2019年4月11日、Amazonがジェフ・ベゾスの株主書簡を自社ブログで発表した。その中にAlexa/Echoに関する記述があったのでいくつか紹介したい。
Fire PhoneとEchoの開発はほぼ同時期に開始
Amazon製スマートフォン「Fire Phone」とEchoの開発はほぼ同時期に始まったという。
Fire Phoneは2014年6月に発表されたものの2015年8月に販売中止となり、商業的には失敗に終わった。しかしAmazonはその失敗の経験を生かしてEchoとAlexaの開発を加速させたという。
EchoとAlexaのビジョンはスタートレックにインスパイアされた
EchoとAlexaのアイディアは、映画スタートレックのコンピューターの影響を受けているという。映画の中で、コンピューターを呼び出す時に「ハロー、コンピューター」と呼ぶのだが、Alexaのウェイクワードに「アレクサ」「エコー」以外に2017年1月に「コンピューター」が選べるようになったのは、スタートレックへのリスペクトなのだろう。
もちろん映画のイメージだけではない。その当時Amazonがすでに得意としていた機械学習とクラウドのノウハウがあったことでEcho / Alexaを2014年に他社に先駆けてリリースすることができたのだという。
顧客はEchoを求めていなかった
ジェフ・ベゾスは書簡の中で、市場調査は役に立たたないと明言している。Echo発売前の2013年当時、常時電源が入っている会話可能で音楽再生ができる黒い筒型のデバイスをキッチンに置きたいと言う人はいなかったという。
現在、1億人以上がAlexaデバイスを購入
2014年の第一世代Amazon Echo発売以来、現在では1億人以上がAlexa対応デバイスを購入したという。
他にもAlexaの回答能力、スキルデベロッパーの数、ユーザーの話しかけ回数、搭載デバイスの数、搭載デバイスの多様さなどが昨年に比べて大きく増加していることが語られている。
僕はこう思った:
Amazon Echo発売前にユーザーが全く求めていた製品ではなかったというのは面白いところです。米国でAmazon Echoが発売されたのは2014年11月6日。現在はさまざまなライバルが登場してスマートスピーカー市場を作り、米国を超えて世界中で広がっています。そうなるまでわずか4年と5ヶ月しか経ってないということに驚かされます。
Source:The Amazon Blog / DayOne
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中橋 義博1970年生まれ。中央大学法学部法律学科卒。大学時代、月刊ASCII編集部でテクニカルライターとして働く。大学卒業後、国内生命保険会社本社において約6年間、保険支払業務システムの企画を担当。その後、ヤフー株式会社で約3年間、PCの検索サービス、モバイルディレクトリ検索サービスの立ち上げに携わる。同社退社後、オーバーチュア株式会社にてサービス立ち上げ前から1年半、サーチリスティングのエディトリアル、コンテントマッチ業務を担当する。2004年に世界初のモバイルリスティングを開始したサーチテリア株式会社を創業、同社代表取締役社長に就任。2011年にサーチテリア株式会社をGMOアドパートナーズ株式会社へ売却。GMOサーチテリア株式会社代表取締役社長、GMOモバイル株式会社取締役を歴任。2014年ロボットスタート株式会社を設立し、現在同社代表取締役社長。著書にダイヤモンド社「モバイルSEM―ケータイ・ビジネスの最先端マーケティング手法」がある。