NVIDIA は次世代の医療機器に AI の恩恵をもたらすハードウェアとソフトウェアを組み合わせ、疾病を早期に発見、診断および治療するためのパワフルなツールとなる「NVIDIA Clara」プラットフォームを公開したことを9月14日に発表した。
同プラットフォームは、現在、アーリー・アクセス・パートナーが利用可能となっており、ベータ版のリリースは 2019年の第2四半期の予定となっている。
Clara プラットフォームの概要
同プラットフォームは、1秒当たり数十から数千ギガバイト規模で生成される、膨大なデータを処理し、医師や科学者が解釈できるようにし、医療機器の大きな課題を解決するもので、プラットフォームの核となるのは、NVIDIA Xavier AI コンピューティング モジュールと NVIDIA Turing GPU をベースとした革新的な コンピューティング アーキテクチャである NVIDIA Clara AGX だ。
なお、これまでは、同レベルのスーパーコンピューティングを達成するには、3 つのコンピューティング アーキテクチャである FPGA と CPU、GPU を必要としていた。
Clara AGX
このような課題を単一のGPUベースのアーキテクチャに集約したのがClara AGX だ。このアーキテクチャは、NVIDIA Tensorコアによる世界最速の AI 推論、世界でもっとも広く導入されているアクセラレーテッド コンピューティング プラットフォームであるCUDAのよる加速、ならびに最先端のNVIDIA RTXグラフィックスを提供。そのフレキシブルなデザインにより、プラットフォームは、エントリーレベルのデバイスからもっとも要件の厳しい3D デバイスまで対応可能となる。
さらに開発者向け Clara ソフトウェア開発キットにより、AI を活用して既存のシステムのデータを処理する、多様なアプリケーションを作成することが可能だ。
Clara SDK
Clara SDK は、コンピューティング、グラフィックスおよび AI のための一連の GPU アクセラレーテッド ライブラリ、再構成、画像処理およびレンダリングのためのサンプル アプリケーション、ならびに CT、MRI および超音波のための演算ワークフローを医療アプリケーション開発者に提供。これらすべてを通じて、コンテナと Kubernetes を活用し、あらゆる機器の医療機器用アプリケーションの視覚化および拡張が可能となる。
また、Clara は、機器のデータを処理する機能があり、設置されている機器を最新の NVIDIA GPU に接続することで、上記の課題を解決します。つまり、CT および X 線の反復再構成、ビーム形成による MRI の超音波検出と圧縮検出といった、最先端の画像診断アプリケーションを、10 年間使用している機器で作動させることができる。
通常の寿命が数十年であるレガシーの医療機器と、過去 10 年間に GPU の演算速度が 1,000 倍になっている現代のアプリケーションを作動させる能力の両立ができないという、基本的な問題も解決するのだ。
医用画像診断開発企業による対応
NVIDIA Inception 仮想アクセラレーター プログラムのメンバーで、MRI アプリケーションに取り組んでいるスタートアップのSubtle Medical 、創業者エンハオ ゴン (Enhao Gong) 氏は、次のように述べている。
Subtle Medical 創業者 エンハオ ゴン (Enhao Gong) 氏
当社は、AI を使ってMRIおよびPET検査のワークフローを改善しています。NVIDIAのCLARAプラットフォームにより、当社のテクノロジをさらに拡大させて、造影剤や放射線のリスクを減らし、画像診断の効率と安全性をさらに高めることができるようになります
同じく InceptionのメンバーであるImFusionでは、開発者たちは、同プラットフォームが利用可能になってから2日も経たないうちに、自社のアプリケーションをClaraに移植し、Claraの推論、シネマティック レンダリング エンジンおよび視覚化機能を活用している。
従来の2Dデータを使って3D超音波画像を作成し、超音波画像とCTを融合させて視覚化させるとのことだ。
ImFusion 創業者兼CEO ウォルフガング ウェイン (Wolfgang Wein) 氏
当社は、医用画像のコンピューティングとガイド手術を専門としています。NVIDIA のCLARAプラットフォームにより、当社では2Dの医用画像を 3D に変換し、当社の技術を仮想的に展開できるようになります。
現在、400 以上の AI 医療スタートアップが過去5年間に事業を立ち上げており、同社は、Claraにより、それらスタートアップがAIを活用し、医療ワークロードを一新できるとしている。
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