肩の負荷を約15%、衣類の摩耗を94%軽減、背中の蒸れも解消するビジネスリュック「EVL-3.5LP」をエースが発表 そのしくみは

リュックはとても便利で、最近ではビジネスマンにも流行しているが、その一方で肩こりの原因になっていたり、衣服の背中がこすれて摩耗したり、背中が蒸れて汗だく、といった悩みを抱えている人も多い。それらを解消するため、歩行時の骨盤の動きに合わせて腰パッドが可動する新構造「ランバームービングシステム」を搭載したビジネスリュック「EVL-3.5LP」をエース株式会社が開発した。同社のブランド名は「ace.」(エース)。2020年5月上旬より、直営店・オンラインストアをはじめ、全国の百貨店や専門店で順次発売する。


両肩の荷重を比較した場合、背面がフラットなリュックに比べて、「EVL-3.5LP」は平均「13.7%軽減」するという。また、荷重のピークでは「15.5%」も軽減する。摩耗量は「94.4%軽減」する。
背部の放熱性はサーマルマネキンを用いた熱量計測の結果「20.5%」も向上するという。


荷重、摩耗量、蒸れを解消する新構造「ランバームービングシステム」

肩こりや腰痛の要因となる肩の負荷軽減のための構造として、荷重を腰に分散する腰パッドがある。しかし歩行時の骨盤は周期的な回旋・傾斜運動を行っており、動きに合わせて胸郭と骨盤の相対位置が変化するため、従来の固定式腰パッドでは荷重を常に適切な位置で支えることが困難。そこで骨盤の動きに合わせて腰パッドが三軸方向に可動し、荷重を動的に支える新構造「ランバームービングシステム」を開発。


ランバームービングシステム

ランバームービングシステムはリュック重量6kgの検証の結果、歩行サイクルを通じた両肩の荷重は背面がフラットなリュックに比べて平均13.7%軽減。荷重のピークで15.5%軽減する。


数値には個人差がある

同じく6kgでの摩耗量の検証では、腰との接地面がズレが生じないよう骨盤の動きに合わせて腰パッドが可動するため、往復摩擦を抑えられ94.4%軽減。


数値には個人差がある

背部の放熱性はサーマルマネキンを用いた熱量計測結果、出っ張った背中と腰のパッドによってリュックと背中の間に空気の通り道が確保され、放熱性が20.5%向上した。



「EVL-3.5LP」はB4ファイル、ノートPC(15.6inch)、タブレット端末(10inch)が収納可能。前側のメイン収納スペースは大きく開き、荷物の出し入れがしやすい構造で、フロントトップポケット内にはモバイル端末を収納可能。収納部分には傷が付きにくいパイル地を使用し、端末が落ちにくい設計。左サイドポケットにはペットボトルや折りたたみ傘が、右サイドポケットにはスマートフォン等が収納できる。


「EVL-3.5LP」はランバームービングシステム以外の構造、機能、サイズはすべてEVL-3.5シリーズのNo.62013と同じ

「EVL-3.5LP」はH32×w45×D16cmのサイズとH33×W47×D17cmのサイズがラインナップされている。価格は高さが32cmのものが(品番:62018)が29,000円(税抜)、高さ33cmのもの(品番:62019)が30,000円(税抜)。

■EVL-3.5LP 概要
素材:ナイロン(コーデュラバリスティック)
カラー:ブラック
品番/サイズ(縦× 横× マチ幅)/価格
62018/32×45×16cm/29,000円+税
62019/33×47×17cm/30,000円+税
URL
https://store.ace.jp/shop/c/c40093/

「ace.」(エース)は1940年創業の日本のバッグメーカー「エース株式会社」が手掛けるバッグ&ラゲージブランド。「すべての移動を旅と捉え、その移動を快適にする最適なカタチを提供する」ことをコンセプトに、トラベルからカジュアル、ビジネスまで幅広い種類のバッグを提供。日本含むアジアマーケット中心に展開中。


ランバームービングシステム 開発エピソード

以下はランバームービングシステムの開発エピソード(プレスリリースから引用)。

■リュックを左右に大きく揺らしながら歩く歩行者に目が留まったのが開発のきっかけ

肩の負荷を軽減するリュック開発に取り組む中で、リュックを左右に大きく揺らしながら歩く歩行者に目が留まり、原因を掘り下げていったことがきっかけです。腰への負荷の分散は、肩の負荷を軽減する上でやはり無視することのできない効果的な解決策だと思います。中でもウエストベルトは腰への負荷分散の最も代表的な方法ですが、拘束される不快感が強くビジネスシーンにはマッチしないと考えたため、体に余計な拘束を加えずに腰で荷重を支えられる新たな方法を模索しました。


効果を測定するため「計測装置」から開発

ランバームービングシステムの開発には苦労しましたが、さらに苦労したのは荷重の評価手法の構築です。どこに・どの方向から・どれだけ荷重がかかっているのかを調べるため、外部協力を得てロボットハンドの指などに使われている触覚センサを応用し、身体接触部分の荷重を包括的に計測できるウェアラブルセンサを開発しました。この測定装置の開発だけで1年6か月かかりました。


抜本的な改善方法が見当たらなかった「擦れ」問題が解決

衣類の大幅な摩耗軽減効果には驚きました。プロトタイプを背負った瞬間に(これはいける!)と感じ、効果を検証しました。カスタマーセンターにはお客様から衣類やリュック背面メッシュの摩耗に関するご意見を頂くことがありますが、リュック側の素材選定だけでは防ぐことができず、抜本的な改善が望まれていました。肩の負荷軽減を目指し開発したものが、このような結果に結びついて良かったです。



説明だけでは十分にお伝え出来ない部分も多いので、ぜひ一度背負って効果を実感いただければと思います。特に日常的に重いリュックを持ち歩く方や、テレワークでパソコンの持ち運びが増えた方には試していただきたいです。今までにない背負い心地や感触をお届けします。


・ランバームービングシステム開発者
MD本部 デザインセンターR&D課 若生 然太 (わこう ねんた)
早稲田大学大学院 創造理工学研究科(経営システム工学専攻修士課程)修了後、2011年エース入社。百貨店担当として1年間営業を経験し、北海道赤平工場 商品開発部やデザインセンター勤務を経て、R&D課設立とともに研究開発業務に従事。


ABOUT THE AUTHOR / 

ロボスタ編集部

ロボスタ編集部では、ロボット業界の最新ニュースや最新レポートなどをお届けします。是非ご注目ください。

PR

連載・コラム