【GTC 2019】NVIDIAの小型ロボット「Kaya」が可愛い!展示会場で出会ったJetson搭載の自律ロボットたち 巨大な農業用ロボットも

シリコンバレーで開催中のGPUとディープラーニングの世界最大級のイベント「GTC 2019」の展示会場ではたくさんのロボットたちに出会うことができる。今年の展示会場は全体的に昨年より拡大され、「Jetson」エリアも大きく設けられている。


そこにはイチゴを摘むことで話題になった巨大なロボット、クリクリとした目が可愛いデリバリーロボット、基調講演で紹介された小さい自律型ロボット「Kaya」、更には研究中のテクノロジーなど多数の企業とプロジェクトチームによる展示がされている。まずは、NVIDIAとNVIDIA Robotics Research Labが展示している内容から紹介しよう。




Kaya (カヤ)

まずは、昨日のNVIDIAのCEO、ジェンスン・フアン氏の講演で紹介された小型のロボット「Kaya」(カヤ)。
同じく昨日発表された超小型のAIコンピュータボード「Jetson Nano」を内蔵し、NVIDIAのIsaacプラットフォームで開発されたロボットだ。フアン氏も小型の玩具と表現していたが、GPUを搭載した自律ロボットであり、展示ブースでは缶や を見分けて、それに合わせてそれぞれのコーナーに運んで落とすデモが行われていた。

Kaya。ヘルメット型の頭部とニコニコ目を模したようなデザインがかわいい。この日の展示ではカメラだけで動作。オムニホイール3輪で移動する

ステレオカメラ、デプスカメラ(深度センシング)、IRカメラを搭載している

ボディの下部、オムニホイールの間に見える黄色いのがバッテリー

Kayaのバックビュー

Kaya、バッテリーを交換中

デモ展示で動作するKaya

■デモの様子




Carter

Carterも展示会場で仕事をしていた。CarterはNVIDIAの本社でランチやドリンクを運ぶ自律移動型ロボット(デリバリーロボット/AGV)だ。セグウェイの駆動機構を使用し、知能化には「NVIDIA Jetson AGX Xavier」を使用していて、ボディの前面の中央にそれが確認できる。高性能な「NVIDIA Jetson AGX Xavier」と小型の「Jetson Nano」は同じスタックで開発できる。

Carterも活躍中

某社のポテトチップスも運べる



Jetson Nano 、JetBot Robotics Car

Jetson Nanoを使ったJetBotプロジェクトの小さなロボットカー、コンセプトモデル。同様のロボットカーが簡単に開発できるようになる。Jetson Nanoの詳細はブログ(英文)を参照。


GHOST ROBOTICS

昨年のスタートアップの大会「Inception Award」で注目されたGHOST ROBOTICSの展示。ボストンダイナミクスのSPOTような四足ロボットが丸太に乗ってバランスをとっているデモ。ロボットにはNVIDIA Jetson AGX Xavierを搭載している。また、GeForce RTX 2080iも使われている。四方からカメラに囲まれているが、注目すべきは開発環境で、Jetpack SDKのほか、ロボティクスの開発シミュレータの「Isaac Sim」と「Isaac SDK」が使われていること。




人が周囲でジャンプするとビジョンで認識して、ロボットが驚くというしくみも入っている。デモで実演してもらったが、動画ではあまり大きな反応をロボットがしなかった(ビクッと驚くこともある)。

■デモの様子

A:カメラ B:ロボット本体 C:Isaacシステム内の表示画面

実際の環境とは別に、Isaac Simの仮想空間でバランスを学習している。


NVIDIAのロボティクス開発環境 Isaacの画面。リアルで丸太から落ちるとロボットが壊れる危険もあるが、仮想空間なら故障を心配せず学習できる



NVIDIA Robotics Research Lab

シアトルに開設したNVIDIA Robotics Research Labからの展示。産業用ロボットアームを使ったデモ。ビジョンシステムはKinectのみ、GPUはTITAN RTXを使ってディープラーニングで学習。指先にはタッチセンサーを装備している。カップの位置を認識してロボットアームがカップを追従して重ねて置いたり、指先のセンサーに人が触ると反応したりする。

A:ロボットアーム(カメラはない) B:Kinectセンサー C:使用しているGPU


■デモの様子



AGROBOT

イチゴを摘む巨大ロボットとして、ロボスタ読者にも大人気のロボット。知能化システムは小さなボックスで、中に「Jetson TX2」が内蔵されている。


巨大で耕運機のような車体は迫力満点!

巨大な車体の知能を支える銀色のボックス。この中に「Jetson TX2」が内蔵されている

イチゴの熟れ具合をディープラーニングで判別する


武蔵精密工業

日本の企業、武蔵精密工業は産業用ロボットアームがこれから出荷するベベルギヤをつかんで品質検査を行うデモを展示。検査業務を自動化するシステムを提案。ロボットアームはつかんだ部品をライトとカメラの前に持っていき、カメラがビジョンシステムで傷などの異常を確認する。同社はJetsonを搭載したAIコンピュータボックス「ニューラルキューブ」を商品化していて、今回のデモではビジョンで傷の検査を行う業務を担っている。(武蔵精密工業はABEJAとの協業を発表している)



ニューラルキューブ(Jetson内蔵)

ラインに流れてくるベベルギアをロボットアームがつかんで、ディープラーニングで出荷前検査を行っていくことてで自動化するイメージ。

■デモの様子



ざっと紹介しただけでも、新しいジャンルの知能化が
進んでいることを感じることができるだろう。ディープラーニングを使って知能化の研究が進み、ロボットや自動運搬車などに反映されることで、市場には多くの自動化製品が登場していくだろう。更に追加情報が入れば、別の記事でお伝えしていきたい。



(Featured Ayuka Alyson Kozaki)

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神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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