【速報】ボストンダイナミクスのロボット犬「SPOT」のデモを東京都が日本初披露 「スマート東京シンポジウム」にて

ボストンダイナミクスの四足歩行のロボット犬「SPOT」製品版、デモを初公開したのはソフトバンクロボティクスや大手ゼネコンではなく、なんと東京都となった。初披露されたイベントの内容と、SPOTデモの全編を動画で紹介しよう。


1月29日、「スマート東京シンポジウム&ダイバーシティTOKYOアプリアワード表彰式」がアクセンチュア・イノベーションハブ東京で開催された。

「スマート東京シンポジウム&ダイバーシティTOKYOアプリアワード表彰式」に参加した出場者、登壇者、審査員ら、東京土地知事を囲んで


ダイバーシティ TOKYO アプリアワードとは

「ダイバーシティ TOKYO アプリアワード」はSociety 5.0の実現に向けて、都民の利便性の向上や新たなビジネスチャンスの拡大につながるアイディア(アイディア部門)、及び、アプリケーションのアイディアを募集したもの(アプリ部門)。官民連携による地域課題の解決を推進していく取組みのひとつとして行われた。この日は、最終審査に進んだ6つの団体がプレゼンテーションを行い、最優秀賞を発表、小池百合子東京都知事より表彰が行われた。

審査委員長のINIAD 東洋大学情報連携学部 学部長 坂村健氏

審査委員長の坂村氏は「さまざまな分野でデジタルトランスフォーメーション(DX)が叫ばれる中、ダイバーシティTOKYOアプリアワードを通じて、多くの人にSociety 5.0とは具体的にどのようなものか、東京都がSociety 5.0をどのように進めていこうとしているかを実感して欲しい」と語った。

【ダイバーシティ TOKYO アプリアワード審査委員のメンバー】
INIAD 東洋大学情報連携学部 学部長 坂村健氏
有限会社インフィニティ 代表取締役 世代・トレンド評論家 牛窪 恵氏
武蔵野美術大学 造形構想学部クリエイティブイノベーション学科 教授 山﨑 和彦氏
TechCrunch Japan 編集統括 吉田 博英氏
駐日外国政府観光局協議会 事務局長 マサボ・イザベル氏


子育て中の外国人の不安を解消するサービス

アイディア部門の最優秀賞を受賞したのは株式会社エムティーアイの「子育て中の外国人の不安をなくす! 予防接種サービス」。


同社は妊娠から出産、育児までをフルサポートする母子手帳アプリ「母子モ」をリリースしていて、自治体に行政サービスの一環として導入されている。その機能のひとつ「予防接種のスケジュール管理機能」を外国人にも使いやすくするサービスを提案した。



高齢者が写真や動画を一緒に楽しむことができる

アプリ部門の最優秀賞は「まごチャンネル with SECOM」が受賞した。離れて暮らす家族のライトな見守りニーズの高まりに、ゆるやかにつながるコミュニケーションで応える、楽しい見守りをコンセプトにしたサービスだ。


スマホは今や、重要なコミュニケーションツールの中心になっているが、高齢者の中にはスマホが使えない人がいるため、スマホが家族や親戚とのコミュニケーションの障壁になりかねない。インターネットディバイド問題だ。そこで「まごチャンネル」は端末をテレビに繋げることで「スマートTV」化し、家族や親戚のスマートフォンなどと写真や動画、文字などのやりとりができる。コミュニケーションの活性化をはかることでゆるやかな見守りを実現する。端末には通信用SIMが内蔵されていて、Wi-Fiを使わずに通信ができて導入が簡単な点も特徴となっている。





スマート東京シンポジウム

「スマート東京シンポジウム」は東京都が推進している「Society 5.0」の取組内容を広く都民や関係者に紹介するセミナーが2講座用意された。最初に東京大学の柴崎教授が登壇、「Society 5.0を先導するスマートシティのあり方」と題して講演した。

東京大学教授 空間情報科学研究センター 空間情報工学研究部門 柴崎亮介氏

スマートシティやエリアエネルギーマネジメント、Society 5.0のコンセプトを解説。更には携帯のGPSデータをディープラーニングで機械学習し、交通量や人流予測した結果など、数値を具体的に出して解説した。


とくに興味深かったのが、東京においてスタートアップ企業が多い地域、投資家が多い地域、投資家が投資している企業が多い地域などを明確に示し、分析した点。東京の特徴がよく表れていた。



スマート東京 実施戦略でSPOTが登場

最後に副都知事の宮坂氏が登壇し「スマート東京 実施戦略 東京版Society 5.0実現に向けて」と題して講演を行った。副都知事はヤフーの代表取締役社長やソフトバンク(現・ソフトバンクグループ)の取締役などを務め、ソフトバンクとは縁が深いことから、ソフトバンクグループ傘下のボストンダイナミクス社の「SPOT」を最先端のロボット技術として日本初公開したと思われる。

東京都副知事 宮坂学氏

宮坂氏は主に”繫がる”街を実現し、スマート東京を推進していく考えだ。バス、バス停、建物、橋梁、公園、地下街、信号、地下鉄、医療、教育など、高速通信でつなぐインフラを整備するとともに、公共施設や都民サービス、都庁などのデジタルトランスフォーメーション(DX)を進めるという。


また、スマートシティにおいては、5G、IoT、ロボットの普及事業を促進するとともに、自動運転など次世代モビリティの利用拡大に向けた検討を進めていくという。副知事がソフトバンク系出身者であることで、改めて東京のスマートシティ化の加速が期待できそうな、そんな一面を感じた。そして、最先端のロボット技術として「SPOT」のデモが国内初公開されるに至ったのだ。



■ロボット犬「SPOT」のデモ日本初披露




凄まじいスピードで世の中が変わっている(小池都知事)

小池都知事はイベントの最後に「今回のアプリアワードには合計で75件の応募があり、素晴らしい作品をお寄せいただいた。外国人の方も予防接種を受けやすくして、安心して暮らせる環境を作ったり、高齢者とそのご家族を繋ぐアプリなど、スマート都市東京が実践されていくことと思う。東京は少子高齢化が進むとともに、デジタルトランスフォーメーションが進んで凄まじいスピードで世の中が変わっている。5Gなどのインフラを整えると同時に、どのようなコンテンツを乗せて都民のニーズに応えていくのかが重要だ」と締めくくった。



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神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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