2019年に自動運転車の商用化を目指すGMの社長がソフトバンクワールドに登壇!GMの強みと「3つのゼロ」とは
「SoftBank World 2018」の初日、孫正義氏の基調講演に米国最大の自動車会社ゼネラル・モーターズ(GM)の社長のダニエル・アマン氏が登壇した。
基調講演ではソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)が出資している複数の企業が紹介されたがGMもそのひとつ。SVFはGM傘下の自動運転開発会社であるGMクルーズ・ホールディングスに約2450億円を出資することを今年の5月に発表している。
なお、GMは2019年に自動運転車の発売を目指している。自動運転の開発をめぐってはフィアット・クライスラー・オートモービルズがアルファベット傘下の米ウェイモと、ボッシュとダイムラーがNVIDIAと提携を発表するなど、実現に向けて競争が激化、企業の連携が加速している。
アマン氏はサンフランシスコの市街地で行っている実証実験の動画を紹介し、自動運転車は人の流れや対向車など複雑な都市部での道路でもスムーズに通行でき、開発が順調であることを強調した。また、サンフランシスコではたくさんの路上駐車、道路工事、信号機が故障した交差点にも遭遇したが、自動運転車は自律的な判断で切り抜けたシーンも紹介した。信号機が故障した交差点のシーンは同氏のお気に入りだと言う。
■GMによるサンフランシスコでの自動運転車の実証実験
アマン氏はGMが見据える世界として「AIによる人間よりも安全で効率的な運転」と3つのゼロを掲げた。3つのゼロは、交通事故ゼロ、エミッション(大気汚染等)ゼロ、交通渋滞ゼロ。また、GMならではの強みを「開発スピードと規模」にあるとし、GM、クルーズ、ソフトバンクの3社でロボタクシーや自動運転車を実現するとした。
ソフトバンクの孫正義氏はライドシェアや自動運転車の実現が、都市部の交通の課題を変革するとした。信号や他のクルマと連携して走る自動運転だけの世界が実現すれば、自動車は市街地を200キロで走ることができ、交通事故や渋滞もゼロとなる。そんな都市部の未来の姿を想像して欲しい、と語った。
なおGMは今年4月に最大1500人規模におよぶ従業員解雇の可能性が報道されている。小型車の販売が低迷していることが理由に挙げられ、自動運転技術の開発と普及に活路を見いだそうとしていることが考えられる。
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神崎 洋治神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。