ソフトバンクロボティクスは、AI 清掃ロボット「Whiz」(ウィズ)を活用したパートナープログラム「AI Clean パートナー」を発表した。清掃業界の課題解決を目的に、既に清掃業界やビジネス関連分野で実績のある8社と契約を締結し、「Whiz」の拡販と普及を目指す。
AI Clean パートナー企業はアクティオ、大塚商会、シーバイエス、ソフトバンク、ダスキン、リコージャパン、ディーコープ、リ・プロダクツの8社。「Whiz」のリースやレンタル、保守サービス、消耗品販売等を行っていく。
「Whiz」の基本のリース料金は月額2.5万円。サービス内容は「AI Clean パートナー」各社それぞれ若干異なるものになる可能性がある。なお、ソフトバンクは既に「Whiz」の受注を開始しているが、パック料金や3年プラン等なども設定される可能性がある。気になる発売時期は、それぞれパートナー各社に委ねられる。早いところでは来月の発売を目指して販売が開始される予定だ。
発表会では今まで公開されていなかった清掃能力のデモも行われた。
15施設で実証実験、成約率は100%
発表会での冒頭、ソフトバンクロボティクスグループの冨澤社長とソフトバンクロボティクスの吉田事業推進本部長がそれぞれ登壇し、パートナープログラム開始に当たって、Whizの状況を解説した。
Whizの販売に先がけて、同社は短期間ながら15施設でWhizの実証実験を行って現場の声を集めた。驚いたのが、実証実験に協力した15のすべての施設が本格導入を決めたことだ。実証実験を経ての成約率は100%となる。
ロボットが清掃できる範囲なら清掃能力は人間超え
「清掃業界は深刻な人手不足の状態。この状況を少しずつでもAI技術で改善したい」と冨澤社長は語る。更に「掃除ロボットによるコスト削減は実は限定的。実証実験で特に評価されたのは掃除能力で、スタッフによる清掃を上回るケースもある」とした。
続けて吉田氏はWhizの4つの特徴を整理した。掃除をしながらWhizにコースを記憶させる「かんたんティーチング」(技術者の関与や設定は不要)、障害物が置かれていてもきちんと検知して自動で避けて掃除を続ける「環境自動対応」、「1時間500平米」の清掃能力、どの範囲が掃除できなかったかとか、ペーパーバッグのゴミの溜まり具合などを通知するなどクラウド管理できる「データ見える化」の4つ。
吉田氏はROIを項目ごとに比較して、清掃ロボットによる自動化の効果を示した。が、しかし、実際には実証実験で評価が高かったのはROIよりも清掃能力の高さだと言う。
では、なぜ清掃ロボットの方がスタッフよりも清掃効率が高いのか。
その理由のひとつが「ロボットは学習したコース全面を確実に清掃する」こと。目でゴミを確認できないところも含めて全面的に清掃するので、結果として髪の毛や花粉、ダニやカビを含めて微少なゴミも回収できるとした。更に「新開発のブラシモーター」もこの結果に貢献していると分析した。
■Whizの「かんたんティーチング」と清掃能力のデモ
AI Clean パートナーは8社でスタート
そのあと、「AI Clean パートナー」各社が登壇してプレゼンテーションを行なった(リコージャパンを除く)。各社は実証実験を通じてWhizの潜在性能を高く評価していて、「清掃能力が高いこと」「空気を浄化するヘパフィルターを内蔵しているので、「Whiz」が通った後の方が空気がきれい」など、多くの評価点をあげて賞賛した。
各社は事業内容やサービスにそれぞれ特徴をもっていることから、ユーザーはどのパートナーから購入するかで、若干の違いが生まれるようだ。なお、今回の発表に伴い、「AI Clean 元年」という名称で、3,000施設を対象にAI清掃ロボット「Whiz」を最大1カ月無料で活用できるお試しキャンペーンを実施する。申込みはソフトバンクロボティクスが受け付け、実施にあたってはパートナーが中心となってオフィスを訪問、設定やロボットによる清掃、清掃レポートの提供などが行われる。既に本日より申込みが始まっていて、応募多数の場合は抽選となる。
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神崎 洋治神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。