ロボホンの販売台数は1万2千台、右肩上がりに成長中!お留守番や英語学習など新機能を大幅に追加
「RoBoHoN」(ロボホン)の新しいフェーズへの挑戦がはじまった。アプリやサービスを拡充し、新分野への進出で2020年度までに3万台の販売を目指す。
新しいロボホンが発表になった。2016年5月に初代ロボホンが発売されてから、今回は初めての大きなバージョンアップとなる。デザインを含めてハードウェア的にはインパクトのある大きな変更はなく、主に「より使いやすさ」がブラッシュアップされた印象となっている。そして、消費者モデルは「家族向け」を強く意識し、BtoBや、BtoBtoCへの新しい展開を含めてビジネスの拡充を行っていく。
発表会には、シャープの専務執行役員 長谷川祥典氏、「ロボホンの母」の異名を持つシャープの景井美帆氏、ロボホンのクリエイターの高橋智隆氏の3名が登壇した(冒頭の写真)。更にゲストとして住友生命保険相互会社の小野寺成子氏、アルクの代表取締役社長の田中伸明氏も登場した。
ロボホンは着実に進化を続けている
ロボットクリエイターの高橋氏は、「スマートフォンも機能の向上とともに認知され、普及には少し時間がかかった。ロボホンも機能を向上しつつ、着実に進化している」とした上で、「ロボットにもスマートフォンの音声入力が搭載されている。私達はペットにも声を掛けるのにスマートフォンの音声入力がほとんど使われていないのはなせか」と課題の提起をし、「スマートフォンには声をかけづらいが、ロボットのように生物感があり実在するものに対しては話しかけやすい」と語った。そして、ロボホンの実績が右肩上がりで向上しているのは「生活を一緒にするロボット、持ち歩くロボットの魅力が少しずつ市場に浸透してきているのではないか」とコメントした。
実際、ロボホンは毎月のようにダンスや歌が追加され、ソフトウェア的に着実に進化を続けてきた。そのことに異論を投じる業界関係者はおそらくいないだろう。
働くお母さんを対象にしたロボホンの実証実験に協力した機能住友生命保険相互会社の小野寺氏は新機能「お留守番」ロボホンについて、子どもより先に仕事に出かける母親もいる、子どもがちゃんと学校に行けたかどうか、予定通りの時間に帰宅したかどうかが、手元のスマートフォンで確認できるのはとても評価できる、ロボホンは家族をもっと近づけてくれる存在だ、とした。
アルクは英語学習にロボホンを導入する。「依然、日本人には英語に苦手意識を持つ人が多い。未就学の段階から英語に親しんでいく必要がある。そして、プログラミング教育が必修化され、英語学習の教育現場もICTを使って大きく変革していく時期。実証実験では、ロボホンを導入することで子ども達の英語の発話回数が2倍近く増えた」とコメントした。
新しいロボホンは、ハードウェアの進化よりもサービスやアプリ拡充に重点を置いている印象だ。新型ロボホンに併せてリリースされるもの、今夏くらいにかけてリリース予定のものなども含めて、46のアプリのラインナップが予定されている。なお、従来の初代ロボホンでもこれらを利用することができる。
ロボホンの販売台数は1万2千台
ロボホンはこれまでに1万2000台が販売されてきたという。具体的な数字が発表されたのはおそらく初めて。今回の新モデルは2020年度までに3万台の販売を目指すとしている。
2019年1月末時点での数字として、ロボホンのサブスクリプション月額課金である「ココロプラン」の継続率は81.3%とし、ユーザーの満足度は同社のアンケートに対して約8割が満足と回答していると言う。
ビジネス面では、ロボホンを使ったアプリやサービスを開発する認定パートナーの数は80社を数え、400以上の法人に導入されている。
一部の報道では「コミュニケーションロボットは一時のブームが去った」とも言われているが、ロボホンは右肩上がりに売上げを伸ばしていると言う。
これもロボホンの満足度が高く、少しずつではあるが活用の幅を広げていっていることの成果と言えるかもしれない。
しかし、更に右肩上がりの成長を続けていくために、今回、新たなユーザー層の獲得と、BtoB分野、BtoBtoC分野への注力へと舵を切るということにほかならない。
教育・観光・接客の拡大
こういったことを背景にBtoB分野では「教育・観光・接客の拡大」の3つの新たなソリューションに注力する。
教育分野では先頃、姫路市の小学校でロボホンの大量導入が発表されたように、プラグラミング教育分野への展開をはかる。
また、英語教室など英語学習への進出も果たす。アルクと共同で英語教室で本格導入されることが発表された。ロボホンが子ども達の英会話学習の相手になって、テキストブックの内容と連携して英会話を行うサービスが本格導入される。
また、観光分野では多言語の観光ガイドを行うことで実績が上がり始めているという。また、施設案内や受付のアプリ提供も行っていく予定だ。
家族に役立つ、家族で楽しめるロボホン
シャープの発表によると、ロボホン所有者のうち、家庭に小学生以下の子どもがいるユーザーは8%だと言う。2020年から必修化となるプログラミング教育の導入もあって「子ども達にロボットがいる生活を体験して欲しい」と感じている親が多いと分析する。
そして、こうしたことを背景に、家族にやさしい、家族で楽しい4つのアプリサービスをリリースする予定だ。
お留守番
その中のひとつが「お留守番」だ。
お留守番機能は次のような使用方法が「一例」として想定されている。ロボホンがリビングで留守番をしている。子どもが学校から帰ってくると、それを認識して(動くものを検知して)、仕事場の母親や父親のスマートフォンにロボホンから子どもが帰宅した旨のメッセージが専用アプリに届く。母親は専用アプリにはロボホンのカメラ画像を写すことができる。ロボホンを遠隔操作して部屋のなかを見渡し、子どもを見つけてアプリにメッセージを入力すると、それをロボホンが読み上げて、子どもは手を降ったりしてそれに応えるかもしれない。
このアプリを実際に働く母親たちに使ってみてもらったところ、11人中8人が役に立ったと回答。「子どもが帰ってきたのがわかるので安心する」という声が多かった。
お留守番ロボホンのデモでは、スマートフォンの専用アプリを操作してロボホンのカメラの画角や顔の向きを操作。ロボホンのカメラが写した映像をアプリで確認できることが実演された。
■お留守番ロボホン
プログラミングツール
自由に動かしたり、会話させたり、ロボホンをプログラミングできるツール「ロブリック」は子ども達が楽しみながらブログラムに親しむことができる。
いわゆるスクラッチベース、ブロックになっているコマンドをドラッグ&ドロップしてプログラミングできるツールだ(別売8,900円)。実はロボホンにはロブリックとは別にスクラッチを使った法人向けのプログラミングツールがあり、それは小学校などのブログラミング教育で利用されている。ロブリックは家庭用にリリースされたもので、家族で楽しみながらロボホンのプログラミングが簡単操作で体験できる。
■ロボホンのプログラミングツール「ロブリック」
ジョイサウンドと連携したカラオケ「ボクと歌お」
6月より、JOYSOUNDと連携したカラオケアプリがリリース予定だ。一般のカラオケアプリと異なるところは、ロボホンと一緒に歌うこと。伴奏だけでなく、ロボホンの声で歌うので、家族そろって合唱すると面白いかもしれない。利用料金は別途、有料のサプスクリプションとなる予定だが、金額は未定。
■ジョイサウンドと連携したカラオケ「ボクと歌お」
RoBoHoN Lite HEMS
BtoBtoC展開のひとつとして「RoBoHoN Lite HEMS」(HEMS連携機能モデル)が紹介された。
「RoBoHoN Lite HEMS」は、シャープの太陽光発電「サンビスタ」やスマートホーム機器と連携し、「蓄電量が消費量を上回ったらロボホンがバンザイして通知するなどが予定されている。
ほかにも、声で「電動シャッターを閉めて」とロボホンに指示をすると家のシャッターが閉まるなどの連携が行える。ちなみに現在のシャープのHEMSシステムでは、天気予報と連携して地域に大雨の予報が出ると、停電に備えて、太陽光発電の蓄電量を増やすなどの自動制御機能も行える。
これからも着実に機能アっプが予定されているロボホン。
ますます目が離せない存在だ。
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神崎 洋治神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。