KDDIとKDDI総合研究所は新型コロナウイルス感染症の影響により合唱コンクールが中止になった全国の合唱部の学生にエールを送るため、東京混声合唱団が出演する「コン・コン・コンサート2020」(会場:東京芸術劇場)において、企画に賛同した中学校および高校の合唱部102名の映像・歌声に合わせて東京混声合唱団が合唱する模様を「新音楽視聴体験 音のVR」アプリで2020年7月31日19時からライブ配信することを発表した。
「音のVR」アプリではあたかもコンサートホールの舞台上や客席を自由自在に移動し、自分だけの特等席で鑑賞しているような疑似体験が可能な他、「音のVR」の特長である、ソプラノ、アルト、テノール、バスといった各歌唱パートの歌声にフォーカスできるなど今までにない音楽視聴を体験できる。今回「音のVR」でライブ配信するプログラムは「NHK全国学校音楽コンクール2019」中学校の部 課題曲「君の隣にいたいから」、高等学校の部 課題曲「僕が僕を見ている」の2曲。楽曲は「NHK全国学校音楽コンクール2020」の中止により、コンクールに出場できない学生と一緒に歌うことを目的に東京混声合唱団が選定した。「音のVR」アプリはApp Storeからダウンロード可能。
なお、7月31日に東京芸術劇場で開催する「コン・コン・コンサート2020」ではソーシャルディスタンス確保のため座席数を500席に限定し、また、ウィズコロナにおける合唱の新たな試みとして、独自開発した合唱用マスクを着用して行われる。公演の全プログラムは東京混声合唱団のYouTubeチャンネルで無料配信を行う。
ライブ配信を通じて歌うことの楽しさや思い出づくりを提供
東京混声合唱団が出演する「コン・コン・コンサート」は「NHK全国学校音楽コンクール」や「全日本合唱コンクール」のコンクール参加者に向けて、課題曲の新たな音楽的アプローチの提示を目的に2018年から開催している。今年は新型コロナウイルス感染症の影響でこれら2つのコンクールが中止になったことを受け、東京混声合唱団はコンクールに参加できない全国の中学生や高校生に向けて、ライブ配信を通じて歌うことの楽しさや思い出づくりを提供することを目的に、「コン・コン・コンサート2020」の開催を決定。
KDDIはこの東京混声合唱団の「合唱することが困難な状況ながらも、プロ合唱団として学生に合唱の魅力を伝えたい」と強く願う気持ちに共感し、新型コロナウイルス感染症対応に関する基本方針として掲げる「生活の不安・困難を減らし、心を満たせるようなお客さま体験を提案する」ことへの一環として、「音のVR」でのライブ配信を実施するに至ったという。
KDDI総合研究所が開発した「音のVR」は360度動画の見たい・聴きたい部分に自由自在にフォーカスできるインタラクティブ視聴技術。最大360度8Kビデオ・360度3Dオーディオから、空間的に自然な広がりと定位を持つ、任意の範囲の音場をリアルタイムに合成、再生する。2020年3月、多くの小中高等学校で卒業式の式典中止や縮小が余儀なくされ、卒業合唱を歌うことによる思い出づくりができなくなった社会問題を受け、「卒業式で歌われる合唱曲を卒業生に届けよう」という趣旨で、東京混声合唱団とともに、まるで卒業式の合唱の場にいるような疑似体験を楽しめる卒業式向け合唱コンテンツを制作。現在も、「音のVR」アプリで配信している。
東京混声合唱団、桐光学園合唱団、KDDI総合研究所のコメント
東京混声合唱団 事務局長 村上 満志氏
「今年2月、東京混声合唱団は『音のVR』に出合いましたが、合唱音楽にとって画期的なアプリケーションの出現に大きな広がりを期待した矢先に、新型コロナウイルス感染症の影響で歌うことができなくなりました。しかし、歌えないことで、歌うことの意味がそして喜びがより鮮明になった今、『コン・コン・コンサート2020』のステージで限られた学校の生徒さん達ではありますが、歌う喜びの瞬間(とき)を、『音のVR』で共有できることに大きな期待を寄せています。」
桐光学園 合唱部顧問 上田 武夫先生
「新型コロナウイルス感染症の影響で2月の終わりから休校になり、今の3年生にとっては部活の最後となるタイミングで大切なイベントが数多く中止となりました。またNコンをはじめとするコンクールが全てなくなり、生徒たちはもちろんですが、私自身どのように指導していくか、モチベーションをどうキープさせるかという点で、正直真っ白になった時もありました。今回の企画では、リモートではありますが東混さんと一緒に歌える機会をいただき、動画収録時には久しぶりに合唱することで涙を流している生徒もいました。生徒が歌う楽しさを改めて実感していたことを、とても嬉しく思います。」
音のVRコンテンツを体験した桐光学園の生徒たちは、以下のコメントをしている。
「それぞれのパートを強調すると、自分がその場にいて近づいているような感覚が得られました。」
「本当にすごくて自分がまるでその世界に入ったかのよう。緊迫感というか興奮しました。」
「好みである裏旋律とか対旋律を自分で寄って聴けるのがすごく楽しいなと思いました。」
「練習を収録しても使えるのではないかと思いました。」
KDDI総合研究所 イノベーションセンター マルチモーダルコミュニケーショングループの堀内 俊治氏
「今回、東京混声合唱団さまと各校合唱部の皆さまのさまざまな想いが詰まった素晴らしい合唱を、初の『音のVR』ライブ配信でお届けできることは、大変光栄であり、身の引き締まる思いです。リアルのコンサートと時を同じくして、全国各地から『音のVR』アプリを通じ、同じ場、同じ空間を、新しい音楽鑑賞スタイルで楽しんでいただければ幸いです。今後も、五感技術や通信技術を活用し、お客さまに寄り添った新しい体験価値を生み出していきたいと考えています。」
ABOUT THE AUTHOR /
山田 航也横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。