安全運転するほどキャッシュバック、判定するのはAI ソニー損保「GOOD DRIVE」のしくみを解説

ソニー損害保険(以下、ソニー損保)は、スマートフォン(以下、専用アプリ)で計測した運転特性データから事故リスクを推定し、その結果に応じて保険料を最大30%キャッシュバックする運転特性連動型自動車保険「GOOD DRIVE(グッドドライブ)」の販売を、2020年3月18日に開始することを発表した。

保険料のキャッシュバックにあたっては、「保険始期日より270日以上が経過していること」「累積の計測時間が20時間以上であること」「キャッシュバックが0%でないこと」を満たすことを条件としている。

GOOD DRIVEアプリでの運転特性の計測とキャッシュバック率

「GOOD DRIVE」はソニー損保が提供する専用デバイスと専用アプリによって運転特性を計測。「GOOD DRIVE」では「アクセル・ブレーキ・ハンドル・走行中のスマートフォン操作の状況」を運転特性と称している。計測にはスマートフォンに内蔵されている加速度センサー、ジャイロセンサー、GPSセンサーを利用する。



ユーザーは、専用デバイスを契約した車のアクセサリーソケットに挿入。専用アプリをインストールし、必要な設定を行う。専用デバイスと専用アプリの設定が完了すると、車の運転開始と共に専用デバイスが起動してBluetoothの電波を発信。電波を受信した専用アプリが自動で計測を開始する。運転終了後には専用デバイスが停止し、計測も終了。ユーザーは計測開始や終了などの操作を行わずに、スマートフォンを携行するだけ。



運転特性は以下の7項目で計測して事故リスクの度合いを評価し、運転スコアとしてスマートフォンに表示する。

7項目
・急アクセル
・急ブレーキ
・急ハンドル
・GOODアクセル
・GOODブレーキ
・GOODハンドル
・走行中のスマホ操作

保険始期日以降に計測される全ての運転特性データから事故リスクを推定してスコア化し、運転スコアに応じてキャッシュバック率を決定する。キャッシュバック率は最大30%で、全部で5段階。

なお、キャッシュバック率は、年齢や等級には関係なく「運転スコア」のみで決まる。そのため、「20歳代が運転する」「等級が進行していない」といった保険料が高くなりがちなユーザーや、すでに20等級で等級割引が増えないというユーザーも事故リスクの低い運転を行うことで保険料の節約が可能。


「GOOD DRIVE」のキャッシュバックによる一例


「期待できる効果」と「メリット」

■事故リスクの低減効果
専用アプリでは現在の運転スコアに加えて、運転スコア向上のためのアドバイスや走行経路、運転スコアに影響するような操作をした地点の確認が可能。ユーザーがこれらを参考に運転スコア向上を目指した運転を心掛けることで、キャッシュバック率をアップさせるとともに、自然に事故リスクが低減していくことも期待できる。



販売に先駆けて行った実証実験では事故リスクを15.3%低減させるという結果が出ており、実際にドライバーの行動に変化が起きることを確認している。

■もしものときの「緊急ボタン」
専用デバイスには万が一の事故や車のトラブル時のサポートをさらに手厚くする「緊急ボタン」を搭載。「緊急ボタン」を押すことで、専用アプリに緊急連絡先が表示され、すぐに電話ができるとともに、ユーザーの位置情報や契約情報が専用アプリからソニー損保の事故受付担当者に連携されるため、同社への連絡がよりスムーズになる。



「GOOD DRIVE」は、自動車保険の本来の役割である万一の事故時の補償やサービスの提供のみならず、AI等の先進技術の活用により、事故リスクの低い運転をしたユーザーにキャッシュバックのインセンティブを提供することで、事故リスクの低減、ひいては交通事故の少ない社会の実現への貢献を目指す。


AIやセンシング、クラウドコンピューティングなどの技術を活用

「GOOD DRIVE」は、ソニー、ソニー損保、及びソニーネットワークコミュニケーションズが共同開発。ソニー損保がこれまで蓄積してきた保険商品・サービスの開発における知見に加え、ソニーグループが保有するAIやセンシング、クラウドコンピューティングなどの技術を用いることで実現。運転特性データの計測と事故リスクの推定にはそれぞれ、専用アプリとクラウドコンピューティング環境の双方に搭載した独自のAIアルゴリズムが用いられる。同アルゴリズムはソニーのR&Dセンター(ソニー本社の研究開発組織)が開発した。

専用アプリに搭載されるAIアルゴリズムは、スマートフォンの加速度センサーやジャイロセンサー、GPSから得られたデータを元に、運転中のスマートフォンの置き場所に関係なく運転特性データを計測。また、走行中の車内でスマートフォンの位置が変わっても高精度な計測が可能。

事故リスクは、計測された保険契約中の全運転特性データをクラウドコンピューティング環境に集約し、ソニー損保が保有する事故データと関連づけて作成した予測モデルによって算出される。算出された事故リスクは、専用アプリを通じて、被保険者であるドライバーに通知される。加えて、事故リスクを低減させるためのアドバイスが、個々の運転特性に応じて、シンプルかつわかりやすく提示されるため、ドライバーは、次の運転時からすぐに改善に取り組むことができる。

同保険サービスは、事故リスクとその低減方法をシンプルかつわかりやすいユーザーインターフェースでドライバーに提示するとともに、キャッシュバックというメリットを提供することで、ドライバーに行動変容を促す。なお、販売に先駆けて行った実証実験では事故リスクを15.3%低減させるという結果が出ており、実際にドライバーの行動に変化が起きることを確認している。



ソニー株式会社 社長 兼 CEOの吉田 憲一郎氏は以下のようにコメントしている。

■ソニー株式会社 社長 兼 CEO 吉田 憲一郎氏のコメント
当社は、『クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす』というPurpose(存在意義)を掲げています。このPurposeを実現する大前提になるのは、感動する主体である人々の安心・安全であり、金融分野の事業は人々に安心やお金の便利さの価値を提供するものと位置付けています。また、ソニーでは、モビリティにおける取り組みを当社の長期的な社会貢献の柱と位置付けています。この度の「GOOD DRIVE」は、ソニーのAIやセンシング、クラウドコンピューティングなどの技術を用いて、ドライバー自身の運転リスク低減に繋がるという意味で、モビリティの未来に貢献することをめざすサービスです。ソニーでは、今後もテクノロジーの力で金融事業に力を与え、その提供価値の向上に引き続き取り組んでまいります。
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GOOD DRIVE

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山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

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