三菱重工、消防ロボット2機種を開発 遠隔操縦は実運用可能レベル
三菱重工業は、消防隊員の接近が困難な火災現場での活躍が期待される実戦配備型機消防ロボットの「放水砲ロボット」と「ホース延長ロボット」を開発したことを発表した。
放水砲ロボットは、放水または泡放射を行う放水砲を備え、1分間に4,000リットルの放水を行う消防ロボット。主に石油化学コンビナート(原料・燃料・工場施設が集中的に立地する工業地域)や化学プラントなどの人が近づけない大規模・特殊な災害時に使用される。
一方のホース延長ロボットは、最大300mまで消防用ホースを地面に自動敷設し、ポンプ車や消火栓等の水源まで走行する消防ロボット。
これら2機種は、「偵察・監視ロボット(飛行型および走行型2機種)」ならびに「指令システム」との組み合わせにより「消防ロボットシステム」を構成し、専用の運搬車両1台に搭載して現場に移動することができる設計になっている。
同消防ロボットシステムは、消防庁消防大学校消防研究センターが平成26年度(2014年度)から5年計画で進めている「エネルギー・産業基盤災害対応のための消防ロボットシステムの研究開発」プロジェクトに同社が参画し、開発を手掛けてきたものだ。
遠隔操縦で対応可能な災害であれば、運用可能なレベルであり、自律機能や連携機能も一部組み込まれている。
放水砲ロボットとホース延長ロボットの連携機能としては、画像認識により連携して自動的に追従走行ができ、ホース延長ロボットは走行状況に応じて自動的にホースの繰り出し巻き取りが行える。
これらの2機種は液状化した泥地などに強い農業用小型バギーを改造した専用車体にGPSやレーザーセンサーを搭載し自律制御可能な移動台車としたもの。2台のロボットは、お互いが消防用ホースで接続された状態で自動運転により火元へ向けて走行する高度な技術を搭載している。
放水砲ロボットは、国内で想定される最大規模の石油タンク火災に対して50m程度まで接近可能な耐放射熱性を備えており、放水圧が1.0MPa、有効最大射程が80mの新規に開発設計したノズルで消化冷却を行う。また、全てのロボットは電動であり、通常のカメラのほか、熱画像カメラ、可燃性ガス検知器、放射熱計などの計測器、自律制御や協調連携制御のためのGPS、慣性航法装置、レーザー距離計などのセンサーが搭載されている。
今回、同プロジェクトの5年の成果として完成した実戦配備型ロボットの性能を実証する実演公開が3月22日に東京都の消防庁消防大学校消防研究センターにおいて行われた。
三菱重工は今後も、社会基盤の高度化に貢献する多様なロボット関連技術の開発に力を注いでいくとしている。
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山田 航也横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。