対話AI(人工知能)と小型汎用ロボット『ZUKKU』などを開発・製造する株式会社ハタプロは、2019年9月より、大阪大学 大学院 医学系研究科 臨床遺伝子治療学の認知症診断や予防・進行抑制に関する研究事業に参画することを9月18日に発表した。
ハタプロは、今回の取り組みを通してAIロボットを活用し継続しやすく医学的根拠の高い介入プログラムの開発と非薬物的介入の知見を蓄積させ、これまでのスマートスピーカーとも大型のロボットとも違う、“日常に溶け込みながら、本物のペットのようにいつも寄り添い、生活に新たな発見や体験を提供する”新しいシニア・アシスタントデバイスとしての機能を増していくと述べている。
なお、同研究は、大阪万博に向けた大阪府「10歳若返り実践モデル事業」の一環であり、大阪府からの受託研究として実施される。
認知症の予防法や非薬物的介入法の確立
超高齢化と認知症の急増を背景として、その効果的な予防法や非薬物的介入法の確立は社会的重要課題となる中で、認知機能障害を早期に発見し、早期から積極的に非薬物的介入(運動、認知機能トレーニング、社会的孤立の防止やコミュニケーションの増進など)を行うことで認知機能が維持できるという論文報告も年々増えている。
積極的な非薬物的介入については、広く一般住民レベルで施行可能で継続しやすく、医学的根拠の高い介入プログラムが開発されれば、その社会的意義は非常に大きいと言える。また、その効果を簡便かつ客観的に評価可能な手法が確立されれば、より多くの地域住民を対象とした認知症の早期発見・早期介入プログラムとして発展し、健康寿命の延伸に大きく寄与するといえるだろう。
具体的な実地内容について
今回の研究は、ZUKKU(ズック)を活用した健康増進プログラムを、ヒューマンライフケア株式会社が運営する大阪府内のデイサービス事業所に導入し、その効果の分析と実証を行うことで、認知機能維持を目的とした健康増進プログラムの科学的根拠の創出と普及を目指すというものだ。
最新技術を用いた簡便な認知機能の検査
まずは、大阪大学大学院が開発した視線の動きに基づく認知機能検査を、デイサービス事業所で行う。認知機能検査は、医師と対面して問診形式で行われることが一般的なのに対し、この方法ではタブレット端末を用いながら、簡便にMCI(軽度認知障害)を検査できることが特長だ。
デイサービス内で実施が可能なため、認知症の早期発見や、早期からの適切なアプローチによる症状の維持・改善につながることが期待できる。
ZUKKUを活用した認知症の維持・改善プログラムの提供
その後約3カ月間にわたり、デイサービス事業所において、サービス時間中や利用者の自宅で、小型AIロボット「ZUKKU(ズック)」を活用し、利用者とコミュニケーションを取ったり、認知症の維持・改善を目指すプログラムを提供。
ロボットを活用したプログラムを実施した場合と実施していない場合の利用者の認知機能の変化を比較するなどして、今後の研究に役立てることを狙いとしている。
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