身につけて歩けるイス「archelis(アルケリス)」 バッテリー不要で長時間の立ち作業が楽になる
今年の「第3回 ロボデックス ロボット開発・活用展」には人の動作を支援するパワードスーツの展示が目立っている。
少子高齢化や労働人口不足が、今後も深刻な課題となる。立ったり座ったり、移動して座ったりといった不規則な作業を支援するために開発されたのがニットーのウェアラブルチェア「archelis(アルケリス)」だ。
アルケリスを足に付けたまま歩行し、腰をかがめるとイスのように支えになるため、身につけるイスと呼ばれる。また、最も大きな特徴はモーター(バッテリー)を使っていないこと。バッテリーの充電やバッテリー切れを気にすることなく、手軽に装着して使用できる。なお、2018年度グッドデザイン賞を受賞した。
ブースには多くの来場者が訪れて体験していた。筆者も実際に体験してみた。
外科医の要望から生まれた
着脱はマジックテープで姿勢としては中腰だが、イスに腰掛けるようにアルケリスに体重をかけているため、負担が掛からずに長時間の作業がおこなえる。例えば、外科医の内視鏡手術の現場。この製品の開発のきっかけとなった。内視鏡手術は患者の負担が減ることで好評だが、外科医にとっては手術時間が8時間に及ぶことも少なくなく、ずっと立ったまま施術が強いられる。そのようなケースでも、状態は自由にかがめたり、移動して中腰で座ったり、と医師は比較的自由に動くことができ、かつ疲労感から解放され、施術に集中することができる。また、バッテリー駆動でないため、手術器具に悪影響を与える心配もなく、既に約30施設に導入されているという。
■身につけるイス「「archelis(アルケリス)」のデモ
装着してみた
モーターやバッテリーを搭載していないので、アルケリス自体の重さはそれほど感じない。着脱はマジックテープ式で足首と膝の上下、モモのあたりを固定して装着する。歩く感じは多少の違和感はあるが、ちょうどスキーブーツを履いている感じのスピードで自由に歩くことができる。
■アルケリスの装着体験
左右の脚どちらかを少し前に出して、かかとに重心を置いて腰を少し落とすと座った状態になる。体重を太股とすねのあたりで支えているような感じだが、体感が安定するので座っている感覚で、腰や下半身への負担が減ることが実感できた。なお、座った状態の腰の高さは調整することができる。
ただ、後ろに倒れると受け身がとりにくくて危険なので、少しの慣れは必要だし、足元が不安定な場所には不向きだが、医療向け以外にもさまざまな現場で活用できそうだ。今後は工場や警備、美容室、介護関係、釣りなどのレジャーにも展開していくとしている。
価格は月額3〜5万円のリースとなっている。
■公式動画
アルケリス (ニットー) 公式ページ