板橋区と日本大学医学部、理化学研究所、株式会社ファームロイドは、2020年9月4日、共同で進めてきた紫外線ロボット「UVBuster(UVバスター)」に搭載の紫外線ランプによる新型コロナウイルス不活化に対する実証実験を行った結果、短時間での不活化を証明したことを同年9月9日に発表した。
今回の研究では、紫外線ロボット「UVバスター」に搭載されている紫外線ランプ(253.7nm:人体にも有害で取り扱いには注意が必要)による照射距離30cmから0、5、15、30秒照射による新型コロナウィルスの不活化メカニズムが明らかになった。これは、同年5月26日に行った前回の不活化実験をより精密に研究したことになる。
同実証実験について
同実験は、BSL-3(バイオセーフティレベル-3/封じ込め実験室)施設内の安全キャビネット内において、シャーレ上の湿潤な環境において新型コロナウィルス(SARS-CoV2-2)を253.7nmの紫外線ランプで所定の照度により、照射距離30cmから0秒、5秒、15秒、30秒と照射。実験に使うランプは安全キャビネットサイズの制約により、長さ約40cmのUV-Cサブランプ(UVバスターの車体下に搭載)を使用した。
研究の背景
解決すべき課題
実験結果
4.87秒照射 | ウィルス力価は10分の1に減少 |
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15.0秒照射 | ウィルス力価は1,000分の1に減少 |
22.6秒照射 | ウィルスが検出下限値まで不活性、ウィルス力価は50,000分の1に減少 |
UVバスター車体上に搭載されるメインランプ(長さ約110cm)は車体下に搭載されるサブランプよりも照度が2.34倍高く、それを換算すると、9.65秒の照射で、ウィルスが検出下限値まで不活性、ウィルス力価は50,000分の1に減少するとの結果がでた。これはUVバスターが時速0.5~1.0km/hで走行しながら紫外線を壁面や机上に照射すると、新型コロナウィルスが検出できないまでに不活化することになる。
▼実験概要
研究目的 | 自律走行型ロボットで紫外線照射する条件を想定した有効性の実証 |
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同研究担当者 | ・間陽子 氏(日本大学医学部 血液膠原病内科学分野 上席客員研究員/理化学研究所 科技ハブ産連本部) ・飯村一樹 氏(株式会社ファームロイド 代表取締役/日本大学医学部 血液膠原病内科学分野 客員研究員) ・松浦遼介 氏(日本大学医学部 血液膠原病内科学分野 研究員/理化学研究所 客員研究員) ・Lo chieh-wen 氏(日本大学医学部 血液膠原病内科学分野 研究員/東京大学大学院農学国際博士課程) |
紫外線ロボット「UVBuster(UVバスター)」
日本大学医学部のウィルスや細菌を専門とする教授陣をアドバイザーとした医工連携プロジェクトによって開発された「UVバスター」は、新型コロナウィルス(SARS-CoV-2)の不活化(死滅)を5月に確認した国産紫外線ロボットだ。一般的な紫外線ロボットは、壁面に対するウイルス殺菌・除去が主であり、床面や机の上面には殺菌線が届いていないが、同ロボットは照射アームを可変式とすることで壁面だけでなく、ベッドや机の上面、床面などへの紫外線照射が可能。高出力の紫外線UV-Cでウィルスや細菌を殺菌・除去することで感染症拡大を防げる。
■【動画】某通信会社内をウィルス除去するUVバスター
株式会社ファームロイド