ソフトバンクがボストン・ダイナミクスに40億円を融資 人材採用も活発に
昨年ソフトバンクがGoogleの親会社Alphabetから買収したロボット開発会社「ボストン・ダイナミクス」。同社は、二足歩行のアトラスや四足歩行のスポットミニなど、圧巻のロボットで世界中を魅了している。
そんなボストン・ダイナミクスに関して、英・Yahooファイナンスが興味深い情報を掲載した。これによれば、SoftBank Group Capital Limitedがボストン・ダイナミクスに対して2018年6月と9月に3700万ドル(約41億円)の融資を行なったというのだ。その後2019年1月7日に普通株式2株に転換されたと同記事は伝えている。
量産に向けて動き出したSpotMini
2018年5月に開催された「TC Sessions Robotics 2018」にて、ボストン・ダイナミクス CEOのマーク・レイバート氏は、年内に100体のSpotMiniを製造し、2019年には量産を行なう計画を語っていた。その後マーク・レイバート氏は「2019年に年間1000台を製造する」と語ったという報道もある。
今回の融資は製造および量産に関する資金調達といったところだろうか。なおYahooファイナンスの記事では「ソフトバンクはGoogleの親会社・Alphabet社から1億ドルでボストン・ダイナミクスを買収した」とあるが、金額については日本では別の情報も飛び交っており真偽は定かではない。この買収額ついてソフトバンク広報に問い合わせたところ、「買収額は非公表でどこにも開示していない」との回答が返ってきた。
ソフトバンクが2018年上旬にボストン・ダイナミクスの買収を完了したことで、日本のいくつかの企業が恩恵を受けた。実際に竹中工務店や大和ハウスグループの株式会社フジタがSpotMiniを活用した実証実験を行なったことを発表している。
現在のところ建設現場での警備や進捗管理といった目的で活用されており、足場が悪く、エレベーターなどの移動設備も整っていない環境ではSpotMiniのような階段を行き来できるロボットは重宝されているということだろう。
一方で関係者からは当時、実証実験中はSpotMiniの利用方法について非常に厳しく管理されていたため、実際の検証までは至らなかったという声も聞かれた。
竹中工務店、フジタ両社共に2019年夏以降の本格稼働を目指すと発表しているが、これはSpotMiniの量産タイミングが夏であることを示唆している。
人材募集も活発に
ボストン・ダイナミクスはこれまで以上に採用にも力を入れている。同社のHPでは、複数の職種の人材募集が行なわれており、制御システムエンジニアやソフトウェアエンジニアなど技術系の職種から、セールス担当副社長や人材担当副社長、PR・マーケティングなど幅広い職種が並んでいる。勤務地はマサチューセッツ州ウォルサム。最先端の技術力をもった会社の拡大期の業務は、非常にエキサイティングな経験となることだろう。
また、2019年夏に向けて機械学習の知見をもつ学生をサマーシップインターンとして募集している。学生にとっては、世界最先端のロボットから得られた情報をもとに分析を行なうという、他ではできない経験ができそうだ(残念ながらこちらは米国の市民権もしくは永住権が必要とされている)。
ここからの半年間は、量産・導入・人材採用など、ボストン・ダイナミクスにとって特に重要な時期になりそうだ。