NVIDIAは、同社の創業者兼CEO ジェンスンフアン氏の「GTC2020 基調講演」(オンライン配信)をYouTubeで配信した。それと時を同じくして、低価格で高性能なAIコンピュータボード「Jetson Xavier NX」開発キットがいよいよ5月15日より、日本国内で発売になることが明らかになった。
「Jetson」シリーズは、ドローンなどの自律機器、ロボット、ビデオ解析を伴うセキュリティカメラ、STEM教材、ホビーなど、デバイスに組み込んでAIエッジコンピューティングを実現するGPU推論用の「AIコンピューティングボード」だ。「Jetson Xavier NX」はそのシリーズ最新版となる(Xavierの読みはエグゼビア)。
日本国内向けには、5月15日(金)から下記の販売サイトにて予約販売が開始される。
価格は45,900円(税抜)。
・菱洋エレクトロ
販売サイト https://ryoyo-gpu.jp/
・マクニカ
販売サイト https://www.switch-science.com/catalog/6340/
Jetson TX2の10~15倍高速
「Jetson Xavier NX」の発表は2019年11月に行われ、コストパフォーマンスの高さに注目が集まった。
Jetsonシリーズはハイエンドモデルの「Jetson AGX Xavier」クレジットカードサイズの「Jetson TX2」(Jetson TX1)、それより小さい「Jetson Nano」がラインアップされてきた。今回の「Jetson Xavier NX」は最も小さい「Jetson Nano」とサイズやピンタイプが同じで、ハイエンドのXavierを名前に冠したモデルとなっている。
NVIDIAが報道関係者向けに公開したベンチマークの最新情報では、多くのシーンで従来モデル「Jetson Nano」や「Jetson TX2」と比較して、圧倒的に高いパフォーマンスを達成している。また、今注目の「BERT」を使ったユースケースでも活躍しそうだ。
Jetsonシリーズ共通のSDK「JetPack」も提供
「Jetson Xavier NX」を含む、Jetsonシリーズ共通の開発キット(SDK)が用意され、無料でダウンロードできる。SDK「JetPack」にはJetson用の組込型OS「NVIDIA L4T」をはじめ、「cuDNN」や「CUDA」などのGPUライブラリやAIフレームワーク、デモセットなどが含まれていて、はじめてAI開発に取り組む技術者でも比較的簡単に開発に着手できる。
SDKのバージョンは「JetPack 4.4」にアップデートされ、概ね下記の内容が追加されている。
1.Xavier NX対応
2.いくつかの機械学習モデルの追加対応
3.スピード強化
4.DeepStreamのpython対応
Jetsonシリーズ開発キット「JetPack」
AIエッジコンピューティングの需要は拡大
NVIDIAの発表によれば、グローバルでJetsonの開発者は50万人を越えている。画像認識や自動搬送、BERTなどの自然言語処理などを中心に、ディープニューラルネットワークのニーズはさまざまな分野で激増、ユースケースも増えてきている。デバイスに搭載できるAIコンピュータボードやエッジコンピューティングの需要は今後も急拡大していくと見られている。
【追記】
NVIDIAとマクニカは「Jetson Xavier NX」を解説するオンラインセミナーを緊急開催することを発表した。
関連記事「Jetson Xavier NX 開発キットのオンラインセミナーをNVIDIAとマクニカが緊急開催 5/19 17時から」
ロボスタでは「Jetson Xavier NX」のレビュー記事を掲載予定。セットアップの手順やデモセットの実行、ベンチマーク、具体的なユースケース活用などを紹介していくのでお楽しみに。
【追記:速報】
早くも「Jetson Xavier NX」のレビュー記事を掲載。
全3回の第1回は「開封の儀」と「Jetson Nanoとのコネクタ関連の違い」「SDKのデモ」。更には今話題になっている先進の自然言語処理「BERT」にも挑戦
【Jetson Xavier NX レビュー(1)】高性能なミドルレンジモデルのAIコンピュータボード 開封の儀&デモ詳細 BERTにも挑戦
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神崎 洋治神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。