オリィ研究所と川田テクノロジーズは、難病や重度障害などによる外出困難者でも、遠隔操作で接客と手先を使った作業ができる分身ロボットを開発する「テレバリスタ(Tele-Barista)プロジェクト」を発表した。
接客と同時に手先を使った作業を、ロボット操作により行うことで、病気や怪我などで思うように身体が動けなくなった方でも、自分らしく働いたり、家事をしたりと社会参加をし続けられるようになる。
開発中のロボットは、9月13日(日)にWeb配信される「LIVES LIVE 2020」内で一般向けに初披露する。
テレバリスタプロジェクトの概要
テレバリスタプロジェクトでは、オリィ研究所が開発・販売する分身ロボット「OriHime」(オリヒメ)と、川田テクノロジーズのグループ企業であるカワダロボティクスが開発・販売している協働ロボット「NEXTAGE」(ネクステージ)を組み合わせて活用する。
顧客とのコミュニケーションは分身ロボット「OriHime」を通して行う。実際にコーヒーを淹れるなどの手作業は「NEXTAGE」を通して行い、合わせることで遠隔地から、バリスタのように「接客」と「手先を使った作業」の両方を行うロボットを実現する。これをTele-Baristaと名付けた。
OriHimeとNEXTAGEを組み合わせることで、視線入力やスイッチなどのインターフェースを使って、OriHimeの操作する人(以下パイロット)がNEXTAGEも遠隔操作できるようになる。これまで、会話が主体のOriHimeだけではできなかった、バリスタやバーテンダーのような手作業がNEXTAGEでできるようになるため、重度肢体不自由の方でも、働き方の選択肢を更に広げ、その人が培ってきた技量や人間性を活かしながら、新たな社会参加の形の実現を目指す。
また、新型コロナウイルスの影響により、人と人との直接の接触を減らしたい現場での活用も期待できる。
元バリスタの思いを実現したい
オリィ研究所は、2018年より「分身ロボットカフェ」を開催し、外出困難でもOriHimeを使っての接客業などへの就業を可能にしてきた。そうした中、OriHimeのパイロットの中に病気で思うように動けなくなった元バリスタがいて、「お客様のオーダーを取ってコーヒーをお届けするだけでなく、お客様の好みに合わせてコーヒーを淹れたい」というその人の思いを実現したいという構想を抱いていた。
オリィ研究所の理念に賛同して2019年より分身ロボットカフェのスポンサーとなっていた川田テクノロジーズは、自社のグループ企業が手がけるロボット「NEXTAGE」の“人と一緒に働ける”というコンセプトが、オリィ研究所のその構想と一致することから、共同開発を始めるに至った。
今後の「分身ロボットカフェ」では、前述のバリスタ経験のあるパイロットが「テレバリスタプロジェクト」で開発された分身ロボットを操作し、コーヒーを淹れる仕事も行う予定だ。
両社代表コメント
両社の代表は次のようにコメントを発表している。
オリィ研究所 代表取締役所長 吉藤健太朗氏
川田テクノロジーズ様・カワダロボティクス様と出会った時からやりたいと思っていた、遠隔でお客様に珈琲を淹れるテレバリスタプロジェクトがいよいよ始まります。たとえ身体が動かせなくなっても、誰かに自分ならではの味、ならではの時間を楽しんでもらう事ができる可能性を研究していきます
川田テクノロジーズ 代表取締役社長 川田忠裕氏
この度、オリィ研究所さまと共にテレバリスタプロジェクトを始動させることができましたこと、とてもうれしく思います。すでに、同社の分身ロボットは、家から出られない人でもカフェで仕事ができることを証明していますが、今回のプロジェクトではOriHimeとカワダロボティクスのNEXTAGEがタッグを組むことで、パイロットさん達がもっともっと輝けることを目指します。
まだスタート台に立ったばかりですが、テレバリスタのこれからの進化にワクワクしています
LIVES LIVE 2020で公開
9月13日(日)にWeb配信される「LIVES LIVE 2020」内で、開発中のロボットを一般向けに初披露する。
「LIVES LIVE 2020」は、ボランティア団体であるNPO法人「Hands On Tokyo(ハンズオン東京)」が、障がい者の「はたらく・たべる・わらう」をテーマに活動する「LIVESプロジェクト」の一環。例年都内の会場でイベント形式により開催されていたが、今年は新型コロナウイルスの影響でオンライン開催となる。
ライブ配信日時:9月13日(日) 10時~
※「テレバリスタ」のご紹介は、13:00~13:20にライブ配信の予定。
LIVES LIVE 2020
https://hataraku-taberu-warau.jp/