プログラミング教育130万人の利用実績を持つスフィロの新製品「Sphero BOLT」(スフィロボルト)が上陸!算数、理科、図工への応用例も紹介

いまの小学生が社会に出る頃には65%が今まだ存在していない職種に就くことになる。
今日大切だとされているスキルの1/3以上が2020年までに変わると考えられている。

スフィロの新製品「Sphero BOLT」(スフィロボルト)の発表会に登壇したSphero社のCTO、ジョン・キャロル氏の話は冒頭からインパクトの強い言葉が並んだ。キャロル氏はこの未来予測を踏まえ、利用実績130万人以上、2万校以上の学校で使用されている「Sphero Edu」とロボットボールを教育現場に導入する意義、その活用事例、メリット等を紹介した。

Sphero社のCTO(最高技術責任者)、ジョン・キャロル氏。コロラド大学で教員アシスタントとしてプログラミング教育に携わった経験があり、オクラホマ・クリスチャン大学で2008年に情報科学の学士号を、2011年にコロラド州ボルダーのコロラド大学で通信工学の修士号を取得。Sphero社の最高技術責任者として開発テーマと開発方法について指揮を執る。


今ある仕事の65%が将来なくなる

キャロル氏の冒頭の話は言い換えれば、今ある仕事の65%が将来なくなって新しい職種が生まれているということだ。重視されるスキルも変わり、早ければ2020年には1/3以上のスキルがすたれて、別の能力が求められるようになっているという予測で、これらは調査会社が公表したものだ。


これらを踏まえるとすれば、教育現場の指導も大きな変革が必要となることを示唆している。


プログラミング教育の本格導入と課題

現実的に教育現場はこの数年で大きな変革に直面する。既にご存じの人も多いとは思うが、2020年度から小学校で、2021年度から中学校で、2022年から高校でのプログラミング学習の導入がはじまる。海外では「STEM教育」(ステム)や「STEAM教育」(スティーム)と呼ばれている。(STEMは、Science、Technology、Engineering and Mathematicsの略。最近はArtを加えてSTEAMとも呼ぶ)

具体的な課題としては先生不足があげられる。先生がいたとしても、多忙のため自身のプログラミング教育に対する勉強が追いつかない、専門のトレーニングを受けていないので消極的、などが直面している課題だ。
この課題に向き合い、数学(算数)や物理などとロボット工学を結びつけ、かつ子ども達が楽しく学べるように配慮されたツールがスフィロの「Sphero Edu」(スフィロ イーディーユー)だ。
そして現在、そのフラッグシップとなる最新モデルが「Sphero BOLT」(スフィロボルト)となる。

Spheroのボール型製品群。右から小さな「Sphero mini」「Sphero SPRK+」、そして新発売の「Sphero BOLT」。左端は「Sphero mini」の完全ガイドブック。操作やプログラミングできるツール群(アプリ群)を含めて「Sphero Edu」と呼ばれる

新発売の「Sphero BOLT」。参考価格1万9310円(税込)。8×8の64ドットLEDが搭載されていて、イラストやアイコン、文字を表示することなどができる。防水仕様。初めてコンパス(方位センサー)を搭載し、複数の「Sphero BOLT」と赤外線通信で連携できる。詳細は関連記事「スフィロ、ロボットボール「Sphero BOLT」を10月19日発売 プログラミング可能な教育向けロボット」参照

「Sphero BOLT」で遊んだり、プログラミング教育を行っているイメージ写真。スマートフォンでLED画面の表示をデザインしているところ。操作はスマートフォンのアプリ(iOS/Android)やパソコン(Windows/Mac)、Kindleでも行える。


2万校以上の利用実績

「Sphero Edu」は現在、海外では2万校以上、130万人以上の生徒を対象に活用されていると言う。プログラミング教育に必要なツールも用意されている。

「Sphero Edu」の導入状況。世界で130万人の子ども達が使う

教師向けのウェブサイトやガイドブック(小冊子)も用意されているので、プログラミング教育を指導する、先生側にもわかりやすいしくみが用意されている。



遊び感覚から本格的なコーディングまでプログラミングを学ぶ3ステップ

そのツールはドロー、ブロック、テキストと、段階的に3ステップでプログラミングが学ぶことができる。
ドローは、子ども達が画面上に描いた線の通りにSpheroがコロコロと転がって動くしくみ。動きを決められるだけでなく、ボールが光る色を変えることもできる。自分たちが描いた曲線、直線の通りにSpheroが動いたり、光ったりすることで多くの子ども達は夢中になるにちがいない。そのため親しみやすく、直感的にプログラミングの基本を学びやすい。

直線や曲線を描くだけのドロー、ブロック、プログラムコードを打ち込むテキストへと進化していく3ステップ

次のステップはブロックだ。転がるスピードや距離をしたり、LEDを光らせたり喋らせたり、その指示はブロックをドラッグ&ドロップしたり、文字入力で指定できる。操作できる「スクラッチ」ベースが採用されている。


スクラッチは、米国マサチューセッツ工科大学の研究所のひとつ「MITメディアラボ」が開発した視覚的GUIのプログラミング言語だ。ブロックを使ったプログラミングを習得したら、テキストでプログラミングを書く「コーディング」に進むことができる。これは将来、本格的なプログラマーになるための基礎にもなる。


Sphero Eduを活用した実践例

発表会では後半、文科省のICT教育アドバイザーとして活躍中の情報通信総合研究所 平井総一郎氏が登壇した。情報通信総合研究所はNTT直属、情報通信専門のシンクタンクで、平井氏自身も教員や校長を経験した実績を持つ。現在は学校や自治体で実際にSphero Eduを活用した授業やアドバイスを行っている。

株式会社情報通信総合研究所 ICTリサーチ・コンサルティング部 特別研究員 平井総一郎氏

平井氏は既に日本の学校や自治体で、実際にSphero Eduを活用した授業を行っている。その知見と事例を紹介した


なぜSphero Eduを選ぶのか?

平井氏は「Sphero Edu」の「SPRK+」を今まで主に採用してきたが、その理由として、壊れない、防水、部品がなくならない、などの理由をあげた。特に授業で使うにはシンプルで故障したり、なくならないことが非常に重要だとした。

平井総一郎氏のプレゼン資料より


今後は新製品の「Sphero BOLT」の導入を検討していくとのこと。同製品の利点としてはバッテリーの強化、8×8のLED搭載、赤外線で通信、コンパスセンサーや光センサーの活用などをあげた。また、タブレットやスマートフォンのアプリのみの対応だと、Spheroのほかにそれらのデバイスも用意しないといけないが、Windowsに対応したことにより、ほとんどの学校で既に持っているパソコンが流用できるのではないか、と期待を寄せた。



ワイアレス給電が超便利

また、平井氏も特長としてあげていたが、筆者も大きく同意するのがワイアレス給電機能だ。「Sphero mini」は小さくて可愛いのだが、充電する際にボールを開けて中のコネクタにケーブルを接続して充電する手間があり、その点がとても残念だった。一方、Sphero SPRK+とSphero BOLTは充電台に置くだけで充電を行うことができるようになっている。

付属の台に「Sphero BOLT」を置くだけで充電できる。これは便利!

また、授業などの活用に便利な充電ケースもオプションで用意される。これなら複数台のSphero BOLTを一気に充電することができるので安心で便利だ。


置くだけで複数のSphero BOLTを一気に充電することができるケース


算数や理科、図工などに応用

事例として面白かったのは、プログラミングを学ぶだけでなく、それを通して、さまざまな科目に実践する楽しさを教えていることだ。
平井氏はプログラミング教育を通して、算数や理科、図工など、自ら考えて工夫するための教育にも役立つと言う。例として、算数の「速さと道のり」への応用の例などをあげた。


「1秒でSphero SPRK+が進む道のりから、8m動くのにかかる時間を求める」問題を出すと言う。正解は生徒たち自らがSphero SPRK+を動かして検証する。回答は一発勝負にして、試行錯誤はさせず、計算力を養うという。


平井氏はこのほかにも、理科や図工でのSphero SPRK+を使った具体例をあげたが、座学にはない経験と、考える楽しみを生徒達が学べるものばかりに感じた。


Spheroのロボットボールを血液に見立て、循環器のシート上を移動する。ボールのLEDのカラーを青から赤に変えることで役割が変わることを表現する

海外での実績を踏まえて、日本のプログラミング教育分野へ切り込む「Sphero Edu」。工夫次第でさまざまな科目に応用できそうだ。今後の展開に注目していきたい。

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神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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