人間味のある接客を目指すAI「デジタルヒューマン」日本上陸!ボーダフォンやUBS銀行、新型コロナ対策アドバイザーなど導入事例を公開

デジタルヒューマン株式会社は、米国UneeQ, inc.と提携し、日本国内における「デジタルヒューマン」の提供開始を発表した。
デジタルヒューマンは、無機質なAIやチャットボットとのやり取りに対して、人間味のあるコミュニケーション(声のトーン+幸せ・悲しみ・共感・恐怖・驚き・嫌悪感・怒り・好奇心)を表現しつつ、AIがシナリオに沿ってコミュニケーションするFAQシステム。あたかも人間が応対しているかのような接客を目指す。


デジタルヒューマン スイス最大の銀行UBSのDani

また同社は、ボーダフォンやスイス最大の銀行UBSなどの、海外でのデジタルヒューマン活用事例も公開。コラボレーションパートナー、セールスパートナー、共同研究パートナー等の提携先を募集中であることも発表した。





「デジタルヒューマン」の活用事例

また、UneeQ社による「デジタルヒューマン」の導入事例(一部)も公開した。
例えば、新型コロナウイルス感染症ヘルスアドバイザーのデモではデジタルヒューマンの「ソフィー」とリアルタイムの対話体験ができる。


新型コロナウイルス感染症ヘルスアドバイザーのデモ

デジタルヒューマン「ソフィー」とリアルタイムに対話ができる。

デモサイトURL
https://covid19.us.digitalhumans.com/
日本語を希望する場合は、左上の言語選択で「Japanese」を選ぶ。ただし、デモで話す内容は英語から日本語へリアルタイムに機械翻訳されたものであり、日本語に最適化されていない場合があるという。また、現在はスモールトーク(雑談)は受け付けない仕様になっている。
同社は「提供される情報は外部組織の見解や、開発時の情報を含んでいる可能性がある。COVID-19 に関する最新の情報は内閣官房ホームページ(https://corona.go.jp/)を参照のこと」としている。


携帯電話会社大手「Vodafone」ブランドアンバサダー

ボーダフォンのデジタルヒューマンは、来店客を笑顔で迎え、業務を手伝ってくれる。彼女は最初から最後までスタッフの手を借りることなく取引を処理することができるので、スタッフはより差し迫ったタスクに集中することができる。


来店客はボーダフォンのブランドアンバサダーによる人間らしいサービスを受けたことを実感することができる。


スイス最大の銀行 UBS

スイスの銀行、UBSのチーフエコノミスト、ダニエル・カルト氏はとても忙しく、すべての顧客に適切なサービスを提供するのは困難だった。そのため、ダニエル氏が任務をこなしている間、UneeQ社のデジタルヒューマンである「ダニー」が応対することになった。


ダニーはデジタルの世界で24時間、クライアントと「顔を合わせて」会うことができ、規模を問わず素晴らしい顧客体験を提供することができるようになった。


リテイルストア Noel Leeming

小売業界における人工知能(AI)は、特に顧客サービスの分野で重要なトレンドになりつつある。小売業者は、現場の従業員を効果的に活用しながら、より迅速でパーソナライズされた体験を顧客に提供するために、デジタルヒューマンを活用するようになってきている。


一般的に小売業で使用されているAIは情報を収集し、顧客の問い合わせに対して決まった回答を提供するチャットボットがほとんどだ。デジタルヒューマンは、人間味のあるコミュニケーション(声のトーン、会話、表情など)を表現することで顧客とより深い信頼関係を築きあげることができる。


世界的に有名なインフルエンサーをデジタルヒューマンに

世界的に有名なインフルエンサーPietro Boselli氏(ピエトロ・ボゼッリ)をデジタルヒューマンにする事例も公開している。
Boselli氏はイタリアのエンジニアであり、ロンドンのユニバーシティ・カレッジの元数学講師。更にモデルであり、ファッションラインPetro Design(ペトロ・デザイン)の創設者でもある。彼はアルマーニ、アバクロンビー&フィッチ、エクイノックスのモデルを務め、GQ(男性向けファッション・カルチャー雑誌)の表紙も飾った。


「世界で最もホットな数学教師」と言われるBoselli氏は、自身が、『同時』に『複数の場所』に存在できないことを知っている。しかし、デジタルヒューマンによって、有名人がデジタルでの存在感を高め、バーチャルな自分を使ってオンラインでの活動ができる未来を想像し、一度に何百万人ものファン一人一人に最適化された個別の会話をしたり、自分が支持するブランドの宣伝をしたり、商品の使い方を教えたりする事ができるようになることを目指す。


デジタルヒューマンで「Society5.0」の実現へ

同社は「政府が掲げる「Society5.0」では、サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合することで、今まで人間が行っていた作業や調整をAIやロボットが代行支援し、快適で活力に満ちた質の高い生活の実現を目指しています。『デジタルヒューマン』は、最先端のコミュニケーションAIによる『対話』と『感情表現』の提供により、『リアルとバーチャルの調和が進んだ柔軟な社会』実現に貢献する」としている。

出典:内閣府科学技術政策society5.0,文部科学省令和2年度科学技術白書
https://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/




デジタルヒューマンについて(プレスリリースより)

【デジタルヒューマンの強み】
▼スーパーブレイン
人では覚えきれなかった情報、ビッグデータや統計に基づいて顧客とのコミュニケーションを理解。既にお持ちのFAQやナレッジベース等の資産をそのまま流用して、会話を構築する事ができます。

▼顧客を引き込む表情・感情
デジタルヒューマンは人間味のあるコミュニケーションを表現することで、あたかも人格がある様に錯覚する程、顧客を引き込む事ができ、エンゲージメントを高めます。

▼人口減少・労働力不足の解消
24時間365日、いつでも対応可能。デジタルヒューマンは残業手当の上乗せも休憩も不要で、退職のリスクも無ければ、労働問題に繋がる心配もありません。同じ品質で同じ対応ができる即戦力なデジタル人材を、必要な時に、必要な分だけ。例えば、オペレーターや設備不足による、繋がらないコールセンターは無くなります。

▼どこでも利用可能
顧客は、デスクトップ、モバイル、タブレットなど、あらゆるチャネルでデジタルヒューマンと対話することができます。

【主なサービス内容】
・コミュニケーションAIやチャットボットと接続し、デジタルヒューマン化
・会社/ブランドの「顔」としてのオリジナルのデジタルヒューマン作成
・特定の人物を模したクローンデジタルヒューマンの作成
・デジタルヒューマンのマネジメント

【連携できるサービス】
様々なAIサービスやチャットボットと接続し、表現豊かなデジタルヒューマンを利用できます。
既にAIサービスやチャットボットを導入されているのであれば、過去に蓄積されたデーターをそのまま流用し、直ぐに利用可能です。他にも、NLP(自然言語処理)・NLU(自然言語理解)・NLG(自然言語生成)や、様々なAPIと連携する事ができます。

【今後の展開】
デジタルヒューマンによる想像を超えたカスタマーエクスペリエンスをコールセンター/コンタクトセンターや、携帯電話ストア、金融機関、ショッピングモールをはじめ、すべての顧客を中心としたサービスへ提供いたします。その後、ヘルスケア部門、教育部門との連携を強化していきます。
既に、日本国内でも導入が進んでおりますが、より日本国内向けに顔や髪型、声や喋り方をローカライズしたデジタルヒューマンの開発にも取り組んでおります。


ABOUT THE AUTHOR / 

神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

PR

連載・コラム