今年も「CES 2020」が1月7日から10日まで、米国ラスベガスで開催される。ヴァレオはこのイベントで、中国の大手食品流通サービスプロバイダーであるMeituan Dianpingとの協業で開発した、自律型の電動配送ドロイド「Valeo eDeliver4U」を世界初公開すると発表した(冒頭の写真)。
フル電動の48Vシステムを搭載し、ヴァレオの認識システムによって自動でルートを検知することができるゼロエミッション(環境を汚染したり、気候を混乱させる廃棄物を排出しない)。都市部の配送に適している。このドロイドは、ヴァレオのプラットフォームが提供するモジュールの活用例のひとつで、既存の自動車のみならず、このような都市向けの小型モビリティにも搭載できるとしている。以下は、同社のプレスリリースより。
CES 2020でモビリティ変革の中心にあるイノベーションを披露
ヴァレオのセンサーと電動化技術は、フランスのスタートアップTwinswHeelが開発した2台のドロイドにも搭載されています。TH03とTH05の2台の自律ドロイドは、それぞれ60kg、130kgの荷物を時速7km/hで輸送でき、5cmから3m離れている人を追尾します。これらのドロイドは、工場、メンテナンスセンター、倉庫、ショッピングセンター、空港、駅などのクローズドな場所や屋外で使用でき、物流や配送のタスク実行に役立ちます。
ヴァレオは、パワートレインシステムに加えて、世界をリードするバッテリーサーマルマネージメントの専門知識によって、電気自動車の開発で大きな役割を果たしています。あらゆるサーマルシステムをスマートに制御し、充電と走行の双方に最適なバッテリー性能を確保しながら、バッテリーの寿命を維持します。 2020年から、ヴァレオのバッテリー冷却システムは、ドイツのある大手自動車メーカーの電気自動車プラットフォームに搭載されます。さらに、ヴァレオはアフターマーケット向けのコンポーネントとしてもサーマルモジュールを提供します。これにより、すでに上市されているシステムも、最新の冷却技術の恩恵を受けることができるようになります。
人工知能を活用するイノベーション
より安全なモビリティのために、ヴァレオは人工知能を活用するイノベーションとして、CES 2020にて世界で初めてヴァレオMove Predict.aiを発表します。ヴァレオMove Predict.aiは、歩行者、自転車、スケーター、スクーターなど、車両のすぐ近くにいる交通弱者を検出し、その意図を予測します。最新世代の魚眼カメラとヴァレオSCALA(R) LiDARと人工知能により車両周辺の360°を認識し、たとえば携帯電話を使用しているかどうかを考慮して、道路を横断するかなど、彼らの意図や軌道を予測します。そして、道路利用者との潜在的に危険な行動をドライバーに即座に警告し、必要に応じて緊急ブレーキシステムを作動させます。
ヴァレオは、ヒュンダイ、ヘキサゴンの測位インテリジェンス部門、大手モバイルネットワークオペレーターと、車の道路上の位置を数センチレベルの精度で特定できる新技術ヴァレオSpotLocateを実演します。GPSによる測位は、特に自動車業界で大変普及しています。しかし、この技術での精度は、数メートル以内(最適な条件で1.5~3メートル)にとどまり、たとえば車がどの車線にあるかを判断するには不十分です。ヴァレオ SpotLocateでは精度が10倍高まり、道路の安全性向上に貢献します。これにより緊急ブレーキの後、車両はその操作と正確な位置情報を他の車両と共有することができます。
さらに、ヴァレオは、ローカリゼーションアルゴリズムとヴァレオの認識システムを利用したマッピングシステムによって車両の位置を非常に正確に特定できるシステムDrive4U Locateを実演します。このダイナミックマップは、常時、車両からの入力を受け、クラウドソーシングによって更新されています。ラスベガスの道路で5台の車両を使用して行われる実演では、Drive4U LocateデモカーとヴァレオSCALA LiDARを装備した4台のタクシーを使います。各車両は、ヴァレオLiDARによって収集された情報をクラウドに送信し、ダイナミックマップの作成と継続的な更新に寄与します。その代わりに、各車両は直接検知した情報をダイナミックマップと比較することで、センチメートルレベル(補正なしの標準的なGPS情報では5mであるのに対して10cm以内)の正確な位置情報を享受します。ヴァレオDrive4U Locateは、車両フリート管理の最適化に加えて、さらなる安全性をもたらし自動運転車の開発を促進します。
ヴァレオVoyageXRとヴァレオ CallXRは、友人や愛する人とバーチャルに車両に同乗し、没入型のコミュニケーションエクスペリエンスを提供するシステムです。ヴァレオVoyageXRユーザーは、バーチャルリアリティヘッドセットとジョイスティックを装着すると、たとえ世界の反対側にいても、車両の後部座席にテレポートしたかのように、周囲の状況を360°見ることができます。彼らはドライバーを見て、対話することができます。一方、仮想の乗客は、バックミラーに表示されるアバターの形で実際に運転しているドライバーからも見えます。このテレポーテーションは、車両の外部と車室内に搭載されたヴァレオセンサーと接続性を組み合わせることで実現します。Valeo CallXRシステムでは、タブレットやスマートフォンを使って車両のドライバーや乗客とビデオ会議を開始し、車両の内外で何が起こっているかを確認することができます。
ヴァレオ Smart Cocoonは、体格、心拍数、着用している服の種類などの特性に応じて、それぞれの乗員に合わせてパーソナライズされた快適なバブルを作ります。各人のニーズに合わせて環境を調整することでエネルギー効率も向上し、最大で30%の節約になります。このシステムは、人工知能とさまざまなセンサーで検知された情報を活用して、温度、照明、効果音、香りを組み合わせてパーソナライズされた快適さを提供します。たとえば、室内照明は温度を反映してより快適に感じるように自動的に調整されます。疲労、注意散漫、感情、ストレスの兆候を検出し、ドライバーと乗員の生理学的状態を考慮することができる共感的な車になるのです。
イノベーションはヴァレオの戦略の中心です。 グループは、2018年に20億ユーロ以上を研究開発に投資しました。これは、ヴァレオのOEM売上の13%近くに相当します。 CES 2020で発表するヴァレオの革新的な技術は、モビリティが将来どのようになるかについての実用的な洞察を示しています。 ヴァレオが開発した製品と機能の中には、現在量産されている車両にすでに搭載されているものもあり、未来はすぐそこにあるといえるでしょう。
(プレスリリースここまで)
ヴァレオジャパン