【速報】船でらくらく出勤を体験してきた!MONETが船舶とシャトルバス連携のMaaS「通勤向けマルチモーダルサービス」実証実験

本日から実証実験がスタートした「快適船出勤」。
潮風を感じながら、レインボーブリッジを見て、快適な移動を体験してきた。

MONET Technologiesは、勝どきの朝潮運河船着場(東京都中央区)から浜松町駅まで、船とシャトルバスを連携させた「通勤者向けマルチモーダルサービス」の実証実験を報道関係者に公開した。船舶とモビリティ、鉄道を連携・統合したサービス提供を目的とした実証実験で、一般客も無料で利用できる。

通勤者向けなので、目標としては鉄道の混雑緩和や道路の渋滞緩和に繋げたいという想いはあるだろう。しかし、小型船舶は鉄道に比べると量の輸送力では当然、見劣りする。そこで少し先の未来を夢見てみよう。現在は一部の企業によって自動運転自動車だけでなく、自動運転船舶の研究・開発が進められている。また、空飛ぶタクシーを開発している企業もある。これらが実用化する際には航路(空飛ぶタクシーも)が重要となり、こうした自動運転モビリティは陸海空に拡がる可能性を見せている。今回の実験はそういった未来のモビリティサービスを多角的に捉え、一元管理するための試みであるとも言えるだろう。


3つの実証実験

竹芝エリア周辺で行っている3つの実証実験のひとつ「通勤者向けマルチモーダルサービス」が本日より17日まで実施されている(東京舟旅)。ほかのふたつ、「竹芝エリア内勤務者向けオンデマンドモビリティサービス」と「観光客向けマルチモーダルサービス」は昨年12月から実証実験を行ってきた。


本日は一般の利用客と報道関係者が勝どき桟橋から竹芝桟橋へ乗船、竹芝桟橋からJR浜松町駅へ移動するためのシャトルバスを運行した。船内と車両内に交通系ICカードリーダーを設置し、ICカードをタッチして乗車・乗船するしくみも導入、将来の個人認証や有料化(課金)を見据えた検証も行った。
なお、後発便にはMONET Technologies(モネ・テクノロジーズ)の宮川社長も乗船し、報道陣の質問に回答した。

MONET Technologies株式会社 代表取締役社長 兼 CEO 宮川 潤一氏




晴天の朝、勝どき桟橋を出港

本日からはじまった実証実験では、通勤者向けに勝どき桟橋から竹芝桟橋へ船舶を運航、舟運を新たな通勤手段として利用する検証を行うことがひとつ。更に、竹芝桟橋からJR浜松町駅へ移動するためのモビリティサービスを連携させて運行することで、船舶とモビリティサービスおよび鉄道を連携させた、マルチモーダルの可能性を検証する(今回の実験では乗船と乗車ともにすべて無料)。


勝どき桟橋から竹芝桟橋へ

ということで、朝8時10分に勝どき桟橋に集合。利用者は予めホームページ「東京舟旅」の「快適船出勤」で予約(無料)、乗船前に交通系ICカードを登録しておく。乗船時にカードリーダにタッチしてから乗船する。

乗船場で交通系ICカードをタッチして個人認証する(料金は発生しない)。写真はスマホでタッチしているところ

まもなく竹芝桟橋へ向けて出航。乗船時間は約20分弱。当日は晴れて天候がよく、凪だったためデッキに上がって景色を見て過ごしても、とても快適だった。

この日、報道陣が乗った船の客室内

屋上デッキに上がる階段

船はゆっくりと運河を進む

途中、橋をくぐるところも・・

ゆるい潮風を感じながら、レインボーブリッジや東京タワー、ゆりかもめなどを眺めているうち、あっという間に竹芝桟橋へ到着した(川崎重工本社そばの小型船発着所)。

レインボーブリッジを見ながら船は右方向へ舵を切る

東京タワーや貿易センタービルが見えたら竹芝桟橋はすぐそこ

そこから乗客はシャトルバス(ワンボックスワゴン)に乗り換えてJR浜松町駅へ。シャトルバス乗車の際も交通系ICカードをかざして認証を行う。

利用客はワンボックスに乗って浜松町駅へ

ここでも乗車時に交通系ICカードでタッチ(料金は発生しない)

■動画




陸海空でマルチモーダルの世界観が必要

前述のように、MONET Technologiesの宮川社長も後発便で到着し、報道陣の質問に答えた。主なやりとりは次の通り、

記者

今回の実証実験で解決したい課題は

宮川氏

JRや地下鉄など駅中心の街作りになっていて、駅からの距離で土地の価格も変わってくる。他の交通手段が繋がって(駅に集中せず)面で考えられるようになると、違ったカタチで街作りがしやすくなる。その点で水路の利用はひとつのチャレンジだと考えている。マルチモーダルサービスは陸路と水路、更に将来は空も加えてチャレンジすべきだと思っている。

記者

今回の実証実験は、どんな点が新しいのか

宮川氏

鉄道とバス、車、更には船をもひとつの動線で結ぶことが、今回の実証実験のポイントだ。今後、空飛ぶタクシーが始まると仮定すると空路を含めた世界観で捉えることが重要だ。観光でいえば、旅客機が空港に到着してから観光地まで、すべての交通を結ぶことができれば、インバウンド向けの公共交通の利便性が上がり、利用者がもっと増えるだろう。今回の実験はその入口だと考えている。

記者

今回の実証実験では無料だが、運賃はどのような設定を考えているか

宮川氏

マルチモーダルを考える上で、鉄道とバス、車、船とそれぞれ単独に利用するのと同じ運賃が発生したのではお得感がないし、想定的に高額になってしまう。そこはセット料金などを廉価に設定することで利用しやすくしたい。そのために交通系ICカードを使って個人認証したり、決済サービスとのシステム連携の実証実験をおこなっていく。

記者

交通にサブスクリプションの導入も考えられるか

宮川氏

まさにチャレンジしたい分野だ。特に地方の公共交通については積極的に月額定額制サービスなどを検討していきたい。都会は少し事情が違うと思うが、ニーズとしては大きいし、検討はしていきたい。




7社が連携して鉄道や船舶などの新モビリティサービス構築を目指す

この実験は東京都が公募した「MaaSの社会実装モデル構築に向けた実証実験」をMONET Technologies、鹿島建設、竹芝エリアマネジメント、電通、東海汽船、東急不動産、東日本旅客鉄道(JR東日本)の7社が受託したもの。2019年12月16日から実証実験を行っている。

竹芝エリアは、東京都の「都市再生ステップアップ・プロジェクト」のひとつとして、最先端のテクノロジーを街全体で活用し、エリアの発展や課題解決を実現する「スマートシティのモデルケース」の構築を目指して開発が進められている。一方で、エリア内の「JR浜松町駅」と、ゆりかもめ「竹芝駅」、「竹芝ふ頭」などを結ぶ公共交通が不足しているという課題がある。竹芝エリアを訪れるビジネスパーソンや観光客に向けた移動手段の充実が求められていて、受託した7社は、鉄道や船舶など複数の公共交通機関を連携させた新たなモビリティサービスの実装に向けた実証実験を行っている。

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神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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