NVIDIAはドローンなどの自律機器、ロボット、ビデオ解析、組み込みデバイス向けのGPU推論用のAIコンピューティングボード「Jetson」シリーズの最新製品となる「Jetson Xavier NX」(ジェットソン エグゼビア エヌエックス)を世界同時発表した。
サイズはNanoと同じ、価格は$399
NVIDIAのJetsonシリーズは現在、ハイエンドモデルの「Jetson AGX Xavier」、クレジットカードサイズの「Jetson TX2」(Jetson TX1)、それより小さい「Jetson Nano」がラインアップされている。「Jetson Xavier NX」はハイエンドモデルの「Xavier」の名を冠しつつ、サイズは「Jetson Nano」と同じ、価格は「Jetson AGX Xavier」の約66%に抑えた製品となる。
Jetson Xavier NXの特徴は、45mm X 70mmとJetson Nanoと同サイズながら、価格面では$399という低価格が魅力だ。
他のJetsonシリーズとの比較を見てみると、Jetson Nanoで培った小型化の技術を生かし、低消費電力ながらAGX Xavier搭載のVolta Tensor Coreを搭載に成功し、高性能化を実現した印象を受ける。
気になる性能は?
NVIDIAが公開したベンチマーク資料によると、Jetson Xavier NXはJetson TX2と比べ、機械学習の分類や物体認識の処理速度では15倍以上高速だとしている。
公表されているベンチマークではInception V4, ResNet-50, SSD Mobilenet-V1そしてOpenPoseのパフォーマンス計測が行われている。4つともディープラーニングを利用した画像処理ライブラリだが、InceptionとResNetは画像の分類、mobilenetは画像内の物体認識、OpenPoseは画像内の人体の姿勢を分析するもので、縦軸が1秒間に処理できるフレーム数(Frames Per Seconds)になっている。
工場などの検品用途だと毎秒60フレームで撮影・分析などのスピードが求められることがあり、1000fps越えだと利用検討できる範囲になりそうだ。
開発キットは上位モデルのJetson AGX Xavierと互換のようなので、すぐに開発ができそうだ。またJetson Nanoとピン互換なのも便利だ。例えば、エントリーモデルとしてNanoで開発してみたものの、性能的に物足りないというユーザには設計変更なしにJetson Xavier NXに入れ替えられる可能性が高い。これは嬉しい情報ではないだろうか?
Jetson Xavier NXのスペックシート(下記)を見ると、電力モードに「10W」と「15W」モードの2つが用意されており、10Wモードは15Wモードの約2/3程度の性能となっている。省電力重視か性能重視かを選択できる点も魅力的だろう。
NVIDIA Jetsonシリーズの開発者は40万人超え
今年3月にJetson Nanoを販売してからメーカーズの人々も手にする機会が増えたNVIDIA Jetsonシリーズ。現在世界中に40万人を超える開発者と3000を超える企業で利用されているそうだ。
国内でもJetson NanoをAI教育の教材に採用したり、JetBotやAI-CARの製作に頭脳として組み込んだりと、活発な活動が始まっている。前述したようにエントリーモデルとしてのJetson Nanoからのアップグレードとしても、性能的・価格的にも魅力的な商品ではないだろうか?
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高橋一行Forex Robotics株式会社 代表取締役。AI、機械学習、ロボット、IoTなどのシステム開発を行いながら、コミュニティ活動やLTにも精力的に活動。 参加コミュニティ: 「ソフトバンクロボティクス公認コミュニティーリーダー」「 Creator's NIGHT eXtreme」 2020年のロボット業界を考える飲み会 共同主催 他