運転中のAIアシスタントの音声操作、運転者の集中力に影響を及ぼすか?

車載音声アシスタントの動きが活発化している中、音声操作は運転に影響を及ぼすのか及ぼさないのか、海外のいくつかのレポートを紹介したい。


Transport Research Laboratory

まず交通に関わる調査研究、コンサルティングなどを行う「英国交通研究所(TRL)のレポートを紹介する。


Image: Transport Research Laboratory

運転中にハンドヘルドデバイスを使用すると、応答時間が0.5秒増加し、時速70マイルで運転中の場合停止距離が15メートル以上伸びる。そしてハンズフリーを使用しても、時速70マイルでは停止距離が12.5メートル以上伸びるということが示されている。どの速度域でもハンドヘルド、ハンズフリーの差は僅かであって、停止距離が伸びてしまう傾向が明らかとなった。



Image: Transport Research Laboratory

そして、注意力不足が安全性に与える影響は、デバイスよりもタスクに依存することが示唆されたという。



AAA Foundation

続いて、米国の交通安全を推進する非営利団体「AAA Foundation」のレポートを紹介する。



Image: AAA Foundation

Apple Siri、Google Google Now、Microsoft Cortanaを使用した音声ベースのインタラクションがドライバーの認知作業負荷に及ぼす影響を調査した結果、音声ベースのパーソナルアシスタントを使用して電話をかけたり、音楽を選択したり、テキストメッセージを送信したりすると、運転するだけの場合と比べて、運転手の気が散ることが大幅に増えたという。

システムエラー数、タスクにかかる時間、操作のしやすさが、注意散漫の程度と関係があるという。


外部リンク
AAA Foundation

僕はこう思った:

音声アシスタントを運転中に使う場合はハンズフリー・アイズフリーとは言え、集中力を奪われるという調査結果があるということは知っておくべきでしょう。


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中橋 義博

1970年生まれ。中央大学法学部法律学科卒。大学時代、月刊ASCII編集部でテクニカルライターとして働く。大学卒業後、国内生命保険会社本社において約6年間、保険支払業務システムの企画を担当。その後、ヤフー株式会社で約3年間、PCの検索サービス、モバイルディレクトリ検索サービスの立ち上げに携わる。同社退社後、オーバーチュア株式会社にてサービス立ち上げ前から1年半、サーチリスティングのエディトリアル、コンテントマッチ業務を担当する。2004年に世界初のモバイルリスティングを開始したサーチテリア株式会社を創業、同社代表取締役社長に就任。2011年にサーチテリア株式会社をGMOアドパートナーズ株式会社へ売却。GMOサーチテリア株式会社代表取締役社長、GMOモバイル株式会社取締役を歴任。2014年ロボットスタート株式会社を設立し、現在同社代表取締役社長。著書にダイヤモンド社「モバイルSEM―ケータイ・ビジネスの最先端マーケティング手法」がある。

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