アスラテック、ロボット制御システム「V-Sido」を歩行リハビリ用デバイスに提供

2018年11月9日 By 山田航也

ソフトバンクグループでロボット・ソフトウエア事業を行うアスラテック株式会社は、藤倉化成株式会社が開発した、リハビリステーション向けの歩行練習デバイス「RoboChemia(EAM Knee)（ロボケミア・イーエーエムニー）」に、ロボット制御システム「V-Sido（ブシドー）」が採用されたことを発表した。

「V-Sido」は、アスラテックが開発するロボット制御システム。リアルタイムにロボットを動かすことができ、急な衝撃を受けたときや不安定な足場でも倒れにくい安定性を備えている。また、形状や大きさ、アクチュエータの種類などを問わずさまざまなロボットに適用できるほか、いろいろなデバイス（インターフェース）からロボットを動かすことができる。

アスラテックは、二足歩行ロボットの制御技術を応用した歩行制御のアルゴリズムを基に、ブレーキ制御に関わるプログラムや基板の開発で協力を行った。

「RoboChemia(EAM Knee)」はリハビリステーションで歩行練習で使われる長下肢装具の膝継手に装着するデバイスで、ブレーキ装置による膝関節の回転を制御する機能を備えている。

従来の一般的な長下肢装具は、膝関節を完全に固定した状態で使用されるため、利用者は膝を曲げることができずに不自然な歩行になるといった課題があったが、「RoboChemia(EAM Knee)」は、長下肢装具の膝が固定された状態と膝が自由に屈伸できる状態を、理学療法士（セラピスト）が手元のハンドスイッチで切り替えることができるようになり、リハビリテーションにおいて代償動作が少ない歩行練習を実現することを可能にする。

アスラテックが開発を行ったブレーキ機構は、どの位置からでも伸展方向に自由に動き、屈曲方向のみブレーキ制御を行う仕組みのため、歩行練習において間違って屈曲位で接地した場合でも、いち早く伸展位に移行する動きが可能。また立ち座り練習においても、屈曲方向のブレーキ力を調整することで安全な立ち上がり動作や腰掛け動作をサポートするなど、安全性に優れた設計になっている。

今回が「V-Sido」の福祉・介護分野における初の採用事例となり、アスラテックは「福祉・介護、健康関連にとどまらず、さまざまな分野での『V-Sido』の事業展開を進めていく」としている