全エンジニアがGoogle出身のスマイルロボティクスは、飲食店などで食べ終わった食器等を下膳する「自動下膳ロボット」を開発している。そしてそれは「モバイルマニピュレータ型」である点が大きな特徴のひとつだ。
例えば飲食店では、アームのない搬送ロボットの場合、利用客や店員が「ロボットとテーブル間の皿の乗せ替えを手作業で行う」必要がある。それに対して同社の「自動下膳ロボット」はマニピュレータ(ロボットアーム)を持ち、ロボットとテーブル間の皿の乗せ替えも自動化する。
また、自律走行型であるため、テレプレゼンスでの「遠隔操作」や「床にガイドを貼る」必要もないといったメリットがある。
スマイルロボティクス(以下、スマイルロボ)は「モバイルマニピュレーター型自動下膳ロボットの開発事業」がNEDO STS事業(研究開発型スタートアップ支援事業)に採択されたことを発表した。また、スマイルロボはNEDOの認定VCであるANRIから、新たに追加の資金調達を完了した。
名称:「研究開発型スタートアップ支援事業/シード期の研究開発型スタートアップに対する事業化支援」
シード期の研究開発型スタートアップ(以下、STS)に対して投資を行うベンチャーキャピタルおよびシードアクセラレータ等(以下、VC等)の国内における投資及び支援活動を促進し、またその知見および支援機能を活用しながら、スタートアップに対する事業の支援を行うもの。具体的には、VC等の認定と、STSの採択の2段階に分かれており、NEDOにより先に認定されたVC等からの出資意向確認書(または出資済みの報告書)を得ることを助成金の申請の条件としている。最大助成額は7,000万円(助成対象費用の2/3以下)
モバイルマニピュレーター型自動下膳ロボット
スマイルロボは、高度なロボット制御技術・ディープラーニング技術を活用し、飲食店のホールなどを中心に「片付け」のオペレーションを省力化すべく「モバイルマニピュレーター型自動下膳ロボット」を開発している。昨今のコロナ禍による社会的な非対面化ニーズ・自動化ニーズの高まりを受け、同社は「飲食店においては、これまでの「下膳」に加えて「配膳」なども含む「運搬作業全般」への対応」「飲食店に限定せず、様々な施設における「つかむ・はこぶ」作業を自動かつ非対面で行えるような対応」に関する開発を、急ピッチで進めている。
同社は今回のNEDO STS事業の助成金および新たに追加で調達した資金で、ソフトウェアエンジニア・ハードウェアエンジニアの採用を強化し、モバイルマニピュレータの研究開発および実証実験を一気に加速させていく。なお、今回、NEDOから発表された『2020年度「研究開発型ベンチャー支援事業/ シード期の研究開発型ベンチャーに対する事業化支援」 第1回公募に係る交付決定先一覧』によると、他にロボティクス領域の案件は見当たらず、スマイルロボが「唯一のロボットスタートアップ」として採択されたことになる。
■助成金および調達資金の主な使途
・ロボット製造費・機械装置費
・研究員(ソフトウェアエンジニア・ハードウェアエンジニア)の採用費・労務費
・実証実験に関わる諸経費(機材、補助員労務費など)
2025年の業務・サービスロボットの世界市場は4兆円以上
富士経済によると、2025年の業務・サービスロボットの世界市場は4兆6,569億円の予測で、2019年比で2.3倍(年平均成長率:CAGR 15%)と大幅な成長が見込まれている。中でも搬送用の領域はCAGR 31%と、最も大きい伸び率を示している。(富士経済の2020 ワールドワイドロボット関連市場の現状と将来展望 No.2 業務・サービスロボット市場編より)
各社のコメント
■ANRI パートナー 鮫島昌弘氏からのコメント
『NEDO STS事業に採択されたとのニュースを聞き、まさに「スマイル」致しました。日本はドラえもん、ガンダムを生み出したロボット超大国です。スマイルロボがこれから引き起こすロボット革命2020、熱い夏になりそうです!』
■スマイルロボ 代表取締役社長 小倉崇氏のコメント
『新型コロナウイルス感染症により世界中で非対面化が叫ばれる中、消費者・事業者の双方に安心・安全を提供出来るモバイルマニピュレータは、飲食店をはじめ接客業全般にご活用頂けるものと考えています。社会のニーズに早急に応えられるよう、今回の支援を受けてエンジニア採用を強化し、開発および実証実験を一気に加速して進めて行きたいと思います!熱い夏にします!』
調理ロボット、飲食業界の自動化の最前線「Makersたちが語る“Food Roboticsの未来”」アールティ、コネクテッド、スマイルが登壇
下膳ロボットを開発するスマイルロボティクス AINRIとディープコアから総額4,500万円資金調達 導入のための実証実験を進めていく
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山田 航也横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。