エクスウェアと聖路加国際大学がロボットで医療説明を 患者は医師の説明に不満とのデータも

エクスウェアは学校法人聖路加国際大学と「ICアシスト for Pepper」の開発に関する相互協力の基本合意書を締結し、医療説明の支援を目的とした共同研究を行なうことを発表した。今回の共同研究は、多様化・高度化が進む医療業務に対して、ロボティクス、人工知能(AI)などの情報技術を活用することを目的としている。

医療現場においては、十分な説明による情報提供が非常に大切だと言われているが、医療への不満の理由の第1位には「医師からの説明」がランクインしている。つまり、患者は医師からの説明に満足していない人が多いということだ。そして第2位には待ち時間がランクインしているという(日医総研ワーキングペーパ 6回日本の医療に関する意識調査より)。

「説明時間」と「待ち時間」は背反の関係にあり、患者に丁寧に説明を行って多くの時間を費やすと、結果的に患者の待ち時間が長くなってしまうというジレンマを医療現場は抱えている。

そこで考えられるのが、この医療説明を看護師や医療事務員などの他職種に委ねることだ。しかし、医療説明は客観的な分析が困難であり、また患者の反応や理解度を見ながら調整していることから、他職種へ委ねることは難しいのが現状だとエクスウェアは説明する。

今回の共同研究では、ヒト型ロボットを活用することで説明内容の標準化と再現性を実現した上で、その説明に対する患者の反応や理解度を数値化する仕組みを構築する。これにより、説明から理解・同意に至るプロセスを客観的に評価することが可能になる。また、標準的な内容は均質な説明があらかじめ提供され、医師は個々の患者の応じた内容の説明や、反応・理解度に応じた説明に集中することが出来るようになる。これにより、説明の質の向上と共に時間の有効活用が可能となり、上記課題の解決が期待される。



同研究は、ソフトバンクロボティクス社主催のPepper活用アイディアコンテスト「Pepper Owners Challenge 2018」がきっかけとなっており、同コンテストでは最優秀賞を受賞している。

ABOUT THE AUTHOR / 

山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

PR

連載・コラム