エアモビリティ「空飛ぶバイク」のしくみ A.L.I.が来年発売・2023年に公道含めた実用化を目指す 東京モーターショー2019速報

「東京モーターショー2019」ではエアモビリティ「空飛ぶバイク」が注目を集めている。A.L.I. Technologiesの「XTURISMO」だ。人が乗って宙に浮き、進んだり止まったり自由に移動できるモビリティ。XTURISMOの”X”は未来を表現し、”TURISMO”は高速で世界を駆け抜ける体感を表わしている。
「空飛ぶクルマ」「ホバーバイク」「エアモビリティ」「有人パーソナルドローン」・・もちろん新しいジャンルなので、この種別をなんと呼ぶべきかさえ明確でないほど「未来的」な乗り物だ。

Air-Mobility “XTURISMO™”LIMITED EDITION

どのようなしくみで宙を浮いて進むのか、製品化の時期や法的な課題など、A.L.I.Technologiesの片野社長(冒頭の写真)に話を聞いた。



「XTURISMO」はどんな風に飛ぶのか

そもそも「XTURISMO」はどんな風に飛ぶのだろうか。それは同社が公開しているYouTube動画を観るのがおすすめ。実写とCGを合わせたものだがイメージPVとして見るとわかりやすい。




■ 公式ムービー「Future Hero」


エンジンとモーターで複数のプロペラを制御

次に技術をチェックしてみよう。宙に浮く浮力や推進する力はプロペラで生み出している。プロペラを動かしているのはエンジンとモーターだ。


浮力を生み出すエンジン



「XTURISMO」は来年発売

来年には発売され、公道ではなく敷地内を飛行(移動)することができるように開発と試験が重ねられている。公道での実践は2023年の実現を目指し、法改正や安全性の検証など、議論を進めて働きかけを行っていくという。





片野社長インタビュー

編集部

動力にはエンジンとモーターを使っているんですか

片野氏

はい。エンジンと大きなプロペラで浮力を生み出し、モーターで比較的小さなプロペラを回して推力を生んだり姿勢制御を行っています。

株式会社A.L.I.Technologiesの 代表取締役社長 片野大輔氏

推力や姿勢制御のプロペラは前後に二重反転で2枚の計4枚、姿勢制御用に小さいものを4枚、両サイドに前進後退用のプロペラ4枚で合計12枚ですね。

編集部

姿勢制御はどのように行っていますか

片野氏

ドローンの技術に似ています。センサーで現在の姿勢を検知し、姿勢制御用の推力プロペラでバランスをとります。制動(ブレーキ)はプロペラを反転させるなどして行います。

編集部

日本で開発しているのですか?

片野氏

日本で開発し、実証実験も国内で行っています。屋内、屋外、湖の上など、利用が想定されている様々なシーンで実験しています。試験は社内のみ、報道関係者や一般への公開試験はまだ行っていません。

編集部

商品化の予定や目標はいつ頃ですか

片野氏

今回、東京モーターショーで展示しているモデル「XTURISMO」は来年中に商品化したいと考えています。まだ社内試験の段階で公表できる段階ではないのですが、近々に公開試験や試乗会の機会を設けられるように頑張っています。

編集部

価格はいくらくらいになりそうですか?

片野氏

価格はまだ正式に公表をしていませんが、高級なスポーツカーくらいを想定しています。

編集部

想定しているユースケースを教えてください

片野氏

第一はレジャーやエンタテインメント的な使われ方を想定しています。道路交通法が及ばない個人や企業の敷地内などで利用する方法が早期実現の近道だと思います。
将来的には水害などの災害発生時に、小回りが利いて走行路や路面状況を選ばないモビリティとしても活用できるのではないかと考えています。砂漠や湿地地帯、岩場など、従来の車輪が苦手としている場所で利用できます。

編集部

公道を走るには道路交通法の改正への働きかけなどが必要ですね

片野氏

はい。国交省の出身者の方にアドバイザーになっていただき、議論を進めるなどの働きかけを行っています。

編集部

実現の肌感としてはいかがですか?

片野氏

国としても、このようなエアモビリティ関連のビジネスの実現・実装を2023~24年までに進めていこうというムーブメントがあります。我々もそれに乗っ取って進めていきます。それと同時に技術的な安全性をどのように担保していくかも検討すべき課題だと思っています。


公道の飛行については既に何か決まったことがまだあるわけではありませんが、我々としては2023年に公道を飛べるように機体の開発だけでなく、安全面、法整備、ルール、あるいは彦期のような管制システムなど、様々な分野で議論を進めています。

編集部

プロジェクトを進めていくためのビジネスやアカデミアのパートナーは?

片野氏

研究開発面、生産・供給面など、この半年でいろいろな企業との連携は急激に進んでいます。当社は東京大学出身者が多いので、東京大学の研究室との技術面での交流や情報交換を行なったりしています。議論については多くの大学や研究機関と進めています。




CONVERSEとコラボ、インスタでキャンペーン

なお、東京モーターショー2019では、CONVERSEとコラボレーションしたインスタグラム投稿によるプレゼント企画を展開。インスタの「XTURISMO」アカウントをフォローしたうえで、会場の写真を撮ってインスタにタグ付きで投稿すると抽選でCONVERSEとのコラボ特別限定パーカーがもらえる。
当たりますように!

https://www.instagram.com/p/B3WTHG9n7zI/?utm_source=ig_web_copy_link

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神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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