語）にて確認できる。

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