【速報】GTC 2020 開幕 AI開発の入門用「Jetson Nano 2GB」発表 価格はわずか59ドル NVIDIAのAI認定プログラムも発表

日本時間の10月5日(月)22:00、NVIDIAの創業者 兼 CEOのジェンスン フアン氏の基調講演によって、秋の「GTC 2020」が幕を開けた。
「GTC 2020」はコロナ禍によってリアルのイベントが中止となり、5月にオンラインで開催された。その時はフアン氏の基調講演は日本語字幕版の動画も公開された。今回はそれに続く2回目の「GTC 2020」となる。基調講演の中では、新しい「Jetson Nano 2GB」が発表された。

「Jetson Nano 2GB」。学生/教育者、ホビースト向け、超低価格のAIコンピュータボードのデビューだ。価格は59ドル


学生/教育者、ホビー向けの「Jetson nano 2GB」発表

今回も「GTC 2020」の基調講演はジェンスン フアン氏のキッチンであらかじめ収録された動画だった。全9章で構成されているが、ロボスタ読者が最も注目している内容に触れているのが第8章「Everything that Moves will be Autonomous」だろう。NVIDIA Jetson Nano 2GB、NVIDIA Isaac、NVIDIA DRIVE、NVIDIA DRIVE Simが解説されている。

まさかの・・またもやキッチンからの基調講演・・

基調講演(字幕)はこちら
「Jetson nano 2GB」は、Jetsonシリーズの普及版として新しく発表された。従来のJetson nanoは4GBのメモリを搭載していたが、「Jetson nano 2GB」はメモリを2GBにスケールダウンする代わりに、衝撃的な価格「$59」(USドル)を設定した。主に学生や研究用としてリリースする。Jetsonシリーズと同様に「NVIDIA JetPack SDK」が利用できる。また、NVIDIA CUDA-Xアクセラレーテッド コンピューティング スタックを活用して、自動運搬ロボットやドローン、ヘルスケア、スマートカメラ等のAIデバイスを開発することができる入門機となる。

「Jetson nano 2GB 開発キット」の写真。「Jetson nano 開発キット」(4GB版 Rev.B)と比べるとポート類で違いがある

NVIDIAによれば、2GBにメモリは減るものの、AI演算部分での性能は4GB版と同様だという。現状ではインタフェースなどの詳細なスペックは解っていないが、Jetson nano 2GBの外観写真をJetson nano 4GBのBタイプと比較すると、カメラポートとUSBポートがそれぞれ1個減っているようだ。その分、Wi-Fiが追加された可能性が高いと予想される。正式なアナウンスを待ちたいところだ。(10/6追記 公式ページ公開 https://developer.nvidia.com/embedded/jetson-nano-2gb-developer-kit

「Jetson nano 2GB 開発キット」パッケージ

従来の「Jetson nano」も衝撃的な価格で発表され、それはAI(GPU)の開発人口を大幅に増やした。高速処理性能で優れる「Jetson Xavier NX」を2020年春に発表し、開発者の人口はさらに急激に伸びた。更に拍車をかけるために投入するのが「Jetson nano 2GB」となる。

NVIDIA製品のAI開発者の数は右肩上がり。「Jetson Nano」(4GB)がきっかけとなり、「Jetson Xavier NX」の発表でさらに軌道に乗った


NVIDIAの認定コース「Jetson AI Certification」

もうひとつ重要なトピックがある。新たにNVIDIAの認定コース「Jetson AI Certification」も発表された。Jetsonを使ったエッジAIシステムを開発するスキルをNVIDIAが認定してくれるのだから、多くの開発者にとって魅力的な制度となることが予想される。更には、NVIDIAによるオンラインでの無料のトレーニングも用意される予定だ。廉価で高性能な入門用AIコンピュータボードに加えて、無料のトレーニングコースとAI開発者認定プログラムを用意することで、学生やホビーストにAI開発者はさらに増えることが予想される。


10/4 9時から予約開始

「Jetson Nano 2GB 開発者キット」は、今月末より出荷される予定。先行予約販売は10月6日(火)午前9時より開始され、菱洋エレクトロ、マクニカ、ネクスティ エレクトロニクスが受け付ける、としている。

菱洋エレクトロ
https://www.ryoyo.co.jp/product/iot/machine/nvidia/
マクニカ
https://www.macnica.co.jp/business/semiconductor/manufacturers/nvidia/products/134045/
ネクスティ エレクトロニクス
https://www.nexty-ele.com/product/product_news/detail/20201006_nvidia/


つづく

> GTC2020 NVIDIAとメルセデスが描く「自動運転の未来」Omniverse、Isaac、MAXINE、DPU「GTC2020」基調講演を読み解くキーワード

関連サイト
GTC2020 October

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神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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