ユニバーサルロボットは北海道の十勝で70年間、苗木の生産、提供を続ける有限会社大坂林業が苗木生産の工程に協業ロボット(URロボット:UR10e)を導入したことを発表した。(上の画像はYouTubeより)
導入の背景
苗木の生産工程は、多くの人手を要す。特に、苗の移植作業は熟練作業者への依存度が高く、高齢化が進んでいることから、移植できるベテラン職人が数年後にはいなくなってしまうという危機感があった。また、工程の一部にロボットを導入するには、安全面での配慮が必須であると同時に作業員自身がロボットとの協働に慣れることに関する懸念があった。
1949年創業、2001年設立。造林用苗木、緑化樹木の生産および販売、樹木種子の採種・精選・販売を中心に造林・造園事業を北海道で営んでいる。苗畑で苗木を育てて提供する仕事が主だったが、2000年代初めより、林業試験場から技術指導を受けて、樹木の組織培養による増殖を開始した。
空のコンテナを自動土投入機に送るURロボット
大坂林業はURロボットの導入により、これらの課題を以下の通り解決した。
■作業員2名でおこなっていたコンテナをコンベアに投入する作業をURロボット(UR10e)に置き換え、1名で対応可能に。
■プラスチックチェーンでロボットの動作エリアを囲い、協働エリアを見える化。また、ハンドに緩衝材をカバーを取り付け、人とぶつかったときの衝撃力を緩和。
■タッチパネルで直観的に操作できるため、誰でもすぐに使いこなせることから、作業員が操作に慣れるのに時間がかかることへの懸念を払拭
大坂林業は将来的にトレーをセットして苗木を植え付けるなど、一定時間内に数をこなす単純作業をロボットに任せ、苗木育成の繊細な部分は人間の目で確認するといった棲み分けで、ロボットと人間が協働で作業を行うことを目指している。
大坂林業 代表取締役 松村氏は、次のように述べている。
「ユニバーサルロボットのデモンストレーションを見る機会があり、URロボットの自在な動きが、苗木植えつけ作業に応用できる、と考えました。コンパクトで安全性が高く、人間が行う作業を機械に置き換えるのにURロボットは最適でした。これから日本は木の利用期を迎えるため、苗木の供給が不可欠になりますが、少子高齢化で人員確保が難しくなると考えています。その時に協働ロボットで、人の代わりに苗木を安定して供給していくという仕組みを作っていけたらと思います。」
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山田 航也横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。