羽田に未来型スマートシティ「HANEDA INNOVATION CITY」オープン、早速行ってきた ロボットや自動運転バスなど先進技術と日本文化がいっぱい

施設内のあちらこちらにロボットがいて、まるで未来の街を歩いているようだ。

これが正直な感想だ。もちろん、これらのロボットの多くは実証実験中で、本に役立つものになるのはまだ先のことかもしれないが、人の生活の中にロボットが普通に共生している空間を肌で感じることができた。ロボット好きにはたまらない。

歩いているだけで「犬のロボット」と声が上がった「SPOT」。ソフトバンクロボティクス(ボストンダイナミクス)の製品で鹿島建設が出展

Piezo Sonicが開発中の搬送用自律移動ロボット「Mighty」がいた

「Mighty」の横を自動運転車、マクニカの自律走行低速電動カートがすり抜けていく(パーセプティンの自動運転プラットフォームを活用)

羽田空港に隣接するエリアに未来型スマートシティの先駆けとなる大型商業施設「HANEDA INNOVATION CITY」がオープンした。略称は「HICity」(エイチ・アイ・シティ)。敷地面積5.9ha、延床面積が13万m2を超える。

最寄り駅は「天空橋」(直結)。HANEDA INNOVATION CITY 口の改札を出ると早速、警備ロボットが。ロボットが撮っている映像は東京都立産業技術研究センターの展示ブースで見ることができる

「HICity」の最大の特徴は、ショッピングやグルメ、ライブイベントに加え、日本文化と研究開発中のものも含めた最新のICTが体験できることだ。自動運転バス、ロボット、MR、低速モビリティなど。

オープニングスベントでパレードするavatarin(アバターイン)社が開発したアバターロボット「newme」(ニューミー)の大群

「newme」はインターネットを使ったアバターロボット(遠隔操作ロボット)で、期間中は一般のユーザーも体験できる。自宅からパソコンで操作することもできるし、会場では会場内に配置された「newme」を操作して、実際の現場にいる店員やスタッフと会話することもできる。

会場に用意された「newme」の操作体験ができる特設ルーム

操作を体験してみたが、とても簡単。誰でもすぐに操作できそう。

■動画

「HICity」は先端産業と文化産業の融合をコンセプトに掲げている。
このシルバーウィーク(9/18~22)はオープニングイベントが2本立てで行われている。「浮世絵 THE WORLD」&「スマートモビリティ&スマートロボティクス実証実験」だ。

日本で初めて公道を定常運行する自動運転バス。施設内の巡回だが、一般車も通行する公道。ナンバーを取得した車両で道交法に従って運行する

マクニカの自律走行低速電動カートも試乗体験できる(当日先着順)


日本文化と最先端技術

株式会社SECAIはシルバーウィーク期間、「浮世絵 THE WORLD」を開催する。(イベント情報はこの記事の末尾に)

オープニングセレモニーの準備中。18日は晴れていたが、強風のためイベントは大変だった

国芳・写楽巨大提灯(写真は過去株式会社SECAI社で制作した巨大提灯でイメージ:夜の取材はしていません)

文化発信として行われる「浮世絵 THE WORLD」では、世界に誇る日本文化である浮世絵をモチーフとし、1万個の紙ろうそくを用いて巨大な浮世絵を作るプロジェクトの他、飲食・物販店舗も出店してコリドーを賑わせる。


夜は10,000 個もの紙ろうそくによる幻想的なアート作品

17時以降から開門される巨大浮世絵エリアでは、大田区内の小学生たちが一部制作協力した約10,000 個もの小さな紙ろうそくで表現する巨大浮世絵“羽田旋風快晴”を展示。ろうそくの揺らぐ光で一度として同じ姿を見せない幻想的なアート作品となっている(残念ながら取材はしていません)。



ロボットたちがいっぱい

ロボスタ読者が特に興味津々なのは、先端技術の実証実験の場として行われる「スマートモビリティ&スマートロボティクス実証実験」だろう。様々なロボットやモビリティがHICityに集結し、試乗や操作を楽しむことができる。

地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター(都産技研)は、開発協力している「THOUZER」(サウザー)を2種類、展示デモ。ひとつは屋外で人の後を追従して運搬する協働運搬ロボットとして(通常のサウザーの機能)。もうひとつは、都産技研の展示コーナーで、LiDARを搭載した自律移動型のサウザーもデモ走行を行っていた。

人に追従してカルガモ走行するサウザー

■動画

TISはロボットの連携をデモ。会場ではスタンプラリーが行われていたが、タッチパネルを押すと、奥から自律移動できる搬送ロボットがやってくる。そこにはスタンプラリーの景品が載せられている。

タッチパネル式ディスプレイを搭載した移動ロボット。画面をタッチすると・・

自律移動の搬送ロボットが景品を運んできてくれる

■動画

このしくみはロボットの運用管理や制御、連携を実現するTISの「RoboticBase」(ロボティック・ベース)を使って実現している。「RoboticBase」は、複数のサービスロボットを統合的に管理し、複数のロボット同士やセンサーなどの環境や人を含めた相互連携を実現するプラットフォーム。前述した「天空橋」駅改札の警備ロボットにも活用されている。


■動画

都産技研には、専用の展示コーナーが設けられ、複数のロボットが展示されている。

都産技研の展示コーナーの服薬支援ロボット「FUKU助」

ロボティックウェア「curara」を試用中

都産技研とセックが共同開発している自律移動清掃ロボット。東京ビッグサイト等で実証実験されてきたロボットだが、今回はLiDARを装備した最新型を展示


「Tokyo Robot Collection」も開催

期間中、HICityがロボットだらけなのはもうひとつ理由がある。それは「Tokyo Robot Collection」も開催されているため。

宇都宮大学(アイ・イート)が開発している自律移動ロボット(研究用)

■動画

ニューミーに負けじと、もうひとつのアバターロボットが活躍していた。羽田空港でも導入されている遠隔操作ロボット「MORK」(モーク)だ。「Tokyo Robot Collection」の解説をしてくれる。遠隔操作ロボットなのでスタッフが話す会話をロボット声に変換して応対。だからこそ会話の精度はバッチリ。

インディ・アソシエイツの「MORK」。会場では人気者

■動画

民間で世界初の月面探査に挑戦するダイモンの無人月面探査機「YAOKI」はコントローラで月面を動き回って探査する。カメラを搭載していて、月面の映像を地球に届けてくれる。「YAOKI」は2021年に実際に月に行く。地球からコントローラで操作できるというからビックリ。

民間で世界初の月面探査に挑戦するダイモンの無人月面探査機「YAOKI」。手に持ってるのがコントローラ




清掃ロボットたちは休憩中

AI自動清掃ロボットが複数台、「Tokyo Robot Collection」に参加しているが、昼間は待機中。夜になると活動するそうで動作しているところは見られなかった。

ソフトバンクロボティクスの大型のAI清掃ロボット「RS26 Powered by BrainOS」。昼間の屋外での清掃は太陽光が邪魔をして得意ではない。夜の出番に向けて待機中

お馴染み、ソフトバンクロボティクスの屋内用の小型のAI清掃ロボット「Whiz」

マクニカのAI清掃ロボット「Neo」




MR技術を使用した驚きの体験型「羽田出島|DEJIMA by 1→10」

歌舞伎俳優の市川海老蔵氏がエグゼクティブアドバイザーをつとめる「羽田出島|DEJIMA by 1→10」では、MRデパイス「Magic Leap 1」を使ったプログラム「The Heart of ZIPANGU」(ザ ハート オブ ジパング)を上演。「開国しなかった日本」というコンセプトのもとで展開する、日本の伝統と革新が融合した架空の世界を、演舞と映像美、音楽、そして最新技術で表現。おすすめです(別途、体験レポートします)。




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神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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