日本電気株式会社(NEC)は、コミュニケーション・ロボット型プラットフォーム「PaPeRo i」(パペロアイ)を活用した、高齢者の見守りと楽しい生活をサポートするサービス「みまもり パペロ」を提供開始する。まずは、静岡県藤枝市にて、7月1日から3か月間の実証実験を行い、10月から希望する市民へサービス提供する予定だ。
同実証実験では、従来の「みまもり パペロ」のサービスに加えて、藤枝市が警備会社と連携し、独自の緊急通報サービスを提供するのが大きな特徴となっている。このようにロボットを介して自治体と警備会社が連携するサービスは全国で初めてという。
NECプラットフォームズが2016年7月に出荷開始したロボット型オープンプラットフォーム「PaPeRo i」は、撮影用カメラ・顔認識用カメラ、温度・湿度・光度等のセンサーを持ち、音声認識機能やテキスト読み上げ機能もある。また、クラウド型AIとの連携も可能だ。
みまもりパペロとは
同サービスは、顔検知機能や音声認識AI技術、さらにクラウドサービスを融合しており、高齢者の見守りだけでなく、ロボットとの会話や家族とのメッセージ・写真などのやりとりを通じて一人暮らしの高齢者の孤独感を癒し、楽しい生活をサポートする。現在サービスを利用中の高齢者に最も多く使われているのはロボットとの会話を楽しむ「おしゃべり機能」で、多い人は1日50回以上、平均で1日15回使われている。
具体的な安否確認方法
今回、藤枝市は高齢者と離れて暮らす家族に代わって、警備会社が緊急時に対応できるよう、新たに緊急通報サービスに取り組む。緊急通報は「高齢者が赤い緊急通報ボタンを押すと、即時に警備会社・家族・自治体に緊急通報メールを送信」する方法と、「見守りのための写真撮影で3回連続、高齢者がロボットの前に現れなかった場合、警備会社・家族・自治体に緊急通報メールを送信」するという、2つの方法が用いられる。警備会社は緊急通報メールを受信すると、ただちに高齢者に電話をかけ、必要な措置を取ります。電話に応答がない場合は、高齢者宅を至急訪問し、安否を確認する。
今後の取り組み
同社では全国の自治体に向けて次のような取り組みを行うと共に、自治体などとの連携を進め、2022年末までに1万人へ「みまもり パペロ」を提供することを目標としているとのことだ。
ロボットを介して自治体と地元企業が連携するサービスモデルの提案・提供
同社は「みまもり パペロ」の基本サービスを提供し、自治体は同社提供のAPIを使って宅配スーパーと連携した「買物支援」や、病院と連携した「健康管理支援」などを開発・提供。これにより、地域社会が連携して高齢者の生活を支える仕組みの実現に貢献する。
COVID-19対策につながる「非訪問・非対面」での見守り
高齢者の新型コロナウイルス感染を避けるため、訪問による見守りが困難になっている自治体に対し、非訪問・非対面による見守りサービスとして「みまもり パペロ」の活用を提案していく。また、ロボットとの会話や家族とのコミュニケーションにより、新型コロナ感染症によって外出が難しくなった高齢者の癒しに貢献する。
日本電気株式会社(NEC)