ソフトバンクは本田技術研究所と取り組んでいる、5Gを活用したコネクテッドカー技術の共同研究の一環として、商用レベルの環境において5Gコネクテッドカーの技術検証を行い、無線検証やユースケースの検証などのさまざまな条件で安定した通信が行えることを確認し、完了したことを発表した。
商用レベルを想定した環境で実施
今回の技術検証は、本田技術研究所が持つ北海道上川郡のテストコースに設置した実験基地局を使用し、商用環境を想定したノンスタンドアローン標準仕様で構成された5Gネットワーク環境(LTEとの連携によって5Gの性能や機能をいち早く実現できるようにする仕様)で行われた。
5Gネットワークの通信インフラには、3GPP Release 15規格に準拠したノキア製の通信機器を使用し、車載器にはクアルコム製の商用向け「Qualcomm Snapdragon X50 5G モデム」を使用した「Qualcomm Connected Car Reference Design(CCRD)」を使用することで、商用環境レベルでの検証を実現したという。なお車両は、Hondaが販売する普通乗用車を使用して検証している。
3GPP Release 15とは、3GPPで策定された5Gの新しい無線方式「5G-NR」の標準仕様。3GPPとは、移動通信システムの規格策定を行う標準化団体のこと。
技術検証では、最大1Gbpsのスループットを達成した他、車載器から5Gネットワーク外にあるアプリケーションサーバーへのネットワークの遅延(レイテンシー)は平均17ms(1msは1,000分の1秒)以下を実現するなど、さまざまな環境で安定した通信を実現し、5Gと車両との親和性の高さを確認。また、数十~数百の多数のアンテナ素子を使ってデータを送受信する技術「Massive MIMO」を用いてビームフォーミングやビームトラッキングを行うことにより、走行時においても安定した通信ができることを確認したという。
・無線検証
停車した状態で、通信方式(64QAM、256QAM、2×2 MIMO、4×4 MIMO)の組み合わせなどを変えて通信品質の検証を行う。
・走行試験
走行する車両の速度(30km/h、60km/h、100km/h)を変えて、通信方式の組み合わせごとの通信品質の検証や、基地局の切り替え(ハンドオーバー)の検証を行い、最適なパラメーターを探る。
・車両特性試験
ケーブルの取り回しや、アンテナの設置位置や本数、種類などを変えて通信品質を検証するとともに、5G接続において最適な組み合わせを探る。
●ユースケースの検証
(1)見通しの悪い交差点における、周辺車両の位置情報の伝送
(2)前方車両の急ブレーキ情報を後続車両へ伝送
(3)車載カメラ映像を基に道路上の落下物を特定し、周辺車両へ伝送
(4)その他の検証(高画質な4K映像の伝送、車載カメラの二次利用など)
今後ソフトバンクは、最新技術を用いた実証などを継続して行うことで、次世代コネクテッドカーや自動運転車、MaaSの実現に取り組んでいくとしている。
ABOUT THE AUTHOR /
山田 航也横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。