iRobotジャパン、より安価な新戦略商品「e5」を市場投入 ロボット掃除機世帯普及率向上を狙う
49,880円の「ルンバe5」
iRobotジャパンは2018年10月10日に記者会見を行い、新製品「ルンバe5」を10月26日から発売すると発表した。「e5」は「ルンバ史上最高の価格性能バランスを実現」した機体であり、ロボット掃除機を一家に一台普及させることを目指すという。
価格はアイロボットストア公式価格で49,880円(税抜き)。「e5」はルンバ890シリーズの後継機にあたる。ハイエンドの900シリーズに次ぐロボット掃除機となる。800シリーズはe5に吸収される。引き続き独自の「AeroForce3段階クリーニングシステム」、デュアルアクションブラシ、高性能フィルターを搭載している。Wi-Fiも搭載しており、iRobot Homeアプリでの外出先からの操作やスマートスピーカーからの操作に対応する。
最大稼働時間は60分から90分に伸びた。そして大きな特徴として、ダスト容器を丸ごと水洗いすることができるようになった。これは日本の顧客の声に応えたものだという。
ロボット掃除機は「時産家電」
アイロボットジャパン合同会社 代表執行役員社長の挽野元氏は最初に同社のビジネス戦略として、顧客ニーズを捉えた製品開発、ロボット掃除機のさらなる普及拡大、200万台以上の販売実績をベースにした顧客との継続的な関係性の強化の3つの戦略を掲げて取り組んできたと述べた。
2002年以降のルンバの国内累計販売台数は2018年9月末で300万台を突破した。200万台達成時より1.5倍の速度で300万台を達成しており、市場成長は加速している。
一方、ルンバとブラーバの世帯普及率は2017年時点で4.5%に止まっている。普及にはまだまだ余地がある。
家電製品は一般に世帯普及率が1割を超えると、そのあとは一気に普及することが知られている。掃除ロボットも10%が一つの目安となる。ちなみに米国ではすでに10%を超えており、ロボット掃除機は生活必需品のひとつになっている。
日本でもライフスタイルの変化に伴って、共働き世帯も増えている。日本の子供を持つ世帯での共働き全国平均世帯率は57%に達している。挽野氏は「家庭のなかにも働き方改革の波が押し寄せている」と述べた。家事はもはや女性のみの仕事ではなく、分担が当然となっている。これらはロボット掃除機普及の後押しとなる。
ロボット掃除機は単なる「時短」ではなく、時間を作る「時産家電」だという。共働き世帯ではルンバとブラーバの世帯普及率は17.3%を超えている。
アイロボットジャパンは2023年にロボット掃除機の世帯普及率10%達成を目指す。なお日本でのロボット掃除機市場のアイロボットのシェアは60%強。挽野氏は「ロボットを使うことでより顧客の生活を豊かにしたい」と語った。
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森山 和道フリーランスのサイエンスライター。1970年生。愛媛県宇和島市出身。1993年に広島大学理学部地質学科卒業。同年、NHKにディレクターとして入局。教育番組、芸能系生放送番組、ポップな科学番組等の制作に従事する。1997年8月末日退職。フリーライターになる。現在、科学技術分野全般を対象に取材執筆を行う。特に脳科学、ロボティクス、インターフェースデザイン分野。研究者インタビューを得意とする。WEB:http://moriyama.com/ Twitter:https://twitter.com/kmoriyama 著書:ロボットパークは大さわぎ! (学研まんが科学ふしぎクエスト)が好評発売中!