顔認証技術についての意識調査 男女500名が対象「利用経験ある?」「抵抗感ある?」「普及に期待する?」クレストが発表

2019年は「顔認証元年」と言われ、顔認証による小売店舗やオフィス、ホテル、駅での「手ぶらチェックイン」「キャッシュレス」「顔パス」など、幅広い分野でより身近な場所で顔認証技術が活用されるようになった。これから先、大阪では2025年の万博までに地下鉄の改札を顔認証で通過可能にする実験が始まり、東京では2020年のオリンピックの関係者の入退場に顔認証ゲートが利用されると発表されている。

認証カメラによるリアル店舗の看板・ディスプレイ視聴率を測定するサービスを提供する株式会社クレストは、2020年を迎え今後更に発展が期待されることを受け、20歳~69歳の男女500名を対象に「カメラによる顔認証技術に対する意識調査」を2019年12月に実施。その結果を1月28日に発表した。

■主な調査結果ダイジェスト
《カメラを使った顔認証技術全般について》
・顔認証技術、「認知しているが利用経験なし」が約4割(39.4%)
・最も利用経験が高いのは「オフィスでの勤怠・人事管理システム(28.8%)」
・顔認証技術による新サービス、約4割(42.8%)が利用意向あり
・最も意向高い世代は20代(52.0%)、次いで50代(46.0%)、60代(41.0%)
・サービス利用に抵抗感がある理由は、撮影されている事自体に対する不快感が理由として最多(47.5%)に
・顔認証サービスに「抵抗がない」理由1位は「セキュリティ面での安心感(46.6%)」
・自分の姿を撮影されることに対する抵抗が最も低い世代は30代(43.3%)、次いで50代(41.7%)

《小売店舗での活用について》
・店舗マーケティング用の顔認証カメラの認知率は25.2%
・店舗マーケティングでの映像・画像の活用に「不安」を感じる人、約7割(67.8%)
・データのセキュリティ面が担保される前提でメリットが感じられるサービスであれば受け入れやすい傾向あり
・小売店舗でのカメラを使った顔認証技術、3人に1人(31.8%)が普及に期待
・今後活用したい顔認証サービス 1位「セキュリティツール」2位「無人コンビニ、無人スーパー」3位「決済」

《自身の個人情報について》
・全体の約4割(41.6%)が、顔認証技術による情報を商品購入のきっかけや参考にしたいと回答
・買い物サービスの質向上のため提供できるデータ、約7割が「性別」「年齢」を許容


顔認証技術の認知度・利用動向についての回答

■ 顔認証技術について、「認知しているが利用経験なし」が約4割 最も利用経験が高いものは「オフィスでの勤怠・人事管理システム(28.8%)」

カメラを使った顔認証技術(画像や映像から顔の特徴を分析して人物を識別する技術)によるサービスの利用経験については、約4割が「カメラを使った顔認証技術について聞いたことはあるが利用したことがない(39.4%)」と回答。


株式会社クレスト調べ

一方で利用したことのあるサービスについての質問には、既に普及の進んでいる「オフィスでの勤怠・人事管理システム(28.8%)」が最多で、次いで「スマートフォン、PCへのログイン機能(16.0%)」、「出入国管理時の顔認証ゲート(15.8%)」という結果となった。

■顔認証技術による新サービス、約4割が利用意向あり 最も意向高い世代は20代(52.0%)、次いで50代(46.0%)、60代(41.0%)

カメラを使った顔認証技術の新たなサービスについては、「積極的に利用したい(11.4%)」「やや利用したい(31.4%)」と、全体の約4割が利用したいという意向があることが分かった。


株式会社クレスト調べ

年代別にみると20代が約半数近く(52.0%)と利用意向が最も高く、次いで50代(46.0%)、60代(41.0%)と最も低い年代は40代(37.0%)という結果となった。


株式会社クレスト調べ

また性別にみると、男性の利用意向が高い傾向があり、「積極的に利用したい」と答えた男性(16.4%)は、女性の2.5倍(6.4%)となった。


株式会社クレスト調べ

■全体の約6割(64.8%)が顔認証技術によるサービス利用に抵抗感あり 主な理由は「撮影行為自体に対する抵抗感」「動画の利用用途への心配」

カメラを使った顔認証技術のサービス利用に対しては、3人に1人にあたる全体の35.2%が抵抗がないと回答(「全く抵抗がない(6.8%)」「あまり抵抗がない(28.4%)」の合計)。

株式会社クレスト調べ

全体の約6割(64.8%)にあたる抵抗がある理由では「目的は何であれ、無断で自分の顔や姿を撮影されることが不快だから(47.5%)」が最も多く、次いで「自分の写った画像や動画がどの様に利用されるかわからないから(45.7%)」という回答が多かった。同社はこの回答について、抵抗を感じる主な理由撮影行為自体に対する不快感と利用用途の不明瞭さであると推測している。


株式会社クレスト調べ

また「個人情報を勝手に利用される恐れがある気がする」と答えた人は20代が最も少なかった(全体29.0%に対し18.0%)。代は21.3%が「新しいサービスの利用方法に慣れるのが面倒だから」と回答し、60代が最も低い3.3%で年代が低くなるほど高くなり、若い世代のほうが新しいサービスに対して非積極的であることが分かった。


株式会社クレスト調べ

■抵抗がない理由1位は半数近く(46.6%)で「セキュリティ面での安心感」 自分の姿を撮影されることに対する抵抗が最も低い世代は30代(43.3%)、次いで50代(41.7%)

「抵抗がない」理由の中で最も多かった回答は、「顔認証のほうが暗証番号の流出などの悪用リスクが少なくセキュリティ面で安心できるから(46.6%)」で、顔認証技術の実用化によるセキュリティ面の向上に期待を持っている人が多いことが分かる。


株式会社クレスト調べ

また世代別にみると「生活が便利になるのであれば新しいサービスは積極的に利用していきたい」が20代(31.3%)、30代(43.3%)、50代(47.2%)で1位となり、生活の利便性につながる新サービスの導入に積極的である姿勢が垣間見える。「自分の顔や姿を撮影されることに抵抗がない」との回答も世代別では30代が最も多く43.3%が当てはまると回答しており、次いで50代(41.7%)が多いという結果となった。


株式会社クレスト調べ


顔認証カメラを活用した店舗マーケティングについての回答

■店舗マーケティング用の顔認証カメラの認知率は25.2%

いわゆる“リテールテック”と言われる小売店舗での顔認証カメラに対する認知についての質問では「知っている」と答えた割合は25.2%(「詳しく知っている(3.2%)」「聞いたことがある(22.0%)」の合計)で、約4人に1人が認知していることが分かった。


class=”alt2″>株式会社クレスト調べ


■顔認証カメラを活用した店舗マーケティング
現在、スーパーやコンビニ、レストラン、アパレル店舗などに小さなカメラを店頭に設置し、映った人の年齢や性別を分析し、店舗マーケティングに活用する顔認証カメラが実用化されつつある。カメラを通じて取得された年齢・性別・交通量などのデータは、実際に来店しているお客のデータに合わせた商品展開やセールイベントの実施、おすすめ商品の提案など、店舗での体験向上に活用されている。またこうした顔認識カメラでは個人情報に配慮し、一般的には取得した年齢・性別・交通量などのデータのみを保存し、個人情報が映り込んだ映像は記録せず削除している。

■店舗マーケティングでの映像・画像の活用に「不安」を感じる人、約7割(67.8%)

店舗マーケティングにおけるカメラで撮影した映像や画像の活用に対しては「不安(67.8%)」と答えた人が約7割(「とても不安である(18.8%)」「どちらかというと不安である(49.0%)」の合計)であり、新サービスが続々と出ている中で消費者の理解はまだ追いついていないことが読み取れる。


株式会社クレスト調べ

不安である理由は約半数(49.0%)が「顔や行動を撮影されること自体に抵抗がある」、次いで「いつどこで撮影されているのかわからない状態に抵抗がある(48.1%)」と、撮影されること自体への漠然とした不安や撮影目的や場所を認識出来ないことに対する不安感があることが分かる。

株式会社クレスト調べ

一方で不安ではない理由は、「映像が削除されていれば、情報の流出・悪用の心配がない」が最多(44.1%)、次いで「店舗での体験向上にデータが活用されれば自分にもメリットがある(43.5%)」、「生活が便利になってほしい(42.2%)」と、データのセキュリティ面が担保された上で便利なサービスを期待していることが伺える。


株式会社クレスト調べ

■小売店舗でのカメラを使った顔認証技術、3人に1人(31.8%)が普及に期待

スーパーやコンビニ、アパレル店舗などでの買い物において、今後カメラを使った顔認証技術が普及してほしいとの回答が31.8%に上り、約3人に1人が普及に期待していることが伺える。

株式会社クレスト調べ


今後活用したい顔認証サービスと提供してもよいデータ

■今後活用したい顔認証サービスの1位は「セキュリティツール」2位「無人コンビニ、無人スーパー」3位「決済」

今後活用したいと思う顔認証サービスについての質問については、「ロック解除などセキュリティツールとしての活用」が最多(35.4%)で、次いで「無人コンビニや無人スーパーなどの無人店舗の利用(34.4%)」、「顔認証による決済(31.0%)」という結果となり、店舗における顔認証技術の活用においてもセキュリティツールとしての活用が期待されていることが分かった。


株式会社クレスト調べ

■全体の約4割(41.6%)が、顔認証技術による情報を商品購入のきっかけや参考にしたいと回答

自分の「年齢」「性別」「購買履歴」などに合わせた情報は、商品購入のきっかけや参考になるかという質問については、商品購入の参考にしたいと回答した人が全体の約4割(41.6%)に上る結果となった。また年代別にみると20代の約半数近く(52.0%)が参考にしたいと回答しており、次いで30代(43.0%)、60代(40.0%)と20代が最もリコメンド情報の利用意向が高いことが分かった。


株式会社クレスト調べ

■買い物サービスの質向上のため提供できるデータ、約7割が「性別」「年齢」を許容と回答

買い物サービスの質向上のために、どこまで自分のデータを提供できるかの質問には、約7割が「性別(75.0%)」「年齢(69.6%)」を提供できると回答し、次いで「居住地域(38.2%)」「職業(25.2%)」が続く結果となった。

株式会社クレスト調べ

また、最も抵抗がある情報は「ネット上のサイト閲覧履歴(4.6%)」「オンラインサイトでの購入履歴(6.6%)」で、オンライン上での行動履歴の開示に抵抗感がある人が多いことが伺える。さらに年代別にみると、多くの項目で年齢が上がるほど提供できる情報の許容性が高い傾向が見られることが分かった。


個人情報を一切保存しないトラッキングカメラ「easy(エサシー)」を展開するクレスト

クレストでは、実店舗の看板やディスプレイに取り付け、個人情報を一切保存せずに性別・年齢別の視聴率計測を可能にするトラッキングカメラ「esasy(エサシー)」を展開している。esasyでは動画を保存せずにカメラに接続した小型端末での画像解析を行っており、顔写真などの個人情報がサーバに保持されないために個人情報流出のリスクもない。現在アパレル業やエンターテインメント業、飲食業を中心に、多岐に渡る小売業において店頭マーケティングに活用されている。

■トラッキングカメラ「esasy(エサシー)」で測定できる内容
① 交通量検知 :一定時間内にその空間に何人居たか、何人カメラの前を通過したかを計測
② 顔検出   :何秒見ていたか、何回見られたかを計測
③ 年齢性別推定:性別・年齢を計測

同社は今回の調査の結果から、顔認証技術を活用したカメラに対する不安と関係性が高いと推測される「カメラによる取得データの完全削除」を徹底してきた。

クレストはこれからも既存産業を花形産業へ昇華する「LMI」の考え方を軸に、テクノロジーサービスの活用によって様々な業界にイノベーションをもたらし、レガシーマーケットに高成長・高利益率事業を生み出すことで、より良い社会の創造に貢献していくとしている。

関連サイト
株式会社クレスト

ABOUT THE AUTHOR / 

山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

PR

連載・コラム