近年、医療現場でも働き方改革が促進されており、その中でも特に医師の長時間労働が問題視されている。
医師とエンジニアが創業したスタートアップであるUbie株式会社は、全国の医療機関向けにパブリッククラウド上で提供するAI問診システム「AI問診Ubie(ユビー)」を提供しており、この度、同システムに、東日本電信電話株式会社(NTT東日本)と西日本電信電話株式会社(NTT西日本)が提供するIPv6閉域網サービス「フレッツ・VPN プライオ」を利用した閉域VPNプランを追加したことを2020年6月10日に発表した。
インターネット経由で接続していたAI問診システムにIPv6を活用した閉域VPNプランを利用することで、インターネットを介さず医療機関が求める高いレベルでのセキュリティを保ち、低遅延で安定したサービス提供ができる。また、紙で一律に行われている受付時の問診をデジタル化すると共に、およそ5万件の論文データベースを基に開発されたAIが参考病名を表示・電子カルテ記入を補助することで医療現場での働き方改革・生産性向上の実現を可能にする。
同プランの概要
同社の「AI問診Ubie」は、生産性を向上するシステムとして200を超える医療機関に提供しており、個人情報保護やプライバシー保護の観点から、医療機関よりセキュリティの高い接続形態を求める要望を踏まえNTT東日本・NTT西日本と共に検討を重ね、IPv6閉域網を利用した新たなプランの追加に至った。なお、同社は、社会・地域の課題を解決する事業を、ベンチャー企業とともにスピーディーにスケールさせ、地域全体に革新を起こすことを目的としたNTT東日本のプログラム「アクセラレータプログラム」を通して協業した企業であり、AI問診システムは、厚生労働省のタスク・シフティング等勤務環境改善推進事業による補助金施策の認可を得たプランだ。
勤務環境改善の先進的取組を行う医療機関に必要経費を補助するとともに、当該取組の効果・課題について検証・評価し、周知することにより先進的取組の普及を図ることなどを目的とした厚生労働省が実施する事業。
AI問診Ubie
同システムでは、従来、医師や看護師などの医療従事者が患者に問診し、電子カルテに手作業で転記していた内容を、患者自身がタブレットへ入力することでカルテ入力を効率化すると共に、診察前に約5万件の論文データベースからAIが参考病名リストを表示することで、医師業務のサポートや負担の軽減が実現可能となる。また、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、2020年5月11日より「COVID-19トリアージ」支援システムを拡張。スマートフォンを用いた自宅での事前問診や専用タブレットを用いた来院直後の問診、アラート機能による院内でのトリアージ実施と、三段構えでCOVID-19疑い患者との濃厚接触を低減し、院内感染の抑止を支援している。
■【動画】AI問診Ubie コンセプトショートムービー
フレッツ・VPN プライオ
フレッツ・VPN プライオは、IPv6を活用した閉域網のVPNサービスだ。IPv6アドレスを用いたダイレクトな通信を実現することで、低遅延で安定した通信が可能となります。特に、安定かつセキュアな環境が求められる重要データ送信時に活用されている。
クラウドゲートウェイ クロスコネクト(東日本エリア)
信頼性の高い閉域ネットワーク経由でクラウドサービスを利用したい法人ユーザー向けに、NTT東日本が提供するフレッツ・VPNサービスからクラウドサービスおよびNTT東日本のデータセンターへの接続を可能とする定額制のネットワークサービス。さまざまなクラウドサービスとフレッツ・VPNサービスを接続して、セキュアにシステムを構築することが可能だ。
クラウド クロス コネクト(西日本エリア)
NTT西日本のグループ会社であるエヌ・ティ・ティ・スマートコネクト株式会社(NTTスマートコネクト)が提供する、主要なクラウドサービスとユーザーのネットワークを接続するサービス。インターネットを介さないセキュアな環境でクラウドサービスを利用できる。
▼ 各社の役割
Ubie | ・AI問診Ubieの提供 |
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NTT東日本 | ・フレッツ・VPN プライオ、フレッツ 光ネクスト、クラウドゲートウェイ クロスコネクトの提供 ・ICTソリューションの構築・運用実績ノウハウを生かしたサービス検討 |
NTT西日本 | ・フレッツ・VPN プライオ、フレッツ 光ネクスト、クラウド クロス コネクトの提供(※サービス提供主体はNTTスマートコネクトとなる) ・ICTソリューションの構築・運用実績ノウハウを生かしたサービス検討 |
▼ 同サービス利用者の声
医療法人弘仁会 板倉病院(千葉県船橋市)理事長・院長 梶原 崇弘 氏
当院は地域に密着した丁寧な医療を提供すると同時に、24時間体制の救急外来を設けております。AI問診は業務の効率化を図ると同時に適切な診療情報を残していくのに役立つと考えました。導入にあたり、当院の電子カルテ端末は閉域回線でデータセンターと接続しているため、AI問診のWebサーバー接続にあたっても、セキュリティを考慮し同じ閉域回線を希望していました。NTTによる閉域網は回線品質の安全性、安定性が高く、また価格もリーズナブルであったことから導入に至りました。紙の問診からAI問診に切り替えたことにより、医師と看護師は患者様に向き合う時間が増えたと感じています。
宝生会 PL病院(大阪府富田林市)理事長室 室長 御木 縛 氏
既にWi-Fi環境の整備は進められていたものの、電子カルテのネットワークは完全にクローズドな環境にしており、対応に苦慮していました。解決に向け複数案の検討を行っている中、Ubie社よりNTTの回線を使った閉域網プランを提案され、セキュリティおよび費用面で合致したため採用し、無事AI問診が導入できました。結果として問診票入力内容の抜け漏れ防止、医師のカルテ入力負担軽減、カルテ内容標準化といった効果を得られており、非常に満足しております。今後は他科への水平展開も考えている次第です。
● フレッツ・VPN プライオ(東日本):https://business.ntt-east.co.jp/service/vpnprio/
● フレッツ・VPN プライオ(西日本):https://flets-w.com/biz/vpnprio/
● クラウドゲートウェイ クロスコネクト:https://business.ntt-east.co.jp/service/crossconnect/
● クラウド クロス コネクト:https://cloud.nttsmc.com/cxc/
Ubie株式会社