生活需品や食料品を輸送する無人物流、海洋ゴミの調査にドローンを活用 五島列島
長崎県にある五島市は、ドローンを活用した新産業・雇用創出を目指したドローンi-Landプロジェクトの一環として、離島間の無人物流事業と海洋ゴミの調査事業を開始したことを発表した。
離島間無人物流事業では、生活必需品や食料品、緊急時の医薬品等をドローンで輸送することで利便性を高めたい考えだ。また、海洋ゴミ調査事業は、世界遺産の島として構成資産を管理するために行われる。e-VTOL型の無人航空機の導入が検討されている。
輸送手段としての活用
離島間無人物流事業は、ドローンを輸送手段として活用するために、「地域住民の生活必需品・食料品及び各種サービスへのアクセス手段を提供」と「離島部からの集荷及び一次産品等の発送網の構築」、「緊急時の医薬品等の輸送ルートの構築」の検証が行われる。
■目的
・離島地域における住民生活の利便性の向上
■実施時期
・2019年3月下旬(予定)
■内容(予定)
・設置した気象観測装置の飛行判断基準としての運用の検証
・五島市内の奈留島-前島間(笠松港)の海上を、ドローン(e-VTOL型無人航空機)及び、無人航行ミニボートを用いて港から港へ物資の輸送を行い、さらに無人陸上輸送用ミニカートを用いて荷物を配送。
(天候状況によってe-VTOL型無人航空機以外の機体を飛行させる場合があり、ミニカートも実証当日の天候状況及び各署の許可状況に応じて計画を変更する場合がある)
また、検証を行うと同時に、ドローンの飛行可否判断を目的として気象観測装置を設置する予定。この装置は、初年度にセンサーによる、風向・風速・降雨量・気圧・気温・湿度のデータ取得が予定されている。
これらの情報は、ドローンの運行判断に活用するのみならず、農業・水産業等他分野への活用が期待されるそうだ。さらに装置は、上記の6種類以外のセンサーの追加が可能となっており、次年度以降、取得データを拡張することができる。
海洋ゴミ調査事業
五島市は一次産業が盛んで、水産業は重要な位置を占める。また、五島市は美しい海岸を有する観光地として、観光産業の成長に取り組んでいるとともに、世界遺産の島として構成資産を管理する責務を負っている。
こういった五島市の置かれた立場と、世界的な目標である持続可能な開発目標(SDGs)を掲げる世界的な文脈の中、海洋ゴミに係る調査事業を五島市で実施。
取り組み初期は海洋ゴミの中でも海岸に漂着するゴミの量、種類、再漂流ゴミ量等を調査するために無人航空機(ドローン)を活用し、取得した画像データを分析し、分布等の季節性などのデータ化を行い、これらのデータを活用してより効率的なゴミ処理につなげる計画だ。
同計画は、今年度に五島市三井楽北西部の海岸で週5日程度、海岸線に沿ってドローンを飛行させ、画像を取得、ゴミの状況を画像から分析するため画像解析の専門家と連携を図りながら、効率的な海ゴミ処理の仮説立案と、海ゴミデータ分析用ソフトウェアの開発に向けた検討を行う。
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山田 航也横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。