10月3日、公益財団法人日本デザイン振興会が主催を行っている「GOOD DESIGN AWARD2018」にて、グットデザイン賞とそれらのベスト100が公開された。ベスト100に選ばれたロボットたちを紹介しよう。
「グットデザインアワード」とは?
名前は知っているが、詳しく知らないという方にまずは簡単な概要から。「グットデザインアワード」は、益財団法人日本デザイン振興会が主催で開催される、優れたデザインを選ぶ、日本での総合的デザイン評価を行うイベントだ。ここでのデザインの意味は、人が何らかの理想や目的を果たすために築いたもので、かたちのある無しは問われない。また、賞を受賞すると社会を導く「よいデザイン」であることを購入者や利用者に伝えることができ、受賞作のアピールや企業のイメージアップに役立てることができる。
また受賞すると審査委員から「どの点を高く評価したか」「どこが優れているか」の評価をもらうことができる。今回は、受賞した製品と、概要、審査員からの評価をまとめて紹介する。
aibo
aiboは、ソニーが開発を手がけたペット型エンタテインメントロボットだ。aiboにはAI技術が搭載されており、持ち主との触れ合いを通じて固有の性格を形成し、まばたきや仕草も独自に成長するようになっている。初期搭載されている動作は20程度だが、日々のコミュニケーションを通じ、数百にまで増やす。
「一家に1台、ロボットを」。そんな未来が急にリアルに感じられてしまう商品。「ロボットと人は心を通い合わせることができる」。aiboに触れた人は、そう確信するのではないだろうか。再現できる動作の限界や充電の必要性など、技術的な改善の余地はあるが、「犬」の模倣ではなく、ロボットという新しい「生き物」と人が共生する未来が見えてくる。
Qoobo(クーボ)
Qooboは、しっぽのついたクッション型セラピーロボットだ。撫でるとふわふわと、たくさん撫でるとぶんぶんと、そしてときどき気まぐれに、しっぽを振って応えてくれる。動物アレルギーやペット禁止の住環境、仕事が忙しくて面倒が見れないなど、「ペットを飼いたくても飼えない」という人にも、動物と触れ合う喜びや癒やしを感じることができる。
2つのアクチュエーターと加速度センサーという機構にあえて絞り込み、音声も表情ももたない抽象的な形状でありながらも、尻尾の動きのみで豊かな感情を持ち備えた動物の存在を感じさせる。他のペットロボットとは異なる独自性に審査員の高い評価が集まった。動物とのふれあいを実感できるプロダクトであり、使用者の想像力を刺激する。ロボットセラピーの可能性にも期待が高まる。
「COBOTTA(コボッタ)」
コボッタは、動作時に安全柵を必要としない人協働ロボットだ。このロボットは、簡単な組付け、仕分け、検査等の労働集約型の小さな作業に適しており、安全性が高く、ロボットを使い慣れていない人でも短時間で作業を自動化させることが可能。
安全柵を必要としない人協働ロボットとして、完成されたデザインに仕上がっている。産業ロボットにありがちな心理的な障壁(危険性や威圧感)は皆無である。簡単な操作で自分の動きを滑らかにトレース可能であり、その動く様子は、健気さや可愛らしさといった人格をも感じさせる。プロダクトのCMFも綺麗に細部まで仕上げられており、近い未来にデスクの横にはこういったパートナーが居ても不思議ではないと思わせた。
歩行トレーニングロボット
歩行トレーニングロボットは、「介護」から「介護予防」に向けた大きな方向転換が進められる中、歩くことに対し不安を抱える高齢者に、安心で適切な歩行を提供することで自立をサポート、使う度に元気になることを目的とした歩行支援ツールだ。使用者に目標設定や運動履歴が簡単に操作・確認できるモニタ、多様な握り方や体の預け方に対応したハンドル形状、簡単に高さ調整可能なダンパー構造等、最適な姿勢を保ちながらの歩行を可能にしている。
平均寿命が延びるなかで健康寿命の延伸という課題を抱える現代において、意い意義のある介護予防としての歩行支援ツール。継続使用のための工夫のほか、運動履歴の整理や分析等、トレーニング管理者の作業の軽減も実現する。長期的な調査のうえでの意欲的な開発過程にも審査員の評価が集まった。圧迫感のないデザインで、直感的かつ楽しみつつ使用できるツールは能動的な使用を促し、健康促進に結びつく。今後の展開も期待したい。
離床アシストロボット
離床アシストロボットは、電動介護ベッドと電動フルリクライニング車いすを融させた介護ロボットだ。ベッドの一部が変形しそのまま車いすになるため、要介護者を抱き上げることなく、寝たままの楽な姿勢で、介護者一人でも簡単に移乗介助を行うことができる。従来、身体リスク(骨粗鬆症、皮下出血、皮膚剥離、経管栄養等)により移乗が困難で離床を諦めていた方でも移乗を行うことが可能になる。
介護ベッドの縦半分のマットレスが電動で車イスに変わるという画期的なすばらしい商品である。通常ベッドからの移乗は二人介助で行われるが、この商品はたった一人での移乗を可能にする。しかも介護者の大きな負担である体を起こし移動させる通常の手法は取らず、ベッド上で要介護者を横に移動させるという新たな方法での解決がなされている。介護者の体への負担の軽減はもちろんのこと要介護者にとっても気持ちの負担は軽く、車イスによって座るという日常の状況が味わえることへの価値は計り知れない。基本機能であるマットレスの仕上がりについては全員で実際に体感し確認を行った。段差などの違和感は全く感じられず、介護ベッドとしての機能も素晴らしい仕上がりになっている。
IoT製品も
また、グットデザイン賞に選ばれたIoT関連製品もいくつかみられた。「なくすをなくす」をコンセプトとしているたシール型紛失防止デバイス「MAMORIO FUDA」、やはり失くしもの防止&見守り用端末(タグ)でスマートフォンを鳴らす機能を持つ「biblle」(ビブル)、スマートフォンやNFC対応ICカードで開錠することができ、勤怠管理や正確な入退室履歴を管理することができる「Akerun」入退室管理システムなど。
また、今回受賞された作品が一堂に集まる受賞展「GOOD DESIGN EXHIBITION」が東京ミッドタウン(東京都港区六本木)で開催される。日時は、10月31日(水)~11月4日(日)の5日間。
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山田 航也横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。