Alexaスキル ZOZOの「コーデ相談」はこうして企画・開発・リリースされた 「Voice UI Show」で5つのステップを紹介

「Voice UI Show 2019 Spring」の基調講演では、スキルを実践導入した企業としてZOZOテクノロジーズが登壇した。

ZOZOテクノロジーズ(以下、ZOZOテク)はお馴染みファッションブランドZOZO(ZOZOTOWN)の関連企業で、スマートフォン向けの日本最大級のファッションコーデ・アプリ「WEAR」と連携したAlexaスキル「コーデ相談 by WEAR」を約一週間前にリリースしたばかり。ファッションコーディネートアプリ「WEAR」に投稿された800万件以上のおしゃれなコーディネートから、音声だけでお気に入りのコーディネートが見つかるAmazon Alexaスキルとなっている。
講演では同社のイノベーション推進部のAIユニット、中村友香氏が登壇し(冒頭の写真)、スキル「コーデ相談 by WEAR」の企画から開発・リリースまでの経緯、プロセスを体験談として紹介した。

スマホアプリの「WEAR」は1300万ダウンロード、コーディネート投稿総数は800万件以上(2019年3月時点)の実績を持つ。スマホアプリでは、気に入ったファッションがあればZOZO TOWNで購入することができる。人気ブランドがAlexaスキルとして展開されることで、スキル全体の利用頻度が増えていくのは活性化に繋がると見られる。

スマートフォン用は人気のアプリとなっている

新しく買った服をどう着るか? スキルに相談することで素敵なコーデを提案してくれて、着回し上手になれる、そんなスキルになっている。チームのメンバーは3名で開発にあたったという。

■ Alexaスキル「コーデ相談」ZOZOテクのデモンストレーション


リリースまでの5つのステップ

リリースまでのステップとして5つをあげた。
まずは、ファッションと音声UIを結びつけるのにはどうあるべきか、最適な機能とは何か、どんな体験がユーザにとって有意義かを検討した。
目指すのは「今日に何を着ていけばいいかな」と話しかけるだけで、例えば今日はプレゼンがあるからなどの理由から「大人コーデ」を薦めるなど、アドバイザー的な存在になることがそのひとつと定義した。

アドバイザーとして「人格」を感じたり、「レベルによって回答が異なる」要素などを入れたかった

そんな未来に向けて、開発メンバーは音声UIの特性、音声UIとファッションの親和性などを調査、更にはファッションやコーデに関する悩みごとをリサーチしてペルソナを作成した。



次に課題を洗い出した。課題を洗い出しただけではユーザーのためのサービスとは言えないので、ペルソナを掛け合わせてサービスの種の洗い出しを行った。

いよいよプロトタイプの作成。プロトタイプを多数試作した検証を重ねたが、講演ではA〜Dの代表的な4タイプを紹介した。


当初は日本では画面付きの機器がなかったが、開発中にスマートディスプレイ製品が発売されたので、画面付き機器を対象に視野に進めたという。


そして最後に最大限プロダクトを磨き込んでリリースにこぎつけた。プロトタイプとサービス・プロダクトは全く異なるものと定義して、音声UIやAlexaをはじめて使う人にも利用が簡単か、会話の流れを再度確認して、会話が楽しくなり、相談する感覚に近いかに注意しながら作り込んだ。


また、リリースして完了ではなく、当初に理想として掲げた、音声UIとファッションがどうあるべきかを検証していくことが重要とした。

このプロダクトが会社に対してどのような貢献を果たしたかという点に触れ、R&D部門の知名度向上、技術知見のプール、求人採用面での寄与をあげた。マネタイズに直結することよりも、プレスリリースやメディア露出、イベント登壇等によるZOZOテク時代の知名度の向上やそれにより求人面でのメリットを感じたという。また、知見という面では、3名での開発チームながら開発手法に新たな取り組みができた点をあげた。


最終的には未来で当たり前に使われているサービスにしていきたいというひと言で締めた。

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ロボスタ編集部

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