コエステーションでALS患者の「声」を残す オリィ研究所ら、開発資金の調達を開始

遠隔ロボット「OriHime」を手がけるオリィ研究所と東芝デジタルソリューションズ、WITH ALSは共同で、自分の声を失ってしまうALS患者の声を救うサービス開発プロジェクトの資金調達を開始した

ALS(筋萎縮性側索硬化症)という難病は、病気の進行によって身体が動かなくなり、診断から3~5年には自己呼吸も困難となり、人工呼吸器の装着を迫られる病気だ。呼吸器を装着する事で生きることはできるものの、手足などの身体能力に加え、発話能力も失う病気である。



今回のプロジェクトは、患者が声を失う前に、東芝デジタルソリューションズの「コエステーション」を活用して、その患者自身の声を残すサービスを作るというもの。コエステーションは現在iPhoneアプリとして提供されており、提示されたテキストをユーザーが声に出して読み上げていくだけで、自分の声に近い合成音声を作ることができるサービスだ。

このコエステーションと、比較的病気が進行してからも動かすことができる”視線”で文字入力が可能な「OriHime eye」を組み合わせることで、病気が進行してしまってもパソコンやロボット・OriHimeから本人の声でコミュニケーションが取れるようになる。



これまでも視線入力の「OriHime eye」はALS患者のコミュニケーションをサポートするツールとして寄り添ってきた。しかし、ここから発せられる声はあくまで合成音声で、オリィ研究所代表の吉藤さんの表現を借りれば「感情も乗らない機械的な音」になってしまう。



吉藤さん自身が年間数十名のALS患者さんと会う中で、何人もの当事者やその家族から「本人の声で話せないだろうか」「もう主人の声を忘れてしまった」との声が寄せられていたのだという。吉藤さんはこれについて、「元々の”自分の声”を話せなくなってしまうというのは、普通に話す事ができる私にはその辛さを想像できませんでしたが、よく考えれば顔などと同じ、”自分の一部”を永久的に失う事でもあったのです」と述べており、コエステーションを活用して本人の声を残しておくことの大切さを語っている。

今回のプロジェクトで調達した資金は、コエステーションとOriHime eyeの連携にかかるサービス開発費用や、患者さんへのPR・動画作成費用などに充てられるという。記事執筆時点では、目標金額150万円に対して60%となる90万円が集まっている。

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ロボスタ編集部

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