羽をパタパタ、須磨水族園のペンギン型AI解説ロボットが夏休みに帰ってくる!試験運用でわかった課題とその対策とは

株式会社神戸デジタル・ラボ(KDL)と神戸市立須磨海浜水族園(スマスイ)は、今年5月から6月にかけて須磨海浜水族園で試験運用した「マゼランペンギン型解説システム」を夏休み限定企画で再展示することを7月25日に発表した。


同システムは、来園者が発話した質問に対して、2羽のマゼランペンギンのぬいぐるみ「アレハンドロ」と「アンジェリーナ」がAIで自動的に回答するもので、今回は、試験運用中に出た課題改善を踏まえ、ペンギンの自然な生態への質問を引き出しやすく、また回答がイメージしやすいよう展示方法を変えてパワーアップしている。

▼ 展示概要

タイトル 「ペンギンの疑問なんでもBOX~アルゼンチンからお答えします~」
期間 2019年7月27日(土)~9月1日(日)まで(予定)
場所 須磨海浜水族園 ペンギン館内
『ペンギンの疑問なんでもBOX―アルゼンチンからお答えします―』
https://www.kdl.co.jp/news/2019/07/aipengin_update.html

今回は展示の見せ方をバージョンアップ。生態に関する質問が少なかったことから、もっとペンギンの生態に興味・疑問を持ってもらえるよう、アルゼンチンのペンギンの様子を企画の背景装飾として取り入れた。




試験運用で見えた課題とアップデート内容

試験運用では、質問と回答のアップデートに加えて、質問が発話されない場合に促す呼びかけを加えたり、羽ばたきやダンスで注意を促すなど改善を重ねてきたが、周辺の反響音や人の声などによる音声認識の問題や、質問内容の広がりなどの面で課題がでてきた。
今回の展示では、これらの課題を解決すべく、集音しやすいようにメガホンに向かって発話する形式とし、より生態に興味・疑問を持ってもらえるよう、マゼランペンギンが自然で生きる様子を背景に展示して、質問を促すなどの工夫を加えている。


認識精度を上げる工夫

開発後に実際の設置場所で試したところ、オフィスでテストしたときよりも音声認識の精度が良くなかったが、反響音が小屋を伝わってマイクに影響していると仮説を立て、小屋内部に吸音材を設置してみたところ、かなり精度上がった。

小屋の内側に取り付けた吸音材



近づいても質問されない

利用している様子を観察する中で、「前には立ってくれるし、説明のボードも用意していたけど読んでくれない方も多いようなので、AI側から話しかけられないだろうか」というフィードバックがあった。
この対策として、質問が検出されない場合は質問を促すセリフを呼びかける機能を追加。人感センサで会話モードを起動したあと一定時間に質問がなければ、同システムが「質問に答えるよ」等の呼びかけをするように改善した。

囲まれているけど質問はされていないことも



たまにシステムが落ちてる

ネットワークが不安定など、質問の回答を取得できずにペンギンがフリーズしたり、何らかの障害や外的要因でプログラムが終了してしまうケースが見受けられた。
そこで、稼働を監視して異常終了やフリーズなどのエラーがあれば、自動的に再起動する機能を実装。再起動時には通知も行う。また、ネットワークに関しては、質問から回答までの速度にもWi-Fi機材の変更や、音質調整など様々な対策を講じた。


羽ばたきや考え中の動作調整

羽をパタパタさせる機能を実装していたが、会話中は会話に集中してもらうために羽ばたきをしない、羽ばたきの速さは本物に近づけるなどのため、パタパタする頻度や速さ、タイミングを微調整。また、回答を探している間のLEDの光り方なども調整した。

回答取得中の光るLED



壊れる

実際に設置してみると、遠くから走ってきていきなりぬいぐるみを鷲掴みにする子供がいたり、人感センサが押し込まれていたり、装飾がはぎ取られていたなどのトラブルも。今回は、小学生程度を想定した一般展示のハードルの高さをより意識してペンギン自体を入力部から離して展示する予定だ。

押し込まれた人感センサ

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ロボスタ編集部

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