2024年度の声紋認証市場は約280億円へ スマートスピーカーでの採用や金融機関での活用が広がる見込み 日本能率協会総合研究所

日本能率協会総合研究所(略称:JMAR)は声紋認証市場を調査し、市場規模を推計したことを発表した。2024年度の声紋認証市場規模は約280億円へと成長、BtoC市場ではスマートスピーカーでの採用によって市場が拡大し、BtoB向けは金融機関を中心に活用が広がると予想している。(画像「MDB Digital Search」のロゴはホームページから引用)

■声紋認証市場概況
・2024年度の声紋認証市場は約280億円。
・声紋認証は、口や喉といった発声器官の個人差から生じる声の特徴から個人を特定する生体認証の1つ。
・声紋の認証には「テキスト依存方式」と「テキスト独立方式」があるが、自然な会話から認証可能な「テキスト独立方式」の幅広い分野における利活用が期待されている。
・声紋認証はスマートスピーカーで採用されBtoC市場で拡大、企業向けは金融機関を中心に活用が広がる見込み。

調査結果の詳細はリサーチプラットフォーム「MDB Digital Search」で確認できる。レポート以下のように構成される。

■レポートの構成
1.調査対象市場定義
2.主要参入企業一覧
3.市場規模・予測
4.マーケットシェア/主要参入企業動向
5.業界構造・ビジネスモデル
6.ユーザー動向  計6ページ

■MDB Digital Search URL
http://search01.jmar.co.jp/mdbds/


声紋(せいもん)認証とは

発声器官である喉や鼻、口は人それぞれ違いがあり、その差異から生じる声の特徴を抽出し、個人を特定する技術が声紋認証。金融機関などセキュリティ対策を必要とする企業向けとして提案されてきたものの、音声サンプルの作成や更新にかかる工数が煩雑なこと、頻繁に声紋認証を必要とする業務がそこまで多くないこと等から、多額の費用がかかる声紋認証を活用するメリットが少ないと判断され、これまでは普及が進まなかった。


ディープラーニングによって精度が向上

JMARは、2012年頃から、声紋認証のベースとなる音声認識技術がディープラーニングによって飛躍的に発展したことにより、声紋認証が再度脚光を浴びるようになる。また、これまでは製品に組み込む形で提供されることが多かったため、登録された音声サンプルデータの変更作業などが定期的に必要になることが指摘されていたが、クラウドサービスでの提供が主流になり、サーバー側で登録データの更新を実施することで、常にクライアント側は最新データを利用して認証が行えるようになった、と分析。このように性能やコスト面での課題が改善されていく中、広く一般に使用されるようになったスマートスピーカーで声紋認証が採用されたことによって、さらにより身近な技術として認識されるようになった、と続けている。


2018年頃から「テキスト独立方式」が注目されるように

調査レポートでは、スマートスピーカーの操作は音声認識技術を用いた発声により行われるが、登録者の認証を行う際に声紋認証が利用されている、としている。通常、スマートスピーカーでは、特定のフレーズを利用して個人を特定し、認証を行なう「テキスト依存方式」が用いられる。この方式は、利用者が限定されるケースでの認証に適している反面、活用シーンが限られることが課題とされている。

一方、2018年頃からは、特定フレーズに縛られず自然な会話から認証できる「テキスト独立方式」が注目されている。「テキスト独立方式」は、発言速度や、アクセント、言語等に依存しないため、より広範なシーンでの利活用が期待される。最近では金融機関において、「テキスト独立方式」を用いた声紋認証サービスの導入や実証実験も増加し、金融機関向けを中心に利活用が進むことが予想される。

関連サイト
MDB Digital Search

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山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

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