オリンパス AIが内視鏡検査中にポリープや癌などを発見して警告する「EndoBRAIN-EYE」発売へ 病変検出用AIは国内初の承認

オリンパス株式会社は、大腸内視鏡画像をディープラーニングによる人工知能(AI)で解析し、内視鏡検査中に病変が映っているかを推測することで、医師の診断を補助する内視鏡画像診断支援ソフトウェア「EndoBRAIN-EYE(エンドブレインアイ)」を2020年5月下旬に国内で発売すると発表した。

同製品は内視鏡における病変検出用AIとして国内で初めて薬機法承認を得た製品。動画より抽出した約395万枚の内視鏡画像をAIシステムでディープラーニングによって機械学習を行ったもの。臨床性能試験では感度95%、特異度89%の病変検出精度を達成している。
疑わしい病変らしきものをシステムが検知した場合、音と色で医師に通知し、最終的な診断は医師にゆだねるとくみだ。


警告を発して、大腸病変の見落とし防止をサポート

「EndoBRAIN-EYE」は、検査中の大腸病変の見落とし防止をサポートするため開発された病変検出用内視鏡画像診断支援ソフトウェア。大腸内視鏡検査中の画像をAIが解析し、ポリープ・がんなどの病変候補を検出するとリアルタイムで音と画面上の色で警告してくれる。あえて発見した病変候補の画面上の位置まで特定することはせず、音と画面上の色によって医師に警告を発するにとどめることで、最終的な診断は医師の診断に任せる設計になっている。



同製品はオリンパス社製の汎用大腸内視鏡「EVIS LUCERA ELITE シリーズ(ハイビジョン画質以上)」と組み合わせて使用することが可能。既に大腸内視鏡検査を行われている施設は、製品を導入するだけで容易にAIの支援を得ることができる。


ソフトウェアは昭和大学横浜市北部病院、名古屋大学大学院、サイバネットシステムにより、AMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)支援のもと研究開発された。臨床性能試験を経て、サイバネットシステムが2020年1月24日に医薬品医療機器等法の製造販売承認を取得。オリンパスがサイバネットシステムから国内における独占販売権を取得した。



腫瘍性ポリープを切除することで、大腸がんによる死亡を大幅に減らせる

大腸がんは国内がん死亡数第2位・罹患数第1位と近年増加傾向にある。大腸内視鏡で早期がんや腫瘍性ポリープを切除することで、大腸がんによる死亡を大幅(53-68%)に減らせることが報告されている。(参考文献:Zauber et al. N Engl J Med 2012, Nishihara et al. N Engl J Med 2014)

医師は大腸内視鏡検査において、病変を見落とさずに検出し、検出した病変が腫瘍性ポリープ・非腫瘍性ポリープかを的確に判別し、腫瘍性ポリープを確実に切除する必要がある。

オリンパスは2019年3月に「EndoBRAIN」を発売した。「EndoBRAIN」は検査中に同社製の超拡大内視鏡を用いて撮影した大腸病変をAIがリアルタイムで解析し、腫瘍性ポリープ・非腫瘍性ポリープの可能性を数値で示すことで、医師によるポリープの判別を補助する疾患鑑別用の内視鏡画像診断支援ソフトウェア。

今回発表された「EndoBRAIN-EYE」は、検査中の大腸病変の見落とし防止をサポートするため開発された病変検出用内視鏡画像診断支援ソフトウェア。大腸内視鏡画像をAIが解析し、病変候補を検出すると警告を発することで、医師による病変の発見を補助する。

オリンパスは2019年10月12日に創立100周年を迎えた。同社は「EndoBRAIN-EYE」と「EndoBRAIN」により、大腸内視鏡検査における病変の検出から鑑別までの一連の工程をAIが支援し、内視鏡検査に携わる医療従事者の負担軽減を目指すとしている。

関連サイト
オリンパス

ABOUT THE AUTHOR / 

山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

PR

連載・コラム