ロボットエバンジェリストの西田です。わーわー。
「AI手塚治虫」とクリエイターによる新作コミック「ぱいどん」の単行本が、本日7/29に発売になります!
「ぱいどん」は今は亡き漫画の神様、手塚治虫の31年ぶりとなる新作を”AIと人とのコラボレーション”で生み出すプロジェクト「TEZUKA2020」により制作された作品。2030年の東京・日比谷を舞台に、記憶をなくしてホームレス生活をおくるぱいどんが、小鳥ロボット・アポロとともに事件を解決していくストーリーとなっています。
ぱいどん AIで挑む手塚治虫の世界 KCデラックス(Amazon) Kindle版もあります
新作漫画「ぱいどん」を堪能しよう!
単行本には(あたりまえだけど)、「ぱいどん」の前後編が完全収録されています。すでにモーニング本誌や特設ページで見た人も是非単行本を手にとって読んでほしい!
なんていうか、紙の本で読むと、手塚治虫感が上がる気がします(個人の感想です)。
手塚治虫の他の短編に比べると、前編の導入部分のテンポが遅いというか、無駄が多いような気が若干するのですが、後編のストーリーや展開は、手塚治虫っぽい気がします(個人の感想です)。ちなみに、掲載時に「phase 1」とナンバリングされていたので、もしかして単行本に続きの話が・・・と期待していたのですが、既存の話だけでした。ちょっと残念。
あと、もうひとつ個人的に違和感を感じた部分があります。手塚治虫の漫画は、キャラクターを映画俳優のように扱う「スターシステム」を取り入れています。アセチレン・ランプやヒゲオヤジなど、ひとつのキャラクターがいろいろな役に扮してマンガを演じているのも魅力のひとつなのですが、本作では既存のキャラクターが出てきません。連載時はこの違和感の正体に気が付かなかったのですが、あらためて単行本を手にしてみると、ちょっと気になりました!
とはいえ、手塚治虫の新作漫画が読める機会は未来永劫やって来ないと思っていたので、この挑戦は嬉しいです。読んでいるうちに、どこまでがAIでどこからが人間なのか? AIが進化していったら、もっとたくさんの作品が読めるのでは? などなど、期待と妄想が高まります(個人の感想です)。
TEDUKA 2020の全容が明らかに!
単行本には、ぱいどん本編の他に、今回のプロジェクト「TEDUKA 2020」の全容が紹介されています。どの部分をAIが作り、どの部分を人間が作っていったのか。どのような手法でどのような教師データーをAIに与えたのかなどが、わかりやすく解説されています。AIによって生成されたキャラクターの画像や、AIのアルゴリズムを変更しながら試行錯誤している様子は読んでいて面白かったです。
他にも、座談会の様子などやプロット(ストーリーや漫画の流れ、キャラクター設定などを簡潔にまとめたもの)をAIで作成する様子なども収録されており、読み応えのある内容になっています。学習データの元になった漫画のタイトルなども紹介されているのが楽しいです。
あと、読んでいてわかったのですが、スターシステムを学習させていない事が判明。次回のプロジェクトではAIにスターシステムも学習させてほしいです!
「AIと手塚治虫」
単行本の後半には、「AIと手塚治虫」というタイトルで、AIを題材にした手塚作品の紹介が特集されています。自動運転や医療など、様々な分野を題材にした作品があることに今更ながら驚きます。
そして、単行本の最後には、同じくモーニングに連載していた手塚治虫の短編集「サスピション」から「ハエたたき」が収録されています。
「ぱいどん」本編だけではなく、プロジェクトの取組みや手法、手塚治虫の過去作品の紹介など、AIと手塚治虫を楽しめる一冊でした!
こうおもった
正直なところ、連載を読んだ感想だとAIあんまり仕事してないんじゃないかな・・・って思っていたのですが、単行本を見て考えが変わりました。
とはいえ、まだまだ人間の手によるところが多いのも事実なので、これからもっと進化させてほしいと思いました!
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