やわらかいモノをやさしく掴むロボット技術「リアルハプティクス AbcCore」搭載モジュールの提供開始 ネクスティ

ロボットがちょうどいい力加減でものをつかむことは、まだ難しい。
「現実の物体や周辺環境との接触情報を双方向で伝送し、力触覚を再現する」技術、それが『リアルハプティクス(Real-Haptics)』。

豊田通商グループの株式会社ネクスティ エレクトロニクスと、同グループ会社のネクスティシステムデザイン株式会社(NSD)は力触覚再生モジュールを通してリアルハプティクスを使ったロボットの共同開発、技術支援を行っている。

2019年5月に同社は「リアルハプティクス技術協議会」 の会員となった。リアルハプティクスを利用して新たなビジネスの立ち上げ及び促進を目的とした慶應義塾大学ハプティクス研究センターが主催となっている産学連携の協議会だ。同会員向けに提供されている、同学校法人が所有する知財技術「リアルハプティクス」及び、モーションリブ株式会社の「AbcCore」を搭載したロボット向け力触覚再生モジュールの研究開発を、NSDと共同で行っており、同技術を搭載したデモ機を8月に完成、9月よりユーザーへの紹介を開始していたが、11月29日、技術支援及び同協議会の会員企業へ同モジュールの提供が可能になったことを発表した。

プロモーション動画より(下記)

同社は、今回の共同開発により、クラウド上にある仮想動作を実際のロボットにインストールすることで、ロボットが対象物の触覚を感じながら力加減をする動作ができるようになったと述べている。なお、現時点で協議会会員でない場合でも、協議会に参加することでモジュールの提供を受けられる。

両社は今後も、ファクトリーオートメーション、人機協働ロボット、サービスロボットなど次世代ロボットの企画から開発、設計、製造、販売及びビジネス構築までサポートし、更なるロボット技術の発展と社会課題の解決に貢献していくと述べている。

■【動画】Real-Haptics technology by MOTION LIB


やわらかいモノをやさしく掴むリアルハプティクス技術

人の手間がかかる産業を中心に“人間の作業を代替する”ロボットが増加するとされており、世界の主な工場が完全自動になった場合、2050年時点で世界人口の5倍である約500億台のロボットが働く時代が来るとも言われているロボット市場において、「やわらかいモノをやさしく掴む」ことは、ロボットの進化にとって重要なファクターだ。
リアルハプティクスは、チカラ感覚をデータ化し、従来困難であった「モノの硬さ、柔らかさや弾力性を遠隔地でも感じる」ことや、「やわらかいモノ・繊細なモノをやさしく掴む」ことを可能にする。かつ、『位置制御』と『力制御』を合成した最適な動作の実現でき、これにより、優しさ・器用さ・繊細さをロボットに宿すことができる。
また、力センサーを一切使用しないため、非常に安価にシステムを構築することができる。


1.行為が空間を超える

作業者と対象物が遠くに離れていても力触覚を感じられるため、過酷な環境の中で力触覚を必要とする作業ができる。




2.行為の見える化

匠の熟練の業を読み解き、暗黙知を形式知に昇華するため、非熟練者に匠の技を伝承することができる。




3.行為の超人化

力触覚データを増幅して使えば、強力且つ迅速に作業が可能となるため、小さな力で大きな力をコンロトールする作業が可能になる。




4.行為のコンテンツ化 IoTからIoA(Internet of Actions)へ

上記1.2.3.などの各動作をライブラリー化し、好きな時に好きな動作をサイバー空間で指定して対象物にインストールすることで、必要な動作を必要な時に再現することが可能となる。



▼ 同社が開発した試作機について

1軸、3軸のロボットを想定した「リアルハプティクス」を体感できるデモ機を開発。
●1軸モーターで2本の指を同時に動かして対象物を掴む。

●3本指それぞれ独立した3つの関節を持つロボットアーム。3本の指を個別に動かして対象物を掴む。

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ロボスタ編集部

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