神戸市とNTTドコモは2019年3月14日に「ICTを活用した安全安心なまちづくり」を目的とする協定を締結。この取り組みのひとつとして、AI翻訳を利用した実証事業を開始する。通訳者が確保できない場合でも外国人住民等とAI翻訳によって円滑な対応を目指すのが目的。規模災害時の避難所対応等に活用、また、翻訳アプリを搭載したタブレットを用いることで非接触での対応が可能になり、人の密集を避けることができるため、新型コロナの感染症防止対策としても活用できるとしている。
神戸市とNTTドコモ(以下、ドコモ)、みらい翻訳は通訳、翻訳が必要な外国人住民等に対し、ドコモとみらい翻訳が提供するAIを活用した翻訳ソリューション「はなして翻訳」および「Mirai Translator」を活用した「神戸市ドコモAI翻訳実証事業」(以下、実証事業)を7月1日(水)~10月30日(金)まで実施することを発表した。
はなして翻訳の機能で区在住の外国人の対応を強化
はなして翻訳は税金や引っ越しなどの手続き関係、災害時の対応など、外国人住民対応によく使うフレーズを定型文として登録できる機能や、タブレットに向かって話すことで外国語、日本語の同時翻訳ができる機能の他、「兵庫区」「神戸市国際コミュニティーセンター」などの固有名詞や「生活保護」「印鑑登録証明書」などの専門用語を個別登録することで、正確な翻訳を可能とする機能を備える。
実証事業では中央区役所(総務課、まちづくり課、市民課、保険年金医療課、健康福祉課、こども家庭支援課、生活支援課、中央市税の窓口)、灘区役所(こども家庭支援課)、兵庫区役所(こども家庭支援課)に導入。神戸市用に特化した定型文は対象の区の国籍別在住外国人人口を基に英語・中国語(簡体字・繁体字)・韓国語・ベトナム語の5言語に対応し、区役所での窓口業務/訪問業務における通訳多言語対応の強化の他、次の対応を目指す。
翻訳精度の向上、正確な案内を目指す
・通訳者を介さない対応により、プライバシーに配慮した応対を実現する
・頻出するフレーズを定型文登録することで対面翻訳時の迅速な案内が可能となり利便性が向上するとともに、誤訳なく確実な案内を実現する
・一般的な翻訳サービスでは誤訳が起こりやすい行政機関名等の固有名詞や専門用語を個別に辞書登録することで、翻訳精度と利便性を向上させる
・災害時の避難所での多言語対応を実現する
Mirai Translatorで職員の業務の効率化、翻訳精度の均質化を目指す
Mirai Translatorは高い精度のニューラル機械翻訳エンジンでテキストを翻訳できる他、逆翻訳機能も搭載しているため翻訳文が適切に翻訳処理されたかを確認することが可能。また、製品名や専門用語、特殊な社内用語を翻訳に対応する「ユーザ辞書登録管理機能」「翻訳メモリ管理機能」も搭載している。
神戸市、ドコモ、みらい翻訳は区役所職員ヒアリング結果をもとに、区民の案内に活用できる文章や頻出する固有名詞や専門用語をリスト化し、「ユーザ辞書登録管理機能」「翻訳メモリ管理機能」に搭載。実証事業ではMirai Translatorを活用した市役所・区役所における文書の迅速な多言語(23言語ペア)対応の強化、行政書類の迅速かつ正確な多言語翻訳による翻訳精度の均質化と職員の業務の効率化を目指す。
「みらい翻訳」の翻訳機能の精度は「お試しページ」で確認できる。
お試し翻訳(Mirai Translator) https://miraitranslate.com/trial/
・日本語⇔英語、欧州系言語(ドイツ語、スペイン語(欧)、フランス語、ポルトガル語(欧)、ロシア語、イタリア語)、アジア系言語(韓国語、中国語(簡体字/繁体字)、タイ語、ベトナム語、インドネシア語)
・英語⇔欧州系言語(ドイツ語、スペイン語(欧)、フランス語、ポルトガル語(欧)、ロシア語、イタリア語)、アジア系言語(韓国語、中国語)(簡体字/繁体字)、タイ語、ベトナム語、インドネシア語)
今後の展開
・各アカウントの日別利用回数や時間帯別利用割合、言語別利用割合等を集約することにより、市・区役所業務における多言語対応状況を可視化
・翻訳を行った単語や文章を集計し、頻出する固有名詞や専門用語を洗い出していくことにより、翻訳精度の向上等を検討
・他の翻訳・通訳サービスに対し、市民に正しく伝わっているか、応対時間が短縮できているか等を検証し、費用対効果を含め、本格導入の有無を総合的に判断
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山田 航也横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。