車両を走らせてAIがガードレールの腐食を点検 インフラ経年劣化発見の自動化に 凸版印刷らが開発
凸版印刷株式会社、株式会社イクシス、株式会社ケー・エフ・シーはディープラーニングによるAI画像解析技術を活用し、ガードレール支柱の腐食部分を検出する「ガードレール支柱腐食点検システム」を開発したことを発表した。
同システムは高速(80km~100km/時)で走行する車両から撮影したガードレールの支柱の動画をAIで解析し、全支柱への個体番号の採番および腐食の有無を自動検出することで、補修が必要なガードレールの腐食箇所を簡易的かつ迅速に自動判定できる。交通規制を行わずに補修個所を特定することが可能で、点検作業の負荷低減に期待できる。また、同システムを継続的に利用することで、インフラの経年劣化の自動検出にも展開が見込める。
(上の画像右が「ガードレール支柱腐食点検システム」の撮影イメージ、左が80km/時で走行した車両からの撮影画像)
■各社の役割
凸版印刷 | 「ガードレール支柱腐食点検システム」の拡販と一般道路・鉄道・公共建物などの点検システムへの用途展開・販売 |
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イクシス | ガードレールや他の産業インフラ・社会インフラへのAI画像解析技術の提供・販売 |
ケー・エフ・シー | 「ガードレール支柱腐食点検システム」の販売とそれに連動したガードレール支柱の補修材(GPR工法)の提供 |
開発の背景
道路の安全性維持管理において、舗装路や道路付帯設備は交通規制をかけて詳細点検および補修を行っている。しかし、技術者の目視による点検は作業時間がかかり、交通規制を行う作業員が必要で、コスト面での大きな課題がある。凸版印刷、イクシス、ケー・エフ・シーの3社は、AI画像解析技術を用いて、パトロールカーに搭載したカメラでガードレールの支柱を動画で撮影し、腐食部分を点検することができる「ガードレール支柱腐食点検システム」を共同開発。同システムの導入により、交通規制や作業員による実点検をすることなく、効率的かつ定量的に腐食部位の特定および判定が可能になる。また、多くの人員を集める必要がなく人手を最低限に留めることができるため、新型コロナウイルスの感染対策としても有効。
今後、3社は同システムおよび技術のさらなる向上に取り組み、高速道路から道路全般、鉄道、構造物などへ用途拡大を図り、同システムを社会インフラおよび産業インフラ全般に広げていく。また、点検結果のデータ管理・修繕管理から予測傾向管理を可能とする技術についても開発を進め、インフラ老朽化、熟練技術者不足などの社会問題の解消に取り組んでいく。
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山田 航也横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。